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[特別企画] 個人向けの医学気象情報を発信する「健康予報PLUS」の出現



個人向けの医学気象予報を発する 

「健康予報PLUS」の出現

「気温が急速に下がるので注意を」などとアドバイス

 気象の変化による健康への注意事項を伝える、いわゆる健康予報システムを、環境開発の総合コンサルタントを手がける国土環境(株)が開発した。

 現在、フジテレビとヒューチャーネットと共同で「バイオウェザーサービス」をおこなっており、フジテレビの「めざまし天気」などで放映されている。紫外線量や熱中症の予報を地域別にわけ、紫外線量は四段階で強弱を表示し、熱中症は五段階で注意度を知らせるというもの。視聴者は、その情報をもとに、紫外線や熱中症に備えるわけである。

 海外に目をむけると、たとえばドイツではすでに気象をもとにした健康予報のWebサイトやテレビ番組があり、不定愁訴などメンタル面もふくむ約三十項目の疾患についての予報が、一般向けにわかりやすく紹介されているという。

 万人向けの医学気象予報を日本で初めて着手したのは国土環境である。しかし、同社がバイオウェザーサービスの一環として来年四月からの実施を目指しているのは、個人と契約し、それぞれの人が抱える症状に応じた予報や情報の提供をおこなう「健康予報PLUS」である。

気象の変化に対応した医学気象予報を模索

 国土環境が医学気象予報に注目したのは九九年末のこと。当時を振りかえり、IT事業推進部の宮下良治さんは次のように語った。

「通産省がおこなっているG―XMLシステム(GIS=地球情報記述・流通の標準化)に参加し、G―XMLの応用事例を模索しているとき、持ちあがったのが、わが社が長年培ってきた環境解析技術と気象予報技術を組み合わせて、リスク回避に役立つリアルタイムの情報サービスができないかということでした。その発想がふくらんで、気象の変化に対応した医学気象予報システムを模索しはじめたのです」

 調査を進めていく過程で、日本生気象学会の存在を知ることになる。生気象学はドイツで生まれた学問で生物と気象の関係や、病気と気象の関係、さらには衣食住をふくめた研究をおこなう学問であり、多くの分野の研究者で組織されているのが日本生気象学会なのである。そして国土環境が模索する医学気象予報システムに共鳴した同会の医学関係者が中心となって発足したのが、バイオクリマ研究会だった。

「つまり、生気象学の研究成果を、社会に役立つかたちで還元するという共通の目的のもとに、研究者たちが協力し合って医学気象予報を開発することになったわけです」と、宮下さん。

対象者は喘息やリウマチなどの症状を抱える人

 さて、個々向けの医学気象予報をおこなう健康予報PLUSは、iモードなど携帯電話の機能を利用したインターネットサービスで見ることができる。契約者に渡されたセンサ(温度、湿度、気圧など内蔵)の測定値と、利用者が入力する体調などを分析。それを気象予報をもとに一人一人に精度の高い個別の健康情報を提供していくもので、当初、対象となるのは喘息やリウマチなどの症状を抱える人々に対してである。

 個人データについて詳しく述べれば、居住地、脈拍と体温、毎日服用している薬の種類や、喘息の場合は気管支の状態を示すピークフォーの値、そして病歴と現在の体調などが必要となる。たとえば、「頭痛がした」「膝が痛んだ」などの情報を、日時とともに報告してもらい、予報システムににフィードバック、データ蓄積で情報精度向上に役立てる。また、忘れてならないのは周囲の環境状況である。

「冷房などの人工環境が体調に影響を与えていることはわかっており、その頻度はますます大きくなっています。人工環境を把握することは医学気象情報に欠かせないデータです」と宮下さんは指摘する。

 しかし、医学気象情報をスタートするうえで越えなくてはならない、高いハードルがあった。健康予報PLUSで利用する個人健康情報のプライバシーの問題、多機能携帯型センサの開発など。その点について宮下さんは、「今後、さらに検討を重ねていかなければなりません」と答えた。

 ともかくも医学気象予報は、集められた、それらの個人健康情報をもとに、気象の変化とあわせて分析。病気が発症する危険度を利用者に知らせる。たとえば明日の気象が、その人の体調によくない場合は、「気温が急速に下がるので注意を」といった健康予報を発し、しかも、いかなる因子によって危険度が高まるのかをレクチャーしてくれる。

 

将来は環境問題も取り込んだ医学気象予報を

 それにしても、最近の個人の健康に対する意識の高まりには目を見張るものがある。高齢化社会を目前にして医療や健康に関する産業もにわかに活気づいている。一方、医療に関する情報は、電子カルテの実用化に向けた動き、医療情報提供専門業者の出現などで、急速にIT化が進行している。

 このような中で、医学気象予報は予防医学に直結し、早期発見、早期治療ではなく、病気を未然に防ぐことや健康の維持管理、さらに快適な生活空間の創造に役立つサービスである。

 宮下さんは、「将来的には、ダイオキシン、環境ホルモン、土壌汚染、黄砂、酸性雨などの環境問題も取り込んで、総合的健康リスク管理に発展させたい」と語る。

 リアルタイムの健康予測を求めるニーズは、さらに高まることが期待される。

国土環境(株)

IT事業推進部グループ長 

宮下良治さん

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