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NIクラブ エッセイ 私たちの街の「うれしくなるゲーム」を始めよう -- 大峯 郁衣

私たちの街の「うれしくなるゲーム」を始めよう

大峯 郁衣

 私の21世紀は、ウォーン・オーパンバル(オペラ舞踏会)オーケストラによるニューイヤーコンサートで始まった。明るくて軽やかで華やかなソプラノ歌手メラニー・ホリデーの舞台は、何回見てもいい。それにしても50台の彼女、果たして今年もやってみせてくれるだろうか。聴衆の多くは、彼女のアレを絶対に期待しているはずだ。「うわっ、やった!」私は思わず声にした。2時間近いオペレッタがフィナーレとなり、アンコール曲の最後は、客席の手拍子も入る景気のいい「ラデッキー行進曲」。その最後の最後で、メラニーはドレスにハイヒールの出立ちであの華麗なる側転をやってみせたのだ。洗練された美とどこか庶民風の親しみを感じさせる人。その彼女も、2ヶ月前に「最愛の人生の師」たる母上を失った。だが、今回もあたたかくて楽しい舞台を見せてくれた。メラニーさん、ありがとう。私もやってみます。側転ではないけれど。

 この1月、450余世帯が所属する自治体の幹事を務める、地域内外のさまざまな行事を目の当たりにしてきた。みな当番制の幹事だから最初は義務感がただよっていたが、年度末のここへきて、和気あいあいとした中で二つの懸案事項を抱えている

 ひとつは、市から補助金の出ている老人会が、今や風前の灯なのだ。高齢者による高齢者の世話には限界があるのだ。敬老の日に戸別訪問をして初めて知ったが、私たちの街には70歳以上の住民が170余りいる。だが、戸外で見かける姿は極端に少なく、たいていは終日TVや新聞をみて暮らしているらしい。今後も会の活動が休眠状態であれば補助金は打ち切られるという。さてどうするか。

 もう一つは、ほとんどの住民はもっぱら桜見物を楽しむだけで落ち葉の季節には無関心。だが、今回、沿道の住民による清掃がなされてきたことへの感謝と反省の声があがったのである。

 ああ、やはりみな同じ思いだったのか。

 私たちは、正直なところ、4月2は自治体の役も終わる、あと少しの我慢がまんと自分に言い聞かせてきたのだが、善良なる私たちは、この度、両懸案について細くとも長くの活動を始めてみようということに決めたのである。そう、始めの一歩をまもなく踏み出すのである。

 老人会の方は、実は私が世話人を買って出た。目下、この地に知った人がだれもいない私の母に、地方の一人暮らしの時代にはあったという誕生会を開催して家族以外の話し仲間を見つけてもらいたいと思ってのことである。

 また、道路の清掃の件では、「毎月、住民みなでしましょうよ。お互いに顔見知りにもなれるし」と誰かが発言すれば、「子供会にも働きかけて一緒にしてみたら、奉仕のこころを学ぶ事にもなるわ」と加速度的な勢いなのか、「掃除の後に、豚汁を作る楽しみがあるといいわね」などという提案もあって、私たち幹事の顔はパッと輝いた。

 が、頭を冷やしてみれば、問題山積みとなっているではないか。自治会と子供会の日程の調整は容易か、豚汁の食材の買い出しは誰がするのか、鍋はどうするの、食器は持ち寄りか、まさか使い捨てではないでしょね等など。

第一、集めたごみや枯れ木はどう処理するのか、環境にやさしくとの解決法を優先しなければいけないし。

 しかし、私たちは年の功からか、またしても賢くまとまった。まずは原点に返ってシンプルに実践しようということになったのである。私たちの任期中に自分達が率先して清掃しようということになった。そして、やるからには楽しくやりましょうということに決まったのである。何よりも、人と人とのふれあい、これが私たちの街で今いちばんほしいものかもしれない。老若男女おりまぜて。

 このところ、私の心には、『少女ポリアンナ』(エレノア・ポーター作)のあの前向きの姿勢が乗り移っているような気がする。

 20世紀初頭のアメリカで一躍有名になったポリアンナ。11歳の彼女は、クリスマスのプレゼントに人形をと願っていたのに、なぜか松葉杖がとどいてしまう。

 だが、彼女は「(松葉杖を)使う必要がないからうれしくなれる」と、パッと瞬時に考えを切り替えてしまう。

 この「なんでもよろこびを発見するゲーム」すなわち、「うれしくなるゲーム」の導入は、50代も半ばとなった私が、これからの日々、ひがみや後ろ向きの人生観に捕われないようにするために必要な発想の転換を勧めていてくれているように思える。

 当時のアメリカは、アメリカは南北戦争から立ち直り、自我と独立を謳歌し、人間の善を信じきった楽天論が人々の心を占め、社会は希望と明るいヒューマニズムにあふれていたという。さぞかし、ポリアンナのような人が多く出現したのであろう。日本の21世紀は、どのような人の出現が期待されているのだろう。

 さて、義務から出発した私たちの自治会活動も、年末度に来て、何かしら喜びを見つけようとする自分たちの意識の転換に気がついた。

 発想の転換こそが、周囲の人々に希望を与えるというポリアンナの心と、あなのメラニ−・ホリディの側転が、私の背中をポンと押してくれて行動へと弾みをつけてくれたように思う。さあ、私たちも、「うれしくなるゲーム」を始めてみよう。

 実は、今回の幹事になるまでは、私は、自分の足元たる地域への関心は高くなかった。これを機に私も変わっていくような気がする。

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