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ネイチャーインタフェイス > この号 No.01 の目次 > P110-114 [English]

NI Library/書評






p110-113

book

ワールドウォッチ研究所

『地球環境データブック 2000-2001』

レスター・ブラウン ◆ 編著

福岡克也 ◆ 監訳

 ワールドウォッチ研究所発行の年次刊行物が、環境問題に取り組む人々のバイブルとまでいわれるのはなぜか。それは、扱う素材の選択と全体の構成とに一貫する編者の生命への眼差しが真摯なものであるからにちがいない。

 今年のレポートにおいて特筆すべきは、再生可能エネルギー、とりわけ風力発電のめざましい進展ぶりだろう。99年以降の急成長から、99年には発電容量も前年比39%増と、原子力発電の0.4%増をはるかに上回る勢いだ。経済性、雇用という側面からの期待度も高い。タービンの開発をはじめ、風力発電の運転や維持管理に必要とされる労働力は、原子力発電のそれよりはるかに需要が多く、失業率の高まる欧州地域においても注目を集めている。持続可能な労働という視点からも、今後さらなるシフトが望まれるところだ。

 しかし、全編を通じて感じさせられるのは、さらなる効率性の追求、そしてあらゆる分野・領域における多様性の消失である。先進国による化石燃料の過剰消費が気候変動と局地的自然災害を加速させ、輸送・交通手段のクルマへの一元化は、持たざるものの交通手段をじりじりとせばめてゆく。奪われる多様性の背後には、地球レベルで拡大するさらなる格差と不平等が見え隠れする。

 この状況を乗り越えてゆくために我々ができることは熟考すること、そして自ら行動を起こすことだ。本著がその羅針盤役を果たしてくれるだろう。

(竹下涼子)

『「温もり」の選択』このエネルギー革命が地球を救う

赤池 学+藤井 勲 ◆ 著

 世界の大手自動車メーカーの開発競争に象徴されるように、近年、燃料電池実用化への関心が急速に高まりつつある。

 本書は燃料電池技術を中心に、未来のあるべき社会像を魅力的に描きながら、その社会の萌芽と思われる世界の事例を紹介している。それは具体的に、分散型発電、地域資源の循環・活用、天然ガス活用、インテリジェント化などの戦略である。著者らの主張の重点はゼロベースでのエネルギーシナリオ、燃料電池を利用した「分散型発電」に置かれているが、そこから原子力発電、廃棄物処理へとテーマが発展し、環境エネルギー政策の中でも幅広い分野を網羅している。また、ITSと地球温暖化との関係、天然ガスの利用戦略など他書ではあまりふれられることのないテーマについての記述が満載である。

 導入部もまた興味深い内容で、第1章は「私たちは誰を犠牲にしてきたのか、誰を犠牲にしようとしているのか」と題し、各地の環境汚染の現状をふだん、目にする「風景」として切り取っている。

 なお、本書でいう「温もり」には「未来の子孫たちのために今を生きる私たちが集い合い、猶予してはならないこと、今なすべきことを探り合う、『温もりある議論の場』を提供したい」という思いが込められている。環境とエネルギーに興味を持ち始めた人はもちろんのこと、専門的な研究・活動に取り組む読者にとっても有益な一冊となろう。

(竹下涼子)

民間療法シリーズ 

活力診断で高品質を実現する『ピーシー療法』

安部清悟 ◆ 著

 「ピーシー農法」この言葉を初めて聞いた人たちは、大概、ピーシー=PC=パーソナル・コンピュータ=パソコンを使っての、何か変わった農業の方法なのかなと思うことだろう。

 21世紀になった今、パソコンにまつわる知識や関心の方が「農業」に関する知識や関心を遥かに凌いでいる。本末転倒である。自分達の口に入れ生命エネルギーの源たる食物の作られ方や、現状の農業がかかえている諸問題に、農業従事者ではない都会人もほんの少しの関心を持つべしである。

