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もの作り不思議教室 -- デンソー



p75-76

光を通し、湾曲するシリコンウエハ

シリコンウエハを薄くする技術

 電子機器をウェアラブルになるまで小型化する技術のひとつとして、株式会社デンソーでは、シリコンLSIウエハ(以下ウエハ)を薄くする技術に取り組んでいる。厚さ0・6ミリのウエハを、実用化レベルでは厚さ50ミクロン、研究レベルでは紙のような厚さの20ミクロンまで薄くすることに成功している(1ミクロンは1ミリの1000分の1)。薄くなったウエハは、手で曲げることができ、また、光も通してしまう。ウエハを薄くするとどんなメリットがあるのか?

電子回路が作られたウエハの扱いの困難さ

 パソコンや携帯電話などの中にはICやLSIと呼ばれる集積回路が使われている。1個の集積回路は一辺が5ミリから10ミリくらいのシリコンのチップで、見た目は何の変哲も無い銀色の小片であるが、その中には数十万個から数百万個ものトランジスタが集積されている。通常、チップはそれより一回り大きいサイズの樹脂のパッケージに封入され、パッケージから伸びたリードフレームが基板にはんだ付けされている。ところが、最近では、機器を小型化するため、パッケージを使わずチップそのものを基板に取りつける技術が開発されている。ところで、集積回路は、通常、直径6インチ、厚さ0・6ミリ程度のシリコンウエハの表面に写真を撮る要領で部品や配線を形成することで作られる。回路を作る段階では、ウエハが反らないように、0・6ミリの厚さの状態で各工程を流れていくが、最終的に回路が作られる所はおおむね、ウエハの表面から深さ数ミクロンの部分である。つまり、回路として使用する部分は、ウエハ表面のごくわずかな薄皮の部分だけで、残りの大部分はウエハの強度を維持するためだけにある無駄な部分といえる。そこで、ウエハの裏面を削ってチップをできるだけ薄くして、もし、紙の厚み程度まで薄くできれば電子機器をさらに小型化したり、テレホンカードや電車のキップのような薄い物にチップを埋め込んだカードが作れるわけである。

 しかし、電子回路が作られたウエハを薄くすることは簡単ではない。ウエハの回路が形成された面は非常にデリケートで、傷がつけばその回路は破壊されてしまう。また、電子回路が作られたウエハはその製造工程で、何回も熱処理などの加工を受けているため、内部に応力が発生しており、そのまま薄く削っていくと、だんだんと反って、ひびが入ったり割れたりしてしまう。当然、ひびが入ったり割れた電子回路は使えない。

 そこで、当社では、回路が形成された側のウエハ表面を保護し、また反りを矯正してウエハを薄くする技術を開発した。

ウエハを薄くする

 ウエハを薄くするには、ウエハの裏面を砥石で削って薄くしていく研削と、削った面を磨いて鏡面にする、化学的機械的研磨(CMP=Chemical Mechanical Polishing)という2つの工程が使われる。

 ウエハの裏面を削っていく場合、裏面全体を削らなければならないので、どのような方法でウエハを動かないように固定するのか、また、電子回路が形成されたウエハ表面に、削り滓や研磨液が触れると回路が壊れてしまうため、どうやって保護するのか、さらには、削っていくとウエハが内部応力でだんだん反ってくるのでこれをどうやって矯正するかが問題となる。

 これらを解決するために、粘着シートとステンレス製のガイドリングと呼ばれる冶具を用いる。ガイドリングはシリコンウエハよりふた周りほど大きい穴のあいた、厚さ2ミリ位のステンレスのリングで、これに粘着シートを貼りつけ、さらに、穴の中央にウエハを貼りつける。この際、ウエハの電子回路が形成されている面を粘着面側にして密着させる。粘着面にウエハを密着させることでウエハを固定し、同時にウエハ表面に異物が触れるのを防ぎ、ウエハ表面の電子回路を保護することができる。この際、粘着力が弱すぎると削っている最中に動いてしまったり、ウエハの反りではがれてしまったりし、逆に強すぎると、ウエハが粘着面からはがれなくなったり、はがす際にウエハにダメージを与えてしまう。そのため適正な粘着力が必要である。

 この状態で、ガイドリングを研削装置に取り付け、ガイドリングと砥石を互いに自転させて、砥石を適当な力で押し付けていくことでウエハの裏面を削り取っていく。このとき、ウエハは粘着力でシートに固定され、形を矯正されているため、ウエハが薄くなっても曲がることはない。目標の厚さまで削り終わったら、次に、この面を磨いて鏡面にする。この工程では、研磨布と研磨液が使われる、ガイドリングと研磨布を互いに自転させて、ウエハを適当な力で研磨布に押し付けることでウエハが磨かれる。研磨液の中にはシリコンを溶かす成分と極微小な石英ガラスの粒子が入っており、石英ガラスはシリコンより硬いため、ウエハの裏面は少しずつ溶かされ、また、削られ、鏡面になる。磨き終わった後、ウエハは、丸のこぎりのようなダイシングソーでチップに分割され、基板へ取りつけられる。

 今後、偽造防止の目的から、クレジットカードやプリペイドカードがICカード化していき、また、パソコンなどは小型化が進み、体に装着できるようになっていくと考えられる。これらの、あらゆる分野で、このシリコンウエハを薄くする技術が展開される。

株式会社デンソー

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