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WIN

2001 July

NewsLetter

自然環境形成学分野における

ネイチャーインタフェイスへ

の期待

東京大学大学院

新領域創成科学研究科

環境学専攻

教授 渡辺達三

 「自然との共生」の必要性が叫ばれている。それには、人間自身の自然 human nature を共生に適合し、それを志向するものへと開発し、変革していくことが求められる。この人間自然の変革は、自然との不断のコミュニケーションを通じ、自然との交感能力を高め、その感性を鍛えていくことから始めなければならないであろう。

 それには、人々の自然とのふれ合いを促し、「共生」の感性や知性をゆたかに育み、誘発する「アフォーダンス」の場となる「自然的環境」の形成が求められる。その環境の形成上、緑が多大な役割を演じるが、その緑は人間の自然に対する働きかけについての情報をゆたかに生成する。緑を人間の営為のみられる多様、多彩な空間、施設に配し、人々の自然に対する働きかけや応答についての情報を発信させる。その情報を通じて人間の自然に対する働きかけの是非や妥当性を検証し、そのよりよいあり方を追求する手立てとする。

 そして、その緑を人間のケア(世話)のもとに置くのである。ケアは、自然とのポジティブなコミュニケーションを図るうえでの重要な契機となる。適切なケアには、対象に対する理解が欠かせない。それは相手への関心を高め、コミュニケーションを深める。ケアの実行に先だつ診断(観察)では、そこに刻み込まれている人間の働きかけの中身が反省され、より適切なケアのあり方が追求される。そのケアによって対象がゆたかに発展すれば、その喜びも高まる。そのような過程を通して、「共生」に求められる感性や知性が鍛えられ,ていく。

 その緑は、交歓や癒しの媒体等々としても魅力的である。人間自然の変革に係る学習は悦ばしく、安らぎのあるものであることが望まれる。緑を人間の存在をやさしく包み込み、その自然をゆたかに発展させる人間の親しいパートナーに育て上げていくことが大事である。

 以上の「自然的環境」を形成するうえで、人間自然と緑、自然とのコミュニケーションの実態や機作の把握、解明が不可欠であり、ネイチャーインタフェイス導入による当該研究の発展が期待される。(二〇〇一年一月二五日 第四回NPO WINの会講演要旨)

参考文献

中村隆治・藤井英二郎(1992):生垣とブロック塀をみたときの脳波特性の比較、造園雑誌、55(5)、p.139-144

松原恭子(2001):植栽形態の違いによる大規模道路沿い公園の空間評価に関する研究、卒業論文、p.41

生体内埋込機器への

エネルギー伝送

日本学術振興会

特別研究員 柴 建次

 現在、実用化あるいは研究段階である生体内埋込機器として、心臓ペースメーカ、埋込型除細動器、人工心臓等が知られている。消費電力が小さい心臓ペースメーカや埋込型除細動器等は、リチウム電池を用いたものがほとんどであるが、数年間で取り替えを必要とする。一方、消費電力が大きい人工心臓等は、体外から電線を用いて直接体内に電力を伝送するものが一般的である。しかし、電線が皮膚を貫通することで起こり得る感染症や患者のQuality of lifeを考慮すると、この方法は望ましくない。そこで、電磁誘導を用い、皮膚表面からワイヤレスで体内にエネルギー伝送する方法(経皮エネルギー伝送)が有力な方法と考えられ、一九六〇年頃から研究されてきた。しかし、体動等によるコイルのズレ等に対して、安定した電力供給と高い伝送効率を維持することは難しい技術であった。我々は、これらを克服できる体外結合方式の経皮エネルギー伝送用トランスフォーマ(体外結合型経皮トランス)を提案し、これを用いた経皮エネルギー伝送システムの解析・設計・開発を行ってきた。そして、高い伝送安定性と伝送効率を実現した。

 しかし、携帯電話等から放射される数百mw程度のエネルギーでさえも生体への影響が懸念されているのに対し、人工心臓等で必要とされる数十Wというエネルギーを皮膚越しに伝送して生体に問題はないのであろうか。

 電磁波による生体作用の一つに熱作用がある。熱作用の評価量としては、生体組織に吸収される単位質量当たりの電力吸収量(SAR : Specific Absorption Rate、単位はW/kg)が用いられる。ここでは、経皮エネルギー伝送時における体外結合型経皮トランス付近のSARを電磁界解析によって求めた。その結果、経皮トランス近傍のSARは、40W伝送時においても最大0.3W/kg程度であり、生体に問題ない程度であった(郵政省の指針値:8W/kg)。さらには、ヤギの腹部皮下に経皮トランスを装着し、約4ヶ月の間、20〜40W伝送を行い、生体に悪影響を与えないことも動物実験によって確認した。

今後、人工臓器や医療機器はもちろんであるが、小型・軽量化が進めば通信・情報機器等も、ウェアラブル化、あるいは、生体内埋込化が行われることが予想される。これから登場すると考えられるこれらの機器に、上述したエネルギー伝送技術が応用・利用できればと考えている。

(二〇〇一年一月二五日 第四回NPO WINの会講演要旨)

会員の声より

日本海鳥グループ

中澤 鳰

 JEDICは、一九九七年に起きたナホトカ号の事故をきっかけとして出来た団体で、 設立準備期間を経て、二〇〇〇年五月に設立された。海事・環境に関する複数の団体 の集合体であり、会員は個人ではなく、日本海難防止協会、日本野鳥の会、日本海鳥 グループなどの団体である。JEDICは流出油等の環境災害から生態系や野生生物 を保護することを目的としている。現在の大きな活動は定期的に開かれている学習会 で、水産庁、環境庁や海外の自然保護団体等から講演者が招かれ、意見交換をし、ネ ットワークを広げていく場となっている。