 著者の安部清悟氏は、心の通った科学的農業を提唱する。21世紀は間違いなく農業の世紀だ。安全で、おいしい食物を手に入れるためには循環型社会を志向し、都市と農村の心の交通を活性化しお互いの心を「耕しつづける」ことが必要だ。ピーシー農法はそんな社会を実現するための基盤として循環型農業を推進する根拠地だ。安部氏の提唱する農法を、考え方を全国区で実践すれば20年で日本農業は蘇るという。頼もしい限りだ。

 ピーシー農法とは、物言わぬ作物の状態を試薬のセットを駆使し、診断していくのが基礎だ。その試薬キットを「ピーシー・キット」と呼ぶ。ピーシーのピーはPlantのPだ。シーのシーは ClinicのCだ。合わせて、Plant Clinic=作物のお医者さんを意味する。決してパソコンのPCではない。

 安全な作物を誰が責任を持って育てるのか。それは、日々作物と向き合う農家である。と、著者は断言する。 (濱口和大)

『鶏と人』

民族生物学の視点から      

               秋篠宮文仁 ◆ 編著

 世界中には多くの種類の鶏が広く分布している。そして、そのルーツをたどると、東南アジアに広く分布している赤色野鶏であるというのがほぼ定説になっている。

 だが、人間がスゆえに野鶏を飼うようになったのか、その家禽化の理由とプロセスについては、「食用」、「儀礼用」、「闘鶏」などいくつかの仮説が提示されてきたが、明らかになっていない。本書は、これまでの研究で生物としてのみとりあげられてきた鶏を、人との共存という文化の観点から調査し、家禽化の理由およびプロセスについて新たな仮説を提示している。

 調査の舞台となったフィールド、中国雲南省のシップソーンパンナー一帯は、家禽化が始まった有力な候補地のひとつ。編著者らは数度にわたり現地を訪れ、タイ族、ハニ族、チノー族など少数民族の儀礼、闘鶏の習慣、色に対する観念(カラーシンボリズム)、舞踏、楽器、信仰など様々な鶏文化を調査した。その結果、人間の手によって「造られた生物」としての鶏の姿が明らかにされた。また、鶏の家禽化のプロセスについても、家禽化と野生化、再家禽化を繰り返すという「行きつ戻りつ」の過程を繰り返しながら、全体的な家禽化が進んでいくという新たな仮説が提示されている。

人間を幸福にしない日本というシステム

カレル・ヴァン・ウォルフレン ◆ 著

鈴木主税 ◆ 著

 なぜ日本はこれほど物価が高いのか。なぜ国の富みは国民に分配されないのか。なぜ女たちは結婚を拒み子供を産みたがらないのか。なぜ老人たちは不安なのか。なぜ子供たちにには希望がないのか。なぜ働く男たちに人間的生活が許されないのか。「富める国の貧しい国民」日本人のほとんどは、悲惨な状況に置かれていることにも気づかぬまま、心を荒廃させている。

 筆者の[日本というシステム]についての冷徹な分析は、日本の持つ病根を明らかにする。この国が民主主義国家などという上等なものではありえず、政治不在の「官僚独裁主義」国であり、経済の発展と企業を守るためだけに存在することを。人々は無関心でいるようしつけられ、他国とは文化が違うなどという世迷い事で、経済侵略の正当化に加担する。いったい何のための、誰のための「国」だ。読み進むにつれ、不快感や怒りなどは通り過ぎ、襲ってくるのは戦慄、そして恐怖でもある。無能な官僚に支配され、隣人を、隣国を信頼できぬように教育され、無気力に現状を受け入れる日本人。敵も多く、その未来は暗い。

 それでも遅すぎることはない。むずかしいが不可能ということではない。「状況を変えられるのはみなさんだけだ」。オランダ人であり長く日本に住まい、日本で多くの友人を持つ筆者の、的確な助言と暖かみのある励ましには心を強くさせられる。やればやれる。 (天鼓)

