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アジアの水辺の生き物 21世紀にはいって人類が先ず遭遇する試練は、生存に欠かせない水不足の問題である。米国の穀倉地帯の大規模な地下水の汲み上げ、中国の世界最大のダム建設による自然生態系の変化予想、アフリカやインドの大旱魃や洪水など、枚挙にいとまがない。ところで日本はどうか。幸い四方が海に囲まれ雨には恵まれている。だがしかし、荒れほうだいの山林、里山や棚田の崩壊、河川の人工改造による生物の消滅など、自然におけるすばらしい水の保存と浄化機構が失われつつある。そこで本号は、生物が水と深く関わっている模様を意外性を含めて披露することにした。 ―――秋濱友也 水と蝶 水を求めて水辺に集う蝶の集団。いろいろな種が入り交じっているが時が経つにつれ、単一種のコロニーとなる。種の保存と関係があるのか、不思議な光景である。
メコン河の大ナマズ 世界最大の淡水魚として知られる。体重300キログラムにも達する。写真は人工繁殖に成功した10キログラムの稚魚。ナマズは世界中に分布する魚で21世紀の蛋白源である。秋篠宮文人殿下の研究は知られるところである。
ベトナムの水辺野菜 東南アジア一帯の川、湿地、沼、池、水田際などで 栽培される野菜は多い。熱帯の沼や池の水温は30℃以上の高温になるが、どうやら水辺野菜は水質をコントロールしているらしい。
川と薬草−ネパール 地球上には辺境の地も少なくなってきた。未知の生薬を求めて探索行は続けられる。ヒマラヤの山ひだから湧き出る渓流は多くの高山植物の薬草を育んでいる
水辺の昆虫−絶滅危惧種と環境指標種 昔はどこにでも見られた水辺の昆虫、現在は生息環境の良し悪しを測るセンサの役目を果たしている。
自由自在に伸び縮みする湖カンボジアのトレンサップ湖 季節によって、その大きさを変えるなんとも不思議な湖がある。カンボジアの首都、プノンペンにあるトレンサップ湖がそれである。そこに住む人々もまた、湖の変化に自分の生活を変える。それは自然と共生するという大それたことではなく、自然に逆らわずに生きるという当たり前のことをしているだけである。
家も学校も病院も船の家 カンボジアの首都、プノンペンからシェムリアップ行きの飛行機の乗客は、アンコール・ワットを見る観光客が大半をしめる。雨季になると、飛行機の窓から見える風景は、水、また水である。 プノンペンの一帯は、中国を源とするメコン川と、それに合流するトンレサップ川が作る低地で、合流点より100キロほど上流にあるカンポン・チャンからシェムリアップのあたりまでトンレサップ川は大きく膨れる。これがトンレサップ湖である 目を凝らすと、家、道路、堤防などが顔を出しているので、もともとは陸地らしいことがわかる。だが、どうも陸地のはうのところに「えり」(琵琶湖にある魚を追い込んで捕らえる定置網)があったりして陸地なのか川なのか、はっきりしない。メコン川の下流の勾配はきわめて小さい。100キロで1メートルくらい、ということは東京駅から熱海まで行って、やっと1メートル上がるということだ。 雨季になると、メコン本流の水位が上昇するが、水はなかなか河口までいかずにトンレサップ湖に逆流する。 トンレサップ湖の水位は9メートルも上昇し、乾季には面積が3000平方キロくらいなのだが、10000平方キロと三倍にも大きくなる。 また、水深は乾季では1メートルくらいなのに、雨季には10メートル以上にもなる。 シェムリアップの南に、プノン・クロム(プノンは山の意)という、頂上に寺院がある小さな山がある。 このーにあるプノン・クロム村は、プノンペンからの高速船がつく船着場でもあるが、湖岸線の移動につれて村ごと動くという変わった村である。雨季には、山のすぐ下まで船がつけるが、乾季になると干上がってしまうのでさらに10キロくらい行かないと小型の船でさえ着けない。 学校、病院、役場などはそれぞれ船の上にあって、水が引いていくにつれて船も動いてゆく。もちろん、大半の家も船にあるというか、船そのものが家である。水位によって変化する生活をしているのは、住民だけではない。 稲も水位が上昇するとともに茎が伸びていく浮稲という種類である。 トレンサップ湖は魚の宝庫である シェムリアップの市場では、生魚のほか、干物が売られている。サヨリそっくりの干物があって、これは焼くとビールのつまみに最適である。 カンボジア内戦時代に、この魚目当てにベトナム人の漁民がトレンサップに入ってきた。もともと、カンボジア人とベトナム人は宿敵みたいなものなので、今でもときおり、湖上で機関銃をぶっ放して互いを威嚇するなどといった騒動も起こる。(冬沢 杏)
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