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ITS/実用化がはじまったETC -- 編集部





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ITS/実用化がはじまった

ETC

ITS(Intelligent Transport System)が話題になってきた。

ITSとは、高度道路交通システムのことで、道路と自動車をIT化しようというものである。

ITSにおいては、道路側の設備と自動車側の装備との両者が必要である。

ITSに対応した道路の事をスマートウェイ、自動車のことをスマートカーという。

ITSには、ナビゲーション、AHS(走行支援システム)、ETC(料金自動徴収システム)などさまざまなシステムがある。

日本ではすでにカーナビとそのための路車間通信(VICS)が普及している。

これに続き、ETC(Electronic Toll Collection)と呼ばれる料金自動徴収システムが急速に普及しそうである。

編集部レポート班

実用化が始まったETC

 東京から成田空港へ高速道路を走ってゆくと、料金所に「ETC専用」と書かれたレーンがある。現在では、これは、首都高速道路の一部と東関東自動車道などで2000年の4月24日からETCの試行運用として始まったものである。また、九州・沖縄サミットに合わせて6月28日からは沖縄自動車道で、7月1日からは福岡高速道路でも試行運用が開始された。

 ETCでは、自動車に搭載された装置から電波を発射することで、料金所で停車することなく料金の自動的に支払いができる。現在では、試行運用ということで事前に選ばれた約3万台のモニター車両のみの参加のため利用者が少なく、ETC専用レーンの設置は少なく人手による徴収レーンと兼用している料金所が多いので、メリットを享受することはちょっと難しい。しかし、ETCの普及は急速に進みつつある。

p67-69

ETCゲート

(福岡高速道路榎田料金所

http://www.fk-tosikou.or.jp/ より)

 高速道路では、日本道路公団が2000年度中に東名、名神、中央、関越、山陽、東北などの高速道路でサービスを開始する計画である。阪神高速道路公団では、2001年度内に全料金所にETCレーンを設置する計画であり、首都高速道路公団も、2002年度までにすべての料金所にETCレーンを設置する計画である。料金所数でいえば、2000年度中には600ヶ所に、2002年までには900ヶ所に設置される計画である。

ETCのメリット

 ETCが普及すると、都市間高速道路の渋滞原因の3割をしめる料金所渋滞が解消されことになる。また、利用者にとっては、現金やカードでいちいち支払う必要がなくなり便利となる。このほか、有料道路の事業者としては、料金所の人員が削減でき、管理コストが減少する。また、ETCでは、トールブースを設置しなくてよいので、有人レーンより幅が狭くてもよくなるし、スピードをあまり落とさなくてもよいので、設置数も減るので用地が少なくてすむ。従来の料金所では、停車するためにブレーキ熱が発生し、また、発車の際にエンジンをふかすので排出ガスが大量にでる、騒音がでるといった環境上の問題があった。これらが減少するといった環境上のメリットもある。

 しかし、ETCの最大のメリットはそこにあるのではない。ETCの車上装置の設置車と非設置車が混在している状態では、ここにあげられたメリットしか受けられないが、全ての車両にETCが設置されると可能性が増える。

 ロード・プライシングとは、走った道路の区間、条件、時間、状態などによって、通行料金を可変的に収集する制度のことである。ラッシュ時間帯やゴールデンウィークのようなピーク時間帯には、高い料金を収集し、空いている夜間などでは料金を低くすれば、混雑の時間的な平準化が図れる。このようにピーク時に高い料金を設定することをピークロード・プライシングという。あるいは、排出ガスが多いディーゼルトラックに対しては、都市内高速を通過するよりも、湾岸道路など都心を迂回するルートを通過すれば料金を安くするといった環境配慮も可能である。これを環境ロード・プライシングという。

 首都高速道路と、阪神高速道路においては、全面的にETCゲートの設置が完了する2005年度以降、ロード・プライシングを行うため両道路においてはETCを設置している車しか通れなくなる。2001年度には、大型トラックに関して環境ロード・プライシングを先行的に開始する予定である。ロード・プライシング以外のメリットとしては、利用区間による不公平感の解消がある。現在、これらの都市高速道路では、一部の特定区間を除いて均一料金制であるので、短区間の利用でも料金が同じため、不公平感があった。ETCでは、入口と出口、さらに中間のジャンクションなどにゲートを設置することにより、電車のプリペイドカードと同じように、利用区間、利用経路に応じた料金徴収が可能となり、利用距離に応じた料金体系にすることができる。

 環境ロード・ライシングとしては、東京都道路公社は、稲城大橋有料道路において、低公害車に関しては通行料金の割引制度を導入する計画である。

 ロード・プライシング以外のメリットとしては、東名高速道路などの都市間高速道路においても、ETCであれば料金所スペースが必要ないのでインターチFンジを増設することができる。サービスエリア、パーキングエリア、バス停などを利用して一般道路へと接続すればよい。