『昆虫に学ぶ』

木村 滋 ◆ 著

 蝿の幼虫が傷を受けると、当然外部の細菌が侵入してくる。われわれ脊椎動物なら、体は抗体を作って細菌に対抗するが、進化の初期の段階で昆虫と別れてから脊椎動物が獲得したこの方法はつかえない。そこで、蛆は傷口から抗細菌ペプチドを分泌して対抗する。もちろん他の昆虫でも同様に抗細菌ペプチドを分泌するといった方法で外部からの細菌などの侵入を防いでいる。

 この物質は人間などには無害だが、細菌には非常に効果的である。このペプチドの研究によって、新しい抗細菌薬が開発されることが期待されている。今までの抗生物質に抵抗力を持つ細菌にも効果があるだろう。

 ゴキブリの神経組織の研究でロボット運動制御コンピュータのヒントを得、六本足歩行の研究で不安定な地形を移動するロボットを開発し、蝿の味覚機構から味覚センサーを作り、絹から人工皮膚や血管を作り、天敵昆虫の増殖や、あるいは昆虫の病原菌、寄生黴などによる害虫駆除、家畜資料として昆虫の蛋白質を利用、今まではほとんど駆除対象としての研究が主だった昆虫もまったく違った視点で見られるようになった。

 読後ゴキブリを見る目が違ってきた。 (濱口和大)

『人の体はどこまで再生できるか』

失った肉体をとりもどす医療

小野 繁 ◆ 著

 形成外科の始まりは、決闘でそがれた鼻の修復手術だったそうだ。先天的、あるいは後天的の欠損部分を修復する医療行為である。

 患者自身の組織が拒否反応も少なく、定着率も高いので、一部かぎられた場合を除くと、患者自身の組織を使う。切り離すと組織が死ぬ場合があるので、皮膚などは下の末梢血管など組織ごと移動しなければならない。離れた場所だと途中にポケットを作って中継することもある。移植先になじむよう、できるだけ性質の似た皮膚を選ぶ。乳首の修復には似たような色素の沈着した陰唇がいいそうだ。切断された指などでも切り口が潰れていないなら、顕微鏡手術で毛細血管までつなげるという。 (濱口和大)

『理想の病院』

吉原 清児 ◆ 著

 患者取り違え手術、ガーゼや鉗子の体内置き忘れ、投薬ミスなどは論外としても、入院時や手術執刀の大先生に対する高額な謝礼、半強制的な差額ベッド、少ない看護婦、知識不足の医師、などなど病院に対する不安感は大きい。

 多額な謝礼を払い、差額ベッドに入れられて老後の蓄えをはき出された上、不親切な看護と危うげな医療、大量投与された薬の副作用でのたうちながら、不安と不満で残り少ない日々を過ごさなければならない先行きは暗いものがある。

 この本に書いてある病院はどれも、そういった暗い展望の中で光明を見出す思いがする。これが当たり前でなければいけないのだが。

(濱口和大)

サイエンス・サイトーク

『愛は科学で解けるのか』

日垣 隆 山本大輔 榎本知郎 松井 豊 松本 元 ◆ 著

 この本はTBSの「サイエンス・サイトーク」で放映された各テーマを核として、各ゲストとの対話を座談の形にして書き下ろされたものである。基本が対話であるために、非常に読みやすい。しかも、あまり論じてこられなかった「愛」(国際的学会雑誌Annual Review of Psychologyは一九九〇年度に創刊四二周年を迎え、総計三万ページに及ぶ論文を掲載してきたが、愛のみを論じた論文は皆無であった)について、それぞれの研究者との対話がまとめられているので、知識不足でも面白く読める。蝿の求愛行動(メスをその気にさせるのは大変らしい。しかも好みがあるようだ)や、ボノボ(コビトチンパンジー)、あるいは人間の行動(女性が、ある男性と性交した直後に、他の男性と交わってオーガズムに至ると前の男性の精子を排出するそうだ。トンボの話で同じようなことを聞いたことがある)から、脳の活性化には恋愛が一番いい話、失恋の打撃は男性の方が大きい、未練やストーカー、恋愛にはエロス型、マニア型、アガペ型と三つのタイプがあるなど、肩の凝らない話から、相当高度な話題まである。誠意を基本とした人間の学習、あるいは母子関係に至るまで、碩学達の話は尽きない。文庫サイズで二一〇ページの手軽さだから、通勤電車の中で読むにはもってこいというべきだろう。 (濱口和大)

