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バビロニア人による日時計の発明から、

ガリレオの「振子の等時性」発見までの趨勢

 今から三五〇〇年ほど前、西南アジアのチグリス、ユーフラテス川下流域に誕生した世界最古の文明・メソポタミアの住人であったバビロニア人により、はじめて日時計がつくられたとされている。人類が「時を計る」という概念を獲得し、さまざまな機器を使用した時計の歴史が開始される。そのウェアラブルにいたるまでの歴史を図1に示した。

 紀元前二世紀になると、アレキサンドリア(エジプト北部、ナイル川のデルタ地帯の都市)で自動式水時計が発明された。これは円筒に水がたまると浮子が徐々に浮いてくる原理を利用し、浮子と一体になっている人形が時を指し示すようになっていたといわれる。さらに、砂時計、日時計などが盛んにつくられ、歯車装置で時を計るものや、自動的に教会の鐘を打つからくり時計のようなものがつくられてゆく。次第に機械的な時計が生まれてきたのである。

 本格的な機械時計は一三世紀頃に誕生したが、一三六〇年にドイツのヘンリ・ド・ヴィックがフランスのシャルル五世のためにつくったものが、現存する世界最古の機械時計として有名である。この時計は錘を動力とし、回転速度をできるだけ一定に保つ調速装置に棒テンプと冠型脱進機を使用してできていた。指針は一本のみ、分針はなく、高さは一〇フィート、二五〇キロもの錘が使用されていた。

 現在の機械式時計の原理は、一五〇〇年頃にドイツで発明されたぜんまいを動力とする小形時計である。さらに、一五八一年にはイタリアのガリレオ・ガリレイが「振子の等時性」を発見、振子を時計に応用する道が拓かれた。

脱進機と調速機の誕生が拓いた

携帯型時計への道

 振子時計を発明したのはオランダのホイヘンスで、一六五七年のことだった。さらに彼は一八年後の一六七五年に「ヒゲぜんまい―テンプ調速機」を発明し、携帯型時計の道を拓いた(図2は、当時の先取権を願い出るための覚え書き)。

 さらに、時計の歴史にとって画期的な出来事である脱進機の発明がイギリスでなされ、ついで一八世紀には機械式時計の心臓部である調速機が誕生し、テンプや振子の歩度を調整することができるようになった。こうした発明により、携帯時計はめざましい発達を遂げることになる。

 一八世紀には、パリ、ロンドン、ジュネーブを中心に手工業による分業で時計産業が発達し、一九世紀後半になると手工業を脱した合理的製造システムがアメリカで実用化された。一九世紀後半から二〇世紀にかけて機械式時計はめざましく普及したのである。

 機械式時計のしくみは、ぜんまいが解き放たれた力を歯車、変換機、テンプの回転へと導き針を動かすことでなりたっている。つまりぜんまい時計では、ぜんまいの動力源からエネルギーが少しずつ、とり出されるしくみになっている。

 ぜんまいから調速機(テンプとヒゲぜんまいとアンクル)、脱進機(アンクルガンギ車)、ガンギ車と歯車列をへて指針にいたる機械部分の集合により、機械式時計は構成されている。図3に描いた調速機は、ヒゲぜんまいによりテンプが一定速度で往復回転運動をしている様子を示している。また図4は、調速機の軸の近くにあるピンでアンクルがガンギ車を一歯ずつ送っている脱進機のしくみを描いたものだ。図5は、図4をさらに詳しく示したものである。つめaがAから離れるとガンギ車は右へ回る。右側のつめbがBにひっかかってガンギ車は止まる。つぎにbはBより離れ、ガンギ車は右へ回る。こうしてアンクルはテンプにより常に一定の周期で左右に振動し続けるので、ガンギ車も一定の速度で回転し続け、これにかみ合う歯車も一定速度で回転するわけである。

 こうして発達してきた機械式時計ではあるが、まだこれだけのしくみでは、正確な時を刻むのは難しい。いかに熟練工といえどもテンプの回転を一秒にピタリと合わせるのは至難のわざだった。

マイクロメカトロニクスの最前線をいく

クォーツ時計の出現と、

マイクロ情報機器へのさらなる展開

 これらの機械式時計に対し、電気の力を利用して時計を動かす方法が発明されたのは一八〇四年、アメリカにおいてである。これは電磁力によって振子を動かすというものだった。その後、交流電気時計が生み出され、さらにトランジスタの発明により一九五四年にはトランジスタ時計が誕生した。しかし、トランジスタが時を刻む精度の信頼性はいまだ十分なものではなかった。

 そして、トランジスタ時計が世に出た一五年後の一九六九年、その欠点を補ってあまりあるクォーツ時計が、世界で初めて開発・発売された。その内部構造は、水晶振動子とIC、超小型ステッピングモータからなっており、日差〇・二秒と精度は機械式時計に比べ数段高まった。

 クォーツ時計は電池を駆動源とし、水晶を振動源としている。電圧をかけられた水晶が振動を始めると、表面にプラスの電気とマイナスの電気が交互に発生し、ICとの組み合わせでつくられた発振回路により、純電子的な信号が発生する。この周波数を二分の一ずつ落とす分周という作業をくりかえす。時計用の水晶振動子の発振周波数三二七六八ヘルツは二の一五乗であるので、一五回の分周によって機械的な信号に変換して、ロータを回転し歯車で構成されている輪列によって針を駆動する。

 以上のように、クォーツ時計の技術は、それまでの機械式時計のさまざまな問題を解決した画期的な技術であった。つまり、消費電力の小さい低電圧動作のLSI、表示素子としての液晶、長寿命・小型のボタン型リチウム電池や酸化銀電池などの電気部品とステップモータ、小型歯車伝達部品などの機械部品により、ミニチュアリゼーションを極限まで追求してきたのだった。まさにクォーツ時計こそ、微小振動技術を利用した精密機械として、ウェアラブル情報機器の最前線に位置してきたといえる。

 図6に今までの時計の進展を整理したが、クォーツ時計の微小振動子をベースにした新しい展開は、すでに始まっている。それが、図7に示した新しいウェアラブル機器への展開である。

 マイクロ情報機器のなかで、すでに多機能腕時計として商品化されているのは、

(1)ビジネス志向タイプ。

(2)アート志向タイプ。

(3)アウトドア志向タイプ。

(4)アウトドア志向タイプ(ダイバー)。

 マルチメディア時代に向けて、通信と時計技術の融合が新製品を続々と生み出しつつある。

 まさに時計は携帯電話やウェアラブル情報機器のルーツであり、次に登場するネイチャーインタフェイサ(センサ情報通信端末)の基礎をなしているといえよう。

図1|

図2|携帯用ヒゲぜんまい:テンプ調速機の発明

(ホイヘンスの覚え書き)

図3|調速機

図4|脱進機

図5|脱進機の働き

図6|

図7

1|ビジネス志向タイプ(CASIO:イージートレック)/最大30秒間の音声が収録可能。テレメモ機能、最大20件。電話番号記録、スケジュール管理などの機能も充実。

2|アート志向タイプ(CASIO:リストカメラ)/小型デジタルカメラ内蔵表示モニタは白黒16諧調STN液晶。画像は100枚まで保存可能。

3|アウトドア志向タイプ(CASIO:サテライトナビ)/GPSを内蔵し、人工衛星から現在地が計測可能。パソコン接続でルート設定もできる登山者向けウォッチ。

4|アウトドア志向タイプ(ダイバー)CASIO:ツールコンセプト)/3つのセンサで、気温、方位、気圧、高度が測定可能。海抜10,000mでの計測可能。

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