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企業レポート ― 先端技術をどう社会に活かすのか 里山を活かす/人と自然のふれあいでよみがえる 「里山」その微妙な生態系 -- ハローウッズ

人と自然とのふれあいでよみがえる

「里山」とその微妙な生態系

ハローウッズの森の見る「自然環境」再生メカニズム

ハローウッズ

特殊な自然環境としての「里山」を再生する

 梢の回廊と名づけられた水道をゆっくり登っていくと低い崖のそこここにアカネズミがほじくった穴が見え、たぶんイタチのものであろう乾いたフンが確認できる。日だまりの大きな石の下には地面から直接伸びたような福寿草が鮮やかな黄色の花をつけ、かつての谷戸田(やとだ)を復元したというミズスマシの沢には、カエルの卵やサンショウウオの卵、その陰に成虫のまま冬を越えたタガメがじっと春の訪れを待っている。

 北側の斜面にはまだ雪の残る二月の後半「森の探見(たんけん/探検と発見を組み合わせた造語)ミュージアム」ハローウッズを訪ねた。

 探見をサポートしてくれるハローウッズのキャスト、「自然(じねん)塾」の野辺正樹さんの案内で42haという広大な里山をくまなく歩いてみた。

 季節がら、燃え盛ると表現すべき生命の伊吹はまだ感じられない。

 しかし、ここには里山と呼ばれるエリアの生態系が確実に息づいていることを肌で感じることができる。

 ところで、里山とは最近よく耳にする言葉だが、なにをもって、どんな条件を満たして里山と呼ぶのだろうか。野辺さんにうかがってみた。

 「人間の営みとコンタクトしている自然。私たちの考えでは、炭焼きや棚田などの生産活動(里山産業)があってはじめて里山といいえると思っています。

 1996年に当時の環境庁がまとめた『里地自然地域等自然環境保全調査』によると、里地あるいは里地と表現されるエリアは国土面積の40%以上を占め、全人口の15%がここに生活の場を持っているといいます

 ところが、この里地&里山の多くが環境の荒廃にさらされています。こう言うと自然破壊や開発と言う言葉が第一に浮かび上がってくると思います。

 確かに、それも大きな要因のひとつなのですが、里地&里山の特殊なところは、そればかりでなく『里山産業が絶たれた』という理由が一番の大きな問題なのです。

 私たちは、この荒廃しつつある里山に再び人の手を入れて、かつての里山として自然環境を再生・定着させることに重点を置いています。

 つまり里山とは、人と自然の共存ともいえる生産活動によって正常な生体循環が繰り返されるエリアであり、それは人間のソフトな介入があって初めて保たれる、きわめて特殊な自然環境(二次的自然)ということなのだそうだ。

 ハローウッズには里山の自然に直接触れて生態の循環を体験し、それを記録するための数々の設備が整えられている。かなでもユニークな設置がアカネズミの広場とミズスマシの沢の二ヶ所に設置されている不思議な水洗トイレである。どこが不思議かと言えば、このトイレに通じている水道も井戸もないというところである。水洗トイレに水が通じていなければどのように処理されるのか。実はこのトイレ、排泄された汚物を微生物の働きによって水と炭酸ガスと汚泥に分解しているのだ。(囲み参照)。そして、その水を利用して流す、つまり、すべてを循環させる事によって水洗トイレ(バイオリサイクルトイレ)として機能しているのだ。

 「トイレの前に設置している水槽にはこのシステムで汚物を分解した結果としての水が入れてあり、なかでは淡水魚が泳いでいます。設置型の水槽なので残念ながらモツゴなどの雑魚が主体ですが、流れさえあればイワナやヤマメなどの渓流魚も飼えるほどの清浄度です。飲料としては使用していませんが人が飲んでもまったくさしつかえありません」。試しに、ビーカーにとった分解後の水を見ると、わずかに濃い緑色はしているが(この色をとるには脱色機能をもつ微生物が必要)無味無臭で、クヌギやナラの腐葉土層を通り抜けてきた湧水とまったく変わりない。

 ちょっと想像をたくましくして、このトイレを利用する子供達の驚きを考えてみた。彼らは極めて貴重な体験として、微生物による自然に優しい営みと、その結果として環境が浄化していくメカニズムを自らの排泄物を通して知るわけである。それはハローウッズで体験した里山の自然とともに、強烈な印象として心に残るのは間違いないといえるだろう。