『ワンダフル・ライフ』

バージェス頁岩と生物進化の物語

スティーヴン・ジェイ・グールド ◆ 著  渡辺 政隆 ◆ 訳

 近頃のアニメではモンスターが大流行である。いろいろな怪物が活躍している。しかし、カナダの湖畔で発見された黒い石に閉じ込められていたバージェス頁岩の怪物たちは、それらをはるかに上回る異形の生物群である。現存の生物分類のすべての門が揃っているばかりでなく、現在ではまったく類縁関係のある動物の存在しない絶滅動物も少なくない。

 これらの絶滅の原因は遺伝、つまり資質が悪かったのか、運が悪かったのか。生物の大絶滅といえば白亜紀末に恐竜などの大型動物のそれを思い出すが、生物の歴史の中で絶滅事件は何回も繰り返されてきた。それぞれの大絶滅期を、偶然によってくぐりぬけて来た現存の動物は幸運の結果であり、悲運にも姿を消した動物は決して劣っていたからではない。

 もし時間を巻き戻してやり直したらまったく違った世界になるだろう。人間や鳥や魚の代わりに五つ目玉の怪物や、細かい歯のびっしり生えている丸い口と、エビの胴体のような頑丈な触手のモンスター、あるいはどちらが前だか後ろだか、上だか下だかわからない動物などが横行闊歩しているかもしれない。

 このバージェス頁岩生物の発見とその研究にまつわる学者たちの物語も、人間臭くて面白い。

(濱口和大)

『睡眠障害』

井上昌次郎 ◆ 著

 残業、夜遊び、テレビ、ビデオ、ゲーム、携帯電話、インターネット…。現代人の生活はいつのまにか睡眠を犠牲にした上に成り立つものになってしまった。

 その結果、かなり深刻な状況が生まれつつある。「眠りたいのに眠れない」「起きたいのに起きられない」―いわゆる睡眠障害である。たとえば、睡眠障害のひとつにh睡眠相後退症候群iという症状がある。寝起きの時間が通常よりはるかにズレてしまうという障害で、夜になると目がさえ、仕事も問題なくできるが、ふつうの人が朝起きて活動に入る時間に眠くなると

いったものである。 (濱口和大)

 朝、起きられないので、当然、会社や学校に遅れる。なんとか行っても仕事や勉強にならない。これではまともな社会生活が送れない。こういった人が、とくに若年層を中心に増えている。本人にもどうしようもなく、悩む場合も多いそうだ。

 本書はこういった睡眠障害を「博物学」的に紹介したもので、本の後半はそれらの症例の説明にあてている。この部分はやや専門的で、睡眠の”素人“にとっては、前半部の睡眠のメカニズムの話の方が面白い。なぜ人間は朝、起きて、夜眠くなるのか。体内時計とはなにか。なぜ睡眠と覚醒は半日ごとに繰り返すのか。そして、快適な睡眠とはどんなものか。どうしたら「よい睡眠」を得られるのか。これらの疑問への答えを知ることだけで、生活環境を変えるきっかけになることだろう。自分の眠りに不安をもっている人にはとくにおすすめ。 (Y・I)

『「私」はなぜ存在するか』

脳・免疫・ゲノム

多田 富雄 ◆ 中村桂子 ◆ 養老孟司

 今日に至る生物学は生命現象を遺伝子単位で説明しているために私たちの目には見えず、日常感覚とはなれてしまった。そこで、自分の身体という最も身近な実感に基づいた「実体」「固体」を、分子生物学という新しい分野において再度浮き彫りにして、生命の本質を考えようというのが本書のねらいである。