 日本海鳥グループは、海鳥の保護を目指して情報交換、研究調査、普及啓発活動を 行っている団体である。会員は研究者や海鳥に関心のあるアマチュアである。現在日 本で保護が問題にされているのは離島や離礁で繁殖し、繁殖期後はもっぱら洋上で過 ごすような海鳥である。これらは海上汚染や漁業など人為の影響を受けながらも、人 目に付かないところで生活しているため、数が減少しても人間には気付かれにくい。 海鳥の数の減少には、繁殖地と洋上とでの要因が絡み合っている。繁殖地における要 因としては、繁殖地の減少、また特に日本では、カモメ、ノラネコによる被害が挙げ られる。また洋上における要因には海上汚染、漁業で魚と一緒に捕獲されて死んでし まう混獲などが挙げられる。しかし生息場所が外洋や離島である為、保護に必要なデ ータは殆ど蓄積されていない。

 ところで、陸上では位置情報サービスが進展し、機材の軽量化、高性能化が進んでい るので、外洋においてもIT技術の利用による海洋生態系モニタリングの高度化が期 待される。絶滅の危機にさらされているウミガラスに観光船やカラスが及ぼす影響の 長期的調査が検討されたことがある。観光船やノラネコの繁殖への影響を調査する為 にリモートカメラ設置を昨年検討したが、高いコスト、バッテリーの寿命、潮風によ る塩害などの問題があり、実現しなかった。

 今後のIT技術の発展と海洋生態系保全への応用が期待される。例えば海鳥の洋上分 布を調べるための一つの方法として、定期航路船に自動ビデオカメラを設置すること が考えられる。船の定期航路に入っていないところでは、人工衛星画像を使うことに より、海鳥の分布域が推定できるかもしれない。また、大型の海鳥については、海鳥 にPHS・GPS端末等をつけることにより、行動範囲が推定できる。ただ、これに は耐水性、耐塩性、耐圧性、基地局の確保等をクリアしなければならない。また、端 末をつけられない小型の海鳥については、他の大型海生哺乳類に端末をつけることに より、時には小型の海鳥も間接的にモニタリングできるかもしれない。(記録・事務 局)

 中澤氏はシステムエンジニアであるが、ボランティアとして日本環境災害情報センタ ー(JEDIC;Japan Environmental Disaster Information Center)や日本海鳥グルー プの活動に参加しており、海洋生態系の保全においてもITを活用できないかと考え ている。

中澤氏はこれからも海鳥の保護のために啓蒙、普及活動をしていきたいと考えてい る。(二〇〇一年三月二二日 第五回NPO WINの会 講演要旨)

視野に入る緑の面の割合とα波の出かた(中村ら 1992)

一列に並べた植木の前にコンクリートブロックを積み上げ緑を遮り、視野に入る緑の占める面の大きさとα波の出かたとの関係をみた実験結果。7段のブロック積み上げで緑が完全に遮断されるが、ブロックを外すことにより、α波の出る率(α波とβ波の和に対する)が高くなる。

公園周りの植栽デザインと心理因子との関係(松原 2001) 公園の外縁に、量、デザインの異なる緑を配した画像を学生に提示し、形容詞対により評価してもらったデータのクラスター分析と多次元尺度構成法による解析結果。X軸では公園の開放性・囲繞感に関係する評価尺度が抽出され、Y軸ではプラス側にデザインに係る客観的な因子、ゼロ近辺に安全・静かさ・落ち着きなど緑の環境形成に係る因子、マイナス側に長くいたい・好きなど総合評価に係る心情的因子が布置されている。

図1 経皮エネルギー伝送システムのブロックダイアグラム

Fig.1 Block diagram of externally-coupled transcutaneous energy transmission system

図2 ヤギに装着した体外結合型経皮トランス

Fig.2 Externally-coupled type of transcutaneous transformer attached to goat

図3 完全埋込型人工心臓システム

Fig.3 Totally implantable artificial heart system

自然環境形成学分野におけるネイチャーインタフェイスへの期待

渡辺達三・東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻 教授

生体内埋込機器へのエネルギー伝送

柴 建次・ 東京理科大学 理工学部 電気工学科 越地研究室 日本学術振興会特別研究員、

現在:東京大学新領域創成科学研究科環境学専攻 助手

会員の声より

中澤 鳰・日本海鳥グループ

NPO(特定非営利活動法人)ウェアラブル環境情報ネット推進機構

理事長:板生 清  事務局:旭 紀子

ニューズレター編集:佐々木健・河村久仁子

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◆入会のご案内

<会員の種類>

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◆次回の定例会

7月27日、文京区本郷―フォレスト本郷。

ご講演者、山岡亮平氏(京都工芸繊維大学教授)、小山恵美氏(松下電工株式会社)、河内啓二氏(東京大学教授)ほか。

ご興味のある方は、ぜひ事務局にお問い合わせ下さい。

◆「WINの会」定例会の今後の予定

7月27日 (金)15:00〜

9月21日 (金)14:00〜

11月21日 (水)15:00〜

◆9月21日定例会について

9月21日定例会は、東京大学と共催。フロンティアサイエンスフォーラム(FSフォーラム)として以下のタイトルで開催致します。

『産学連携による新領域技術の開拓―アグリ・ビジネスへの展開―』

 新領域創成科学研究科の研究領域はIT、ナノテクノロジー、先端生命科学、環境学などがある。これらの技術をベースにした産学連携のプロジェクトを探索するため、今回は植物の成長制御を中心にしたIT農業に焦点を当てる。ストーリとしては、まず植物の成長に関する基礎技術について先端生命科学の立場から概説し、つぎに栽培技術、システム技術、センサ技術、ネットワーク技術などを紹介し、最後に総合討論によって技術からビジネスまでの展開を考える。

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