痕跡から広がる里山のイマジネーション

 ほ乳類ならキツネやタヌキそれにイタチ、鳥類なら鷹の仲間であるサシバなどを頂点に、ノウサギ、リス、モグラ、アカネズミ、モズ、ヤマバト、エナガ、ヒヨドリ、アカゲラ、コゲラ、シジュウカラ、コガラなどが続き、つぎに、マムシ、ヤマカガシ、シマヘビ、アオダイショウ、トカゲなどの爬虫類や、カエル、サンショウウオなどの両生類、その下にはスズメバチ、ジバチ、クワガタ、カブトムシ、タマムシ、チョウやガアリなどの昆虫類、その他クモ、カタツムリ、ミミズなどによって成立するハローウッズの生態系ピラミッド。ここを訪れるゲストは、どの季節、どんな時間帯でもその営みの痕跡を発見する事ができる。幸運なゲストは、目前をイタチやノウサギが駆け抜けたり、ドングリを運ぶアカネズミ、カケスなどを目にすることガできるだろう。しかし、見せるためにつくられた自然ではなく、できる限りナチュラルな里山の環境を再生させたこの森では、すべてのゲストがそれを体験できるとは限らない。

 「出会うことが自然なら、出会えないことも自然なのです。出会えなければ、その痕跡からイマジネーションをふくらませることにより、より深いものを感じることができるはずです。ここでは、何に触れても、何をつかまえても誰も何もいいません。夏になればクヌギお樹液にミヤマクワガタやカブトムシ、あまり歓迎はできませんなスズメバチなどが集まり、それを採取することは自由です。冬のアカマツの幹にはコゲラやアカゲラの突いた跡がスリバチを横にしたように残されています。また乾燥したイタチやタヌキの糞を調べれば、野ネズミの骨や、甲虫類の外殻が未消化の状態で出てきます。そうした痕跡から広がっていく自然との一体感こそが、子供達に限らず都市生活者が見失いかけている生物としての人間の力を回復させてくれるのではないでしょうか。

 実際、森で遊ぶということは、テレビゲームとは違ってリセットできない不都合な事に出くわす事が多いものです。いったんはそれを受け入れ、ひとりずつ取り除いていく知恵や工夫、体験や学習を通して蓄積していくものが大切だと思っています。それでも困ったら私達キャストのメンバーに声をかけてもらえれば、サポートできる態勢は整えています。里山として再生させて丸二年、まだまだ手を入れなければいけないことは山積みしている状態ですが、この森は21世紀の人々に向かって発信できる「なにか」があると信じています。」

 ハローウッズはホンダが次世代を見据えて計画しているフィールド。

 栃木県芳賀郡茂木町の「ツインリングもてき」の一角に眠っていたかつての里山はホンダと野辺正樹さんたち「自然塾」のスタッフの手で「森の探腱ミュージアム」として見事によみがえりつつある。

 なぜなのか理由はわからないが、ここでは大人、子供の区別なくDNAに記憶されたような不思議ななつかしさと無邪気な好奇心を取り戻せそうな気がする。

森の不思議なトイレ

自然浄化法リアクターシステム廃水処理

ハローウッズの「不思議なトイレ」は青木電器工業(株)の自然浄化法リアクターシステム廃水処理によって運営されている。このシステムは自然界で最も浄化能力のある良質土壌による浄化作用、すなわち土壌に棲息する土壌菌郡の代謝産物と有機物の間で活性する土壌化反応による浄化作用をシステムとして構築したものである。これを応用してほぼ完璧な循環型浄化トイレとなったものがハローウッズの不思議なトイレ。このシステムの中心となる技術は、排水処理系内に棲息する土壌菌を自然界(土壌中)における棲息レベルに循環・培養することにある。自然環境に棲息する土壌菌郡は分泌物にフェノール系物質が含まれ、これが土壌の生成、汚泥の生成(結果としての浄化)に大きく働きかけることがわかっている。したがって、これが正常に保たれている限り、ハート技術。装置に関する許容範囲は極めて広く、従来の処理装置にも付加(リアクターシステムに変換/非フェノールからフェノール系への変換)することも容易であるという。

自然浄化法リアクターシステム廃水処理の特徴

1) 調整槽からの悪臭を完全に防除する

2) 高次処理施設を付加することなく、処理水質BOD≦5ppmとなる

3) イオン性物質の除去が可能である

4) 雑菌類の抑制は、土壌菌郡の働きによってなされる

5) 曝気条件は原則として間欠状態となる

6) 処理水中で渓流魚(イワナ、ヤマメ等)の棲息が可能である

7) 汚泥の土壌還元が可能である

問い合わせ

青木電器工業株式会社 環境事業部 ナチュラルエンジニアリング部

本社/〒161-0033 東京都新宿区落合2-1-17

Tel:03-3983-2193(ダイヤルイン)

トイレ排水浄化リサイクル施設フローシート

自然浄化法リアクターシステムの廃水処理によって、処理水で渓流魚の生息可能なほどの循環型浄化トイレが可能となった。

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