 身体の内なる関係として、DNAの総体「ゲノム」の自己創出、自己複製のはたらきがある。その結果から、分子の行動様式としての自己反応の世界、すなわち免疫系がある。最後に、解剖学的に見られた脳。脳は、前者二つと違って、身体の内と外の接点に位置し、社会に眼を向け、考えを体系化する「自我」としての生命体である。すっきり言ってしまえばこういう話なのだ。う〜ん、だがこの説明だって、私たちの目には見えないし、想像力に頼るしかないではないか!

 だが、超顕微鏡下の話に始まって、日本人のパラドクシカルな自然観を指摘されて、なるほどと気づかされたり、あの双生児「きんさん」「ぎんさん」のゲノム上の問題が出てきて笑わせられたり、確固たる女性の存在に対して、男性とは壊れやすくてはかない現象に過ぎないなどと、男性のかげろうのような正体を教えられたら、これはもう21世紀が女性の時代であると約束された福音の書ではないかと思えてきた。

 だが、ひとつの素朴な不安が残った。異常な固体とわかったゲノムはどう扱われるのか。実験の段階で削除するのか。削除しなければ何を期待するのか。そして、それはどんな判断に基づいて決定されるのか。ゲノム,免疫、脳という即物的な生命体を解明して得られる下からの思想だけが信用に足るとするこのような姿勢で事は解決できるであろうか。どんなに初歩の段階であろうと、かりに生命体を断つとなった時点で、必ずや人類の遺産ともいうべき宗教や哲学等で扱う規範の問題が浮上すると思うのだが。本書では、そのようないわゆる古来からの”実体のない思想“は低く見なすという。この言及になにか背筋の寒くなる思いがしたが、それは杞憂というものだろうか。 (大峯郁衣)

『「森を守れ」が森を殺す』

森林は酸素を増やしてはいない 自然保護運動の常識を撃つ

田中 淳夫 ◆ 著

 ある種の美意識とご都合主義、そして、間違った固定観念とうわついた報道は、真実をゆがめてしまいがちである。そして、それが一度蔓延してしまうと、くつがえすことはなかなかむずかしい。

 著者は、「常識を疑うことと地道な裏づけ調査」によって、それを見事にやってのけた。「自然保護」「森林保護」というテーマは、現代人の耳に心地いいが、その理想と現実があまりにも違うことを、ひとつひとつの具体例で詳説する。「森林は酸素の供給源ではない」「森林の保水力よりも保土力に注目すべき」「熱帯雨林の伐採と砂漠化は無関係」「伝統的な焼畑農法は森林に優しい」など、常識に反する事実を次々とさらけ出す。

 そして、森林危機に対処するために「本当に必要なのは、人間を排除した森林生態系を残すことではなく、人間を含めた新しい森林生態系を造ることだ」と主張する。ただむやみに植林をすればいいわけではない。「正しい自然復元技術を用いて、きちんとした手間をかけながら生態系を回復していくことが大切なのだ」と。その意味では、現在注目されるアグロフォレストリー(農業と林業の結合)や複層林施業(下刈りする草の代わりに苗木を植える)などは、ひとつの可能性を感じさせる。

 「人間が生きる上で、自然とどう関わるのかを理解する知識と体験」なくして、自然との共存はできないのである。イメージだけに振り回されて自然保護を訴える「似非自然主義現代人」には、まことにもって耳が痛い。 (Y・I)

NHKスペシャル

『知っていますか、子どもたちの食卓』

食生活から からだと心がみえる

NHK「子どもたちの食卓」プロジェクト

足立 己幸 ◆ 著

 (朝食はパンとジュース。夕食はご飯と麦茶)(朝食は昨日と同じホットケーキ。夕食もホットケーキ)(食事はいつもひとりで食べたい。うるさい事いわれず、しずかにたべられる。TVゲームしながらくえるから)

