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倉田悟の世界 1

ネイチャーインタフェイス歳時記

ヤマザクラ

 大正11年、愛知県岡崎市に生まれた倉田悟は、東京大学農学部林学科卒業後、そのまま研究室に残った。どうしても植物の研究をしたかったからである。そして、理学博士号も取得した。

 生涯独身を通し、日本各地の里人から樹木・植物の方言名、またそれに関わる民俗の研究に一生を捧げた。その一方、当時自然保護に世論が関心を持つようになると、樹木学者の立場から「これまでの日本は経済成長という目的を拵え、それに合うように物事を考え回してきた。それでは生活にゆとりが生まれるはずがない。自然保護の基準は、失われようとしている自然をまず真っ先に保護すべきだ」と、自然保護のルールを説いた。

 ある時、私は倉田先生と本郷の天麩羅屋にいた。すると「森山君、ぼくは最近、生ビールならジョッキ1杯ぐらいは飲めるようになったよ」と、照れくさそうに言う。邪気のない笑顔であった。 この図鑑の制作途上、毎日、地方の山から、大学に枝が送られてくると、先生から私に電話がはいる。私は直ぐさま社を飛び出し、画家のもとへと枝を持って行くのだが、いつも時間帯は夕方で、電車はラッシュアワーの最中。枝に着いた花を落とすまいと、頭の高さにまで持ち上げて、相模大野やら成増、西船橋、国立などへ赴く。 

 そして先生は、常に言う。「ぼくの本は、森山君だけにやってもらう。他の出版社に出す気持ちはないよ」と。本当に嬉しかった。

 その倉田先生も、東京大学農学部教授(林学科森林植物学教室)『日本シダの会会長』を最後に、昭和53年、病に倒れ、いまは練馬区高野台の長命寺に眠っている。享年56歳であった。

       (森山俊治・記)

E-mail:chikyu@po.cnet-ta.ne.jp URL:http://www3.cnet-ta.ne.jp/e/eo-mm

主要著書

『原色日本林業樹木図鑑』(第1巻〜第5巻)、『樹木と方言』 (正・続)、『日本主要樹木名方言集』、『植物と民俗』、『樹木民俗誌』、『植物と文学の旅』、『シダ讃歌』ほか多数。

右記の主要著作物は、すべて(株)地球社(東京都港区赤坂4-3-5/電話03-3584-0087) 発行のものです。現在の在庫品は、『原色日本林業樹木図鑑』(第1巻・第3巻・第4巻)、『植物と文学の旅』のみとなっています。(一部、テキストデータでの提供も可能です)

〔分布,生育地〕 本州(福島県以西南)、四国、九州、対馬、日本海側では能登半島まで普通に分布し、北は秋田県の男鹿半島に達する。

〔用途〕 保存性の高いことから、器具、家具、機械、楽器、彫刻その他に広く賞用される。

〔図版説明〕  1:花枝  2:花弁を除いた花の縦断面  3:石果  4:核  5:葉の上面  6:葉の下面  7:冬芽

津軽山唄

  津軽富士 冬は真白く 春青く

  夏は墨染め 秋錦

  衣替えする 鮮やかさ

  岳々の 岳の陰の 樺桜

  津軽繁昌と咲いた樺

 岩木川や赤石川などで筏を積みだしながら山男が歌った『津軽山唄』、津軽の山陰に咲くカバザクラまたはカバとは、オオヤマザクラまたはカスミザクラの方言名である。今秋、羽後の米代川流域でカバザクラの名を耳にしたが、オオヤマザクラを指すものと思われた。樹種名方言集(昭7)に青森・岩手・秋田・山形の諸県下にマカンバの方言名として、カバおよびカバザクラが採録されているが、今後の検討を要する。また,全国的に見れば、ヤマザクラにカンバ (飛リ)、カンバザクラ(岐阜・静岡)、カンバサクラ (広島) などの方言名があり, ウワミズザクラを千葉、鳥取、岡山の3県下でカンバザクラ、栃木県の日光でカンバと呼んでいるし、宮崎県の椎葉地方では桜類のエドヒガンと樺類のミズメがカバザクラと称されるという。

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