ETCの仕組み

 ETCでは、自動車側のシステムと、ゲートなど道路側の固定システムがある。自動車側は、ICカードと発信機からできている。ICカードは道路事業者およびクレジット会社が発行するクレジットカードで、利用者名、クレジット口座番号などの情報が入っている。これを車に固定してある発信機に挿入すると、ETCが利用できるようになる。なお、発信機には、自動車の登録ナンバー、車種、環境配慮度(どの程度の排出ガス、騒音を出すかなど)などの情報が書き込まれてあり、ICカードの情報とともに送信されるので、発信機を他の車に持ち運ぶというわけにはいかない。発信機は、5.8GHzの無線で道路側のシステムと交信する。通信速度は1Mbpsである。

 道路側のシステムは、無線による交信システムと、車側から受け取る情報の処理システムからなっている。情報処置システムにおいては、入出口、経路、時間などによって課金を計算し、車側に伝えるとともにクレジットカードからの引き落とし処理を行う。現在の試行運用では後払いで処理を行っているが、プリペイドカード方式も可能である。引き落とし処理が完了すると、車両の前方の遮断バーが上がり通行できるようになる。このバーがあるので、高速でETCゲートを通過することはできない。

地域ロード・プライジング

 ロード・プライシングは、当初は有料道路で始まるが、これを地域全体に拡大することが考えられている。シンガポールでは、1975年から都心部に入る場合に料金を徴収するシステムを採用している。当初は有人で料金徴収を行っていたが、現在ではETC化されている。東京都では、環七、あるいは山手線内側に車両が進入する場合に料金を徴収するシステムを計画している。これについては、特定の時間に限定する、低公害車に対しては割引を行うなどの案が考えられているが詳細は未定である。鎌倉など観光客の「クルマ公害」で悩まされている自治体や、国立公園地域、景観保存地区などでの採用が増えるであろう。

ETCの今後

 ETCは、自動車と外部との双方向通信・決済システムである。これを利用すると有料道路の料金徴収以外にさまざまな利用が考えられる。郵政省では、このシステムを使って駐車場の料金徴収に使うことを計画している。さらに、コンビニやハンバーガー店などでのドライブスルーにおいても利用できる。このような高付加価値サービスを行う場合、現在の1Mbpsでは帯域が不足すると考えられるが、変調方式を変えることで4Mbpsに高速化できるという。

ETCの問題

 現在設置されているETCゲートでは、前方に遮断バーがあり、ETCで料金を支払ったことが確認されてバーが上がるようになっている。このため、高速度でETCゲートを通過することができない。遮断機が必要なのは、ETC車上装置を装着していない車がETCレーンを通り抜けることを防止するためである。高速度でゲートを通過できるようになると、ロード・プライシングなどをきめ細かくできるようになるが、現状では難しい。全ての車にETCがつけば、遮断バーは不必要になるであろうが、義務化には抵抗感が付きまとう。

 ETCが利用者にどのように受け入れられるかは大きな問題である。カーナビの場合は装着するかどうかはクルマの所有者の自由意志であるが、ETCの車上装置の場合には、ETCが未装着だと利用できない道路や地域が増えてくると、実質的な義務化になってしまう。この場合、3〜4万円という車上装置を利用者が負担することへの抵抗感が生じるであろう。特に高速道路の利用率が低い車の場合、負担感はかなり大きなものとなろう。

 新車の場合には、カーナビと一体化されて標準装備されることになるであろうが、これも車両価格に転嫁されるので、利用者が負担することになる。日本で現在登録されている自動車数は二輪車を含めて7500万台なので、これにETC車上装置をつけることになると2〜3兆円という額になる。ETC車上装置を市販する電気メーカーや自動車メーカーにとっては、非常に大きなビジネスではあり、経済の活性化に効果が期待されているが、利用者にとっての負担は小さくない。

 ETC自体の問題ではないが、ロード・プライシングなどの実施により、通行料金が上がることが考えられる。現状での不公平さは解消されるが、この一方、今までこれで得をしていた利用者にとっては値上げとなる。地域ロード・プライシングの場合には、今まで無料が原則であった一般道路までが有料化されるわけであるから、抵抗感は少なくないであろう。

 もう一つの大きな問題はセキュリティーである。ETCでは、クレジットカードの利用が基本となるが、電波でクレジットカードの情報が飛び交うことになり、悪用される可能性もある。電波の盗聴による悪用については、暗号化することで防げるとされているが、カードの盗難や偽造という可能性もある。また、ETCが普及すると、道路利用履歴がわかってしまうのでプライバシーの侵害になるという意見もある。カナダでは、このためにETCの採用が見送られたこともあった。日本では、すでにナンバープレートを自動認識するNシステムが普及しているので、いまさらプライバシーの侵害ということはナンセンスかもしれない。

 ETCによって、ロード・プライシングが始まり、それで道路渋滞解消や環境の改善が実現できれば、効果があがったことになる。しかし、道路が空いた分、利用者が増加し、交通渋滞は変わらずに、利用コストだけ増えるということになると意味がない。ロード・プライシングが効果あるものにするためには、ピーク時と非ピーク時、あるいは低公害車とそうでない車との間で料金差をかなりつけないといけないが、こうすると不満がでてくることになる。したがって、公共財としての道路のあり方、料金の取り方に関して国民的な合意形成が必要である。

これができないと、単に「平成の関所」ができ、利用者は車上装置とICカードという手形を買わなくてはいけないことになってしまう

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