 これは昨年社会を震撼させた犯罪事件を起こした一七歳の少年が自分の家庭での生活を語った言葉ではない。女子栄養大教授の足立己幸がNHKとの共同プロジェクトで99年に全国の小学生二千人に聞いた(あなたの家の朝・夕食の食事風景を絵に描いてみてください)という調査に対しての答えなのだ。

 ごく普通の子供たちが描いた食事風景の赤裸々な絵は衝撃的なもので、これがNHKスペシャルで放映されるや、怒濤のような反響があったという。

 塾、おけいこ優先の忙しい毎日を送る子供たちはまともな時間帯に夕食をとれず、コンビニで何か買って塾の一五分休憩に喉に押し込む。朝は調子が悪く何も食べたくない子もざらだ。また、いまや大人も子供も詰め込みすぎのスケジュールで食事の時間はばらばらになり、家族揃っての食事より一人だけの食事の方が普通だというのだ。

 子供の買い食いは偏食になり、それが体調不調だけでなく摂食障害、神経性うつ状態への引き金となっていく。(朝食はRーラとみそ汁)(夕食はカップヌードル、バーガー、おにぎり)

 この本を読んだ後では、極上の食の本も、沈没するタイタニック号の船上で何も知らず浮かれ騒ぐ乗客のようにおめでたく、まぬけにしか見えなくなる。それがいやならこの本、読まない方がいいかも。 (T・H)

『地球環境報告 U』

石 弘之 ◆ 著

 地球環境のことを学習しようとする時、多くの人が手がかりとする『地球環境報告』(岩波書店、1988年)の続編である。著者は「まえがき」の中で、「ちょうど10年の間の変化を整理しようと当初は『改訂版』を予定していたが、あまりに急激な状況の変化のため、新たに書き下ろした」と述懐している。その巻頭言に違わず、すでに環境容量、あるいは人類の適応性の限界を超えているのではないか、と思われるような衝撃的な世界各地の環境状況が報告されている。

 例えば、ブラジルのインディオの居留地では若い人々の自殺が増えているという。著者は何度もアマゾンの先住民を取材しているがその増加を知らなかったため、背景を探ることとなる。すると、肥沃な土壌を生かした大豆生産と森林伐採、居留地の関係があぶり出されてくるのである。他にも東南アジアなどにおける森林の悲惨な状況、中国では黄河の「断流」などが報告されている。我々の住む日本においても野鳥の種類が減少するなど、それら地球環境の悪化と無縁ではないという警告が、そこここに感じられる。

 こうした環境の悪化は多様な因果関係が絡みあって引き起こされており、その大半が明らかにされてもなお、環境悪化を止められないという点で不気味でもある。どうやってこの事態に対処するか、本書ではあまり詳細には述べられていないが、それについては著者の他の著作を読まれたい。

(竹内涼子)

『科学技術と環境』

小島基ほか ◆ 編

 「科学技術と環境」をテーマとして広島大学の教官団によって編集され、内容は人文科学(人間の生活と行為についての考察)、社会科学(社会の制度やしくみの研究)、自然科学(物質レベルでの解明)の諸領域に幅広くまたがる。

 各自の専門分野だけでなく他の分野にも目を向け、それぞれが環境問題にどのような取り組み方をしているかを学ぶ姿勢が二一世紀の教養のあり方だと編者は説く。環境問題の持つひろがりと多用な分野のつながりを知る上で、最適の書である。

 「自然と人間のかかわり」「科学技術の発展―その光と影」「地球規模で考える」の三部から構成されている。各部はじめの解説で部全体の概観と章の関連が示されていて、読者の興味に応じて読み進められるようになっている。各章末には各分野に興味を持った読者へのさらなる学びへの手引きが書かれている。

