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ネイチャーインタフェイス > この号 No.03 の目次 > P66-69 [English]

アジアの生き物 -- 秋濱 友也































ムスタン王国の薬用植物

写真=渡辺高志

   安部豊(北里大学)

少数民族の薬用食物

チベット編

遺伝資源とは、人類の未来の食糧確保や生物の有効利用のための品種改良に供する遺伝子そのもの、あるいはそれを持つ個体のことである。

地球環境の悪化とともに、多様な遺伝資源の多くが、今や消滅の危機にあり、国際協力により保存事業が進行中である。これらは、遺伝資源探索・導入・保存・評価・利用の手順で実施される。

ネイチャーインタフェイスでは、主として植物や昆虫等を中心に遺伝資源の豊富な未開地の少数民族が先祖代々利用してきた野菜・果物・薬草等の探索記や、世界における遺伝子の多様性について順次紹介して行きたい。

本号では、昭和天皇陛下の生物ご研究の成果であるナスヒオーギアヤメ、ネパールのムスタン王国の薬用植物、東北タイの食文化ともいえる食べる昆虫についてとりあげた。  秋濱友也       

ムスタン王国の初夏の様子(手前左が第25代ムスタン王が住む宮殿で、中央がチベットの僧医アムチー)。乾燥した大地が広がり、万年雪をかぶった山岳地帯から溶け出る湧水が小川となり、野畑を潤し、そこに少数民族が暮らす村が広がる。

ヒマラヤソバの芽を摘む、ムスタンの子供たち。ソバの主成分ルチンは、日本のソバの約10倍ともいわれており、山岳地域では野菜にしている。

ムスタンの初夏、アブラナを摘む少女。

野草を食べ尽くすヤギの群れ。家畜の食行動をヒントに薬にも毒にもなるが、そのことをムスタンに暮らす人々はよく知っている。

チベット文化特有のバター茶を作っているチベット族の婦人。

ムスタンでは、大人から子供たちへ生きる知恵として薬用になる山野草について言い伝えられる。野草の多くは、家畜の餌になるが、山岳地帯では救荒作物として重要な食糧になりうる。

ヨモギの仲間

Artemisia sp. キク科

お香の原料や鎮痛薬として薬用にする他、日本のヨモギ餅のように食用にする。

ロサ・セリセア

Rosa sericea バラ科

高山草原や耕作地の土手など日当たりの良い場所に生える。花は乳白色または淡黄色で、花弁は4枚、まれに5枚のものもある。8月に果実が赤く熟し甘味があって食べられる。インド北西部からミャンマーの標高2200〜4600mに分布。花期は5〜8月。

ランセア・ティベティカ

Lancea tibetica ゴマノハグサ科

高山の湿地や放牧地に普通に生えるが、家畜は食べないらしく放牧地でもよく残っている。地上部と果実を薬用にする。パキスタンから中国南西部の標高3000〜4800mに分布。花期は5〜8月。

オオバコの仲間

Plantago major オオバコ科

救荒作物になるほかに、便秘症や整腸薬として用いられている。

アンズの仲間

Prunus sp. バラ科

ムスタンの民家の庭先に必ず植えられているアンズの原種。果実は共通種よりも小さく、味は酸っぱい。現地では、“コルバニ”と呼ばれる薬用果実である。

メコノプシス・ホッリドゥラ

Meconopsis horridula ケシ科

「ヒマラヤの青いケシ」の代表種。高山の強風を避けて岩陰によく見かける。鋭い毛に覆われ触れると痛い。鎮痛作用があり中国やチベットでは全草を打撲傷などに用いる。ネパールから中国南西部の標高3000〜5800mに分布。花期は7〜8月。

ジンブー

Allium hypsistum  ユリ科

アサツキの仲間。ジンブーと呼ばれているものは何種かあるが、本種は最も品質の良い香り高い香草で、花は濃い赤紫色である。乾燥した葉は保存食になり、ドルポ地方の特産品として袋詰めしカトマンズ等に出荷される。

プリムラ・シッキメンシス

Primula sikkimensis  サクラソウ科

標高4210mで見られた。駆虫薬として用いられる。

昭和天皇陛下が研究されたナスヒオーギアヤメ

ナスマツコヒオーギアヤメ

ヒオーギアヤメ

ナスヒオーギアヤメ

キリガミネヒオーギアヤメ

わが国に自生するヒオーギアヤメの仲間には、ヒオーギアヤメ、ナスヒオーギアヤメ、キリガミネヒオーギアヤメの3変種がある。ヒオーギアヤメの起源の研究は、秋篠宮文仁殿下に受け継がれている。ヒオーギアヤメとナスヒオーギアヤメの交配種(b)は、貴重な遺伝資源でもある。(財団法人進化生物研究所 芹澤良久、秋濱友也)

タイ東北部の食用昆虫

タイ東北部の

食虫文化

タイ東北部に住むラオ族は、ネズミやコブラ、アオミドロ、昆虫類はすべて食べる。彼等は「生えるものは野菜、動くものは肉」という食文化を生みだした。車で走ると水田の中に木が立っており、水田と森林を融合させた「産米林」が続く。これは生物にとって多様性が育まれる理想的な生態系であろう。そこには昆虫が蛋白質源として生産されている。

                    秋山信(進化研)

バナナセセリの幼虫はバナナの葉を巻いて巣を作る。農作業の合間に巣をあつめ、そのままおかずにする。

カブトムシの仲間のヒメカブト。塩茹でにしたものは少々カビくさい。

ツムギアリ、樹上で葉をつむぎ合わせて巣をつくるアリ。幼虫、蛹と少量の成虫をバナナの葉にくるんで売られる。生のまま食べる。味はすっぱく幼虫の甘さが調和している。

タマムシを調理して店頭に並べる準備中。大型で美味。むしった翅はひもでつなげて装飾品にする。

体長5cmと大型のコオロギ。タイワンオオコオロギの一種。タイでは素揚げに魚醤をかけて食べる。ポピュラーな食品。

体長5cmのアカアシフトタマムシの素揚げ。翅と脚を除いてからっと揚げる。塩をふってビールのつまみに最適。

食用昆虫のみを扱う露店。ツチイナゴ、アカアシフトタマムシ、タイワンオオコオロギの素揚げ、スズメバチの幼虫、蛹のゆでたものが並んでいる。

上はカイコの蛹、下はスズメバチの幼虫。スズメバチはほんのり甘く人気の食材。炊き込み御飯にすると絶品。

タガメは高級食材、養殖も行われている。客は1匹1匹手に取り、匂いを確かめ、良い香りのものを選ぶ。チリソースにタガメを混ぜた調味料メンダーチリはなかなかの風味。贅沢な食品である。

タイの産米林、田の中に木が植えられている。木には鳥や昆虫が集まる。

水棲昆虫と子ガエルを混ぜたもの。ゲンゴロウ、ガムシ、トンボのヤゴ、タイコウチなどが大半を占めている。結構な人気商品である。

袋に集めて売られるイナゴ。調理法は日本の佃煮とはちがい、素揚げにして塩をふって食べる。

灯火に集まる昆虫、カブトムシ、スズメガ、ケラ、コオロギ、カメムシ、ゲンゴロウ等をミックス。塩茹でにして売っている。

体長10cmを超える緑色のバッタ。素揚げにして塩をふったものが露店に並ぶ。外骨格がかたくゴリゴリしている。

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