NATUREINTERFACE.COM
ネイチャーインタフェイス株式会社 info@natureinterface.co.jp TEL:03-5222-3583
ネイチャーインタフェイス > この号 No.01 の目次 > P107 [English]

アート/チャイナペインティング -- 山内 恒子

編んで花輪にする

『チャイナペインティングの世界』

 米国ニューヨーク州の北の都市、シラキューズから車で50分余りのところに、カゼノビア街がある。湖が点在し、カエデやブナの樹木に針葉樹が混ざり合って枝を広げている。ニューイングランド地方独特の景色に、芍薬やアゼリアの花々が鮮やかに映える6月、この街の小さな大学に各地のチャイナペインターたちが集う。

 アメリカでチャイナペインティングが趣味として広がり始めた1960年代に、チャイナペインティングを教える立場の人々の研修と交流を目的としてプロフェッショナル・ポーセリン・アーティスト・アソシエーション(略してP.P.A.A.)が設立された。このP.P.A.A.の主催により、毎年6月にチャイナペインティングのセミナーが開かれる。アメリカの大学では、6月には夏休みに入り、学生がいなくなる。そこで、カゼノビア・カレッジ(Cazenovia College)のキャンパスは、1週間のセミナーのため泊り込みをするチャイナペインター達に提供される。P.P.A.A.ニューヨークスクールを略してCaz(キャズ)と呼び、常連のチャイナペインターたちは、年に一度、ここに集うことを楽しみにしている。

 チャイナペインティングでは、白磁器に専用の絵の具で上絵付けし、窯で焼成を繰り返しながら作品を仕上げていく。お皿やカップといった生活用品から、花瓶やタイルなどの工芸的な作品まで、白い磁器なら何にでも自分の好きなイメージを描ける。小さな箱は、贈り物に最適で、包みを開けた瞬間に、相手を驚かせ、喜ばせることができる。贈る人を思い浮かべながら描くのは楽しい。また、作品は、割れない限り変わらずにある。わが家では、私が結婚前に福岡で中島美香先生に習い始めて恐る恐る描いたディナー皿を、二〇余年を経た現在も使っている。

 始めの一〇年間は、子供達を育てながら、見よう見真似で描いていた。チャイナペインティングに本格的に目覚めたのは、1988年から89年にかけて、夫のアメリカ赴任に伴い、家族で住んだボストンで、オリーブ・レスリー先生に出会って以来である。レスリー先生は、20世紀初頭にボストンで生まれ育ち、アメリカンチャイナペィンティングの黎明期に活躍されたペインターである。先生から、色彩は無限にあること、そして磁器にその豊かな色彩を表現する面白さを教えていただいた。今でも、目を閉じると、先生のアトリエに飾ってあった作品の色彩が鮮やかに蘇る。

 磁器は、表面が滑らかで、絵の具を吸収しない。このため、表面に張りつけるようにして描いた絵の具は、窯の中で加熱され、磁器の表面と溶け合った後、定着する。絵の具は、鉱物質である。以前は色によって最適な焼成温度が違っていたが、チャイナペインティングが普及するにつれ、絵の具も焼成がしやすいように改良されてきた。現在使われている絵の具は、大体800度で磁器に定着する。絵画を描くようなアメリカンスタイルの技法は、この焼成を数回繰り返しながら画面に深みと色彩の広がりを表現していく。滑らかな磁器に色彩を施す心地良さの後で焼成し、窯のふたを開けるまでは、ワクワクした気持ちが毎回続く。私が長年チャイナペインティングに魅せられてきたのは、この辺りの理由によるものと思う。

 Cazに集う人々は、この楽しみを共有できる仲間である。チャイナペインティングは、自然と生活のインターフェースを楽しむ趣味である。

NATUREINTERFACE.COM
ネイチャーインタフェイス株式会社 info@natureinterface.co.jp TEL:03-5222-3583
-- 当サイトの参照は無料ですが内容はフリーテキストではありません。無断コピー無断転載は違法行為となりますのでご注意ください
-- 無断コピー無断転載するのではなく当サイトをご参照いただくことは歓迎です。リンクなどで当サイトをご紹介いただけると幸いです
HTML by i16 2018/06/19