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[開発最前線] 究極のウエアラブル・単眼式アイトレック -- オリンパス光学工業









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開発最前線

だから生き残るのは、脱出を果たした人たちだとぼくは考えるようになった。……

よくいう「脱出」とか「すべてをあとにする」にしても、檻の中の遠足だ。

たとえその中に南の海があり、絵に描いたり帆走に適していたとしても、檻であることに変わりない。

完全な脱出とは、二度と帰れないものを意味している。

(フィッツジェラルド作品集3「貼り合せ」(荒地出版社)より抜粋)

われわれはようやく21世紀にたどりついたのか、それとも20世紀を、さらには19世紀を置き去りにしたのか。

答えをだす主体はインタフェイスにある。

オプトテクノロジーからの提案

パソコンの

究極のウェアラブルを実現する

単眼式アイトレックの開発

オリンパス光学工業株式会社

「ウェアラブル」という言葉が一般的なものになったのは、いつのころからだろうか。

 すでにその概念を具体化したものとして、腕時計型コンピュータや、大容量ハードディスク、光ディスクなどが次々と製品化され市場をにぎわしている。

 しかし、出現当初は多少の不都合には目を向けず、その目新しさを歓迎していた市場が一転、、「補助的機能では満足しない」「真のウェアラブルの実現」などを求めたシビアな問い直しを要求しはじめようとしている。

 なかでも高性能&小型化という相反するテーマを同時追求することを宿命づけられたPCの領域では、真にウェアラブルであることに対する要求度は極めて高く、それは人間の生理(視覚・操作性)を超越したところにまで達しようとしている。

 もちろんメーカー側はこうした要求に対して手をこまねいているだけではない。

 ノートパソコンと同等の機能を持つヘッドフォンステレオ・サイズの本体、片手で使えるポインティングコントローラー、そして小型・軽量かつ極めて鮮明な解像度を誇るフェイス・マウント・ディスプレイ(FMD) に凝縮してウェアラブルのニーズに対応しようとしている。

 今回、ウェアラブルPC開発のカギともいうべきFMD開発を中心に、その実現をオプトエレクトロニクスという固有の技術で推進するオリンパス光学工業(株)をお訪ねしてお話をうかがった。

日本アイ・ビー・エム(株)との

協業による

ウェアラブルPC用単眼式FMDの開発

リードで述べているとおり、ウェアラブルPC進化の過程で最も困難なクリアすべき課題は、人間の生理的限界を超越する術がなかった事につきる。

 単に技術的にディスプレイを小型化するだけなら、それこそ指の先ほどまでにすることも可能であるはずだ。

 しかし、そうなった場合どのようにしてディスプレイに映し出される映像を見るのか、またコントローラを操作するのか、これはまさに人間の限界をはるかに越える作業になってしまう。

 そうした時、FMDを通常のPCのディスプレイとして使用すればすべてが解決する。オリンパス光学工業(株)と日本アイ・ビー・エム(株)の協業によって開発されたウェアラブルPCモデルの発想の原点ともいうべきものは、まさに「はじめにFMDの技術ありき」という事実だったといっても過言ではないだろう。

さて、FMDである。オリンパス光学工業(株)がFMD開発に着手したキッカケとなったのは、すでに民生用商品として市場にリリースされ高い評価を集めている、小型で大迫力のFMD「アイトレック」シリーズであった。

 サングラスのようにかけるだけで、2m先に広がる62型TV相当の16対9のワイド画面。インナーホンでありながら3次元立体音響。もちろん屋外や移動中でも使用可能。さらにはPS2にもダイレクトに接続。

 という「画期的」と表現されるべき数々の特長を備えたこのシリーズは、世界最軽量とクリアな映像の両立(フリーシェイプト・プリズム&高性能光学フィルター)を実現したものとして、光学技術分野はもちろん、エレクトロニクス技術分野でも非常に高い関心を集めた商品である。

 いわば、光学機器メーカーとして培ったオリンパス光学工業(株)の基盤技術(光学技術)と最先端のエレクトロニクス技術の融合によって生まれた商品である。

軽量化&クリアな画像を実現した

オリンパス独自の光学技術

 メガネのようにかけて迫力ある大画面が広がる。あるいは単眼式でPC用本格モニターとしてクリアな画像を実現する。アイトレックに搭載された多くのテクノロジーは、いうまでもなくオプトエレクトロニクスの分野に独自の技術基盤を確立しているオリンパス光学工業(株)固有のものである。なかでも、その中核的役割を果たしたのが、フリーシェイプト・プリズムおよび高性能光学フィルターである。

▽フリーシェイプト・プリズム

 いわゆるHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ=頭部搭載型ディスプレイ)には、多くの場合、カメラレンズのように複数の凸レンズを組み合わせた光学系や凹面鏡と半透過鏡を組み合わせた光学系が使用されてきた。

 しかし、それでは小型軽量化には限界があった。従来の頭に「かぶる」HMDを、メガネのように「かける」FMD(フェイス・マウント・ディスプレイ)にするためには、光学系の飛躍的な進化が不可欠だった。