 取り上げるテーマは老荘思想からDNA、人類の昔から最先端までをカバーし、対象の規模は微生物から地球の大気圏まで広がり、私たちの身近な生活との関連を示してくれている。

 なぜ私たちは環境について考えなければならないのか、人類はどのように環境について考えてきたのか、これからどのように解決していかなくてはならないのか、幅広い分野の研究者たちからのメッセージに触れることが考察の一助となる。

ウェアラブル(身につけられる)情報機器の実際

板生 清 ◆ 監修

(社)日本時計学会 ◆ 編

 一昔前のSFアニメなどでは、主人公が腕時計型の無線通信機を使って基地と連絡するシーンが頻繁に登場した。考えてみると、身体に装着する事のできる情報機器(時間も重要な情報である)の始まりは腕時計であった。携帯電話のコマーシャルでは、あのアニメに描かれた未来図が現実のものになっている。われわれが日常使用している携帯電話は多少大きく、ポケットから取り出して使わなければならないが、まあ、いいか。それより多少大きくなるとノートパソコンだが、腕時計タイプのウェアラブルPCが開発されているという。

 小さくて身体に装着しても行動に支障の無い情報機器は、たとえば心電計、脈泊計、その他の生態情報、あるいは行動や運動、緊急事態の救急措置など、健康や医療などへの大きな貢献ができる。また、GPSの受信できる腕時計大の受信機が発表され、GPS受信機内蔵の腕時計もできている。これらの小型化した情報機器の応用範囲は無限にあることはいうまでもない。

 これらの小型、超小型情報機器が実現するためには、マイクロマシン技術の発展、高性能の電池、ソーラー電池の開発、ヒューマンインターフェイスの改善、あるいはソフト等、多くの技術発展、新しいアイディアの試行などの賜物であるが、情報機器の小型化、情報密度が高まる中で、信頼性の高い超小型部品の製作技術に大きな刺激を与え、小型化という範囲を超えて、他の分野の小型、超小型部品の製作や、マイクロマシンそのものの発展にも大きな影響を与えている。

 今後、送受信装置がICチップ化するなど、さらに小さく、さらに高密度に、進化していくことだろ。そして、現在よりも多方面にその影響力を及ぼしていくに違いない。東京大学の板生清教授を始め、この方面の最先鋭を集めた筆者陣の論説には、得るところが大きい。

p114

おめざめ、おやすみにぜひ

アーティスト:高中正義

アルバムタイトル:ハンプラグド

発売元:LAGOON RECORDS

税込み価格:3.000円

おめざめのときに

1. BLUE LAGOON 

2. MY HEART WILL GO ON 

3. ALONE

4. OH!TENGO SUERTE

おやすみのまえに

5. SHEPHERD MOONS

6. MELODY#9

7. NEIKI

8. HEAVENLY FIGHT9. MARBLE HALLS 

10.バハマの波音 

11.PHOTO(CD EXTRA)

 2000年夏に発売された高中正義のアルバム。『おめざめのときに』が4タイトルで『おやすみのまえに』が6タイトルの10曲で構成されている。ご本人のホームページのインタビューでも語っているが、寝るときは音楽がないと眠れないのだそうだ。

「わたしもそう…」

という方は多いかと思う。私も何をいわんや、そのひとりで、このアルバム結構効くんですわ。これが。

 高中正義といえば(私だけかもしれない)そのむかし、カルロス・サンタナと同じYAMAHAのSGというギターを使っていて、ジョイントのコンサートをやっていたのを覚えている。

 サンタナもグラミーをほぼ独占状態だったし、高中さんもがんばっているわけです。といってもこのアルバムを録音したバハマに自宅(軽井沢にも)があったりで、大層優雅でもあります。

ENYAやドラクエ3のカバーや、タイタニックがあったり、さらにはリー・リトナーが参加したりで、聞きどころもあり、そういう聞きかたをするとなかなか眠れないかも。私が一番気になったのはこれ、自曲の『東京レギー』のさわりが入っているんですよ。

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