 オリンパス光学工業(株)では、2つの最先端技術である「偏心光学系」「自由曲面光学系」を応用。

 フリーシェイトプリズムによって、偏心自由曲面光学系を応用したFMDの製品化に、世界で初めて成功した。その結果、従来の凹面鏡光学系と比較して、4倍の明るさを持ち、しかも、ひずみの少ない鮮明な映像を実現しながら、大幅な軽量化を可能にした。

▽高性能光学フィルター

微小な液晶パネルの映像から大画面をつくり出すFMDやHMDでは、液晶パネルのピクセル(画素)が一つ一つの点として拡大されてしまい、結果として粒子の荒い映像となってしまう。

 それをディピクセライズ(ピクセルを見えなくする)し、滑らかな映像をつくりだす光学フィルターは、フリーシェイプト・プリズムと並んで、FMDに必須の極めて重要な光学技術である。オリンパス光学工業(株)はここでも光学技術を応用し、なめらかさとクリア感の両立を実現する高性能光学フィルターを開発。鮮明でいながら、迫力のある臨場感を実現することを可能にした。

もちろん、これら光学的なR&Dと並行して小型軽量化の追求(FMD‐200で85gという世界最軽量化を実現)、超画質へのこだわり(OSR)、パソコン、DVD、ゲーム機など各種ハイテク機器とのインターフェイスなど、アイトレックには、オリンパス光学工業(株)の保有する数多くの技術が凝縮されているのだ。

ウェアラブルPCの

キーテクノロジーとして

アイトレックのさらなる進化を促進

最後に「PC アイトレック」の超小型ディスプレイとしての特長を列記しておこう。

▽SVGA(800×600)カラー対応。50cm先に10型相当と、ノートパソコンレベルの仮想画面サイズを実現。パソコン用本格モニターとして使用できる。

▽偏心自由曲面光学系を応用した「フリーシェイプト・プリズム」の採用により、48万ドット超小型高精細LCDパネル(対角長12mmのSVGAパネル)の性能を十分に引き出し、周辺部までゆがみのないクリアな画像を実現。

▽ビューワ部を約100gと、同クラスの単眼HMD/FMDとしてはクラス最高レベルの軽量化を実現。

▽フリーシェイプト・プリズムに加え、新光学系の開発により、シースルー機能を実現。外部視野を確保しながらパソコン映像を見ることが可能。

▽左右いずれの眼(利き目)でも使用できるよう、ビューワの装着位置を変えられるとともに、画面上下反転機能を装備。

▽反射型LCD採用により、モバイル用途に不可決の低消費電力を実現。

▽装着位置の自由度の高いヘッドバンド、回転式フレーム、可動式ビューワ部 に、画面を最適な位置に調整できる。また、ロングアイリリーフにより、眼鏡をかけたままでも使用可能。

以上、紹介してきたようにオリンパス光学工業(株)は、PC用途における単眼式FMDをウェアラブルのキーポイントとして位置付けているようだ。もちろん、今後も汎用的なインターフェイスを備えた同タイプの製品開発を進めていく方針であるという。

パソコンと接続可能なPCアイトレック

写真の単眼式PCアイトレックは、パソコンのほか、各種インターフェイスに接続するためにNTSC、VGA、TMDSの試作インターフェイスBOXを用意している。

オリンパスは、今後、「PC Eye-Trek」の開発を進める中で、携帯電話、PDAなど、パソコン以外の情報機器向けにも「DATA Eye-Trek」の可能性を追求している。 

仕様

映像....入力信号:SVGA60HZ

   インターフェイス:GVIF

   素子:0.47型反射型LCD800×600(SVGA) 

   48万ドット

   画角:水平22度、垂直16.5度

   (50cm先に10型相当)

音声.....インナーホン:モノラル・ダイナミック・インナーホン

寸法..... 高さ35mm 幅50mm 奥行170mm

質量......約100g(ビューワ部のみ)

消費電力.....動作時1.6W(ビューワ部のみ)

フリーシェイプト・プリズムのイメージ図

 @|液晶パネル

 A|光学フィルター

上|凹面鏡光学系

レイアウトの自由度が少なく、

小型化が困難。

またハーフミラーを使用するため、

光量が1/4に減衰してしまう。

下|フリーシェイプト・プリズム

光路を自由に設定できるため

小型・薄型化に有利。

ハーフミラーが不要なので

光量も大幅にアップ。

極めて高度な設計・製造技術を要する。

上|光学フィルター無し

液晶のピクセル(画素)がそのまま見えており、ブラックマトリックス(周囲の黒い部分)が目立つ。

下|高性能光学フィルター使用

光学フィルターでブラックマトリックスを減らすばかりではなく、映像のなめらかさとクリア感を両立している。

左|産業システムカンパニー情報機器事業部

  FMD推進部・井場陽一部長

右|同部FMD-3グループ・小林一利課長

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