NATUREINTERFACE.COM
ネイチャーインタフェイス株式会社 info@natureinterface.co.jp TEL:03-5222-3583
ネイチャーインタフェイス > この号 No.04 の目次 > P066-069 [English]

[開発最前線] ウエアラブル機器のエネルギ源・マイクロバッテリー -- セイコーインスツルメンツ








ウェアラブル機器のエネルギー源

マイクロバッテリー

この偉大なるマザーパーツの進化

セイコーインスツルメンツ株式会社

小型、高性能、高密度、そして高機能という進化の道をひたすらに突き進む

ウェアラブル関連電子機器。

そこに搭載されているテクノロジーは、

ことごとく「最先端」という冠頭詞を戴くものであることは疑うべくもない。

しかし、これら最先端のシステム&メカニズムを搭載した電子機器といえども、

それを起動させるためのエネルギー源の存在なくしては、ただの「小さな箱」にすぎない。

そのエネルギー源とは何か? いうまでもなく「マイクロバッテリー」である。

各種エレクトロニクス機器の進化と並行するように、

いや、むしろそれをリードするように「マイクロバッテリー」もまた、

高性能、高密度、高機能という終わりのないテーマを追求しながら

進化の道を歩みつづけてきたのである。

セイコーインスツルメンツ(SII)は、クォーツウオッチの開発に合わせて、

電子部品の自社開発、自社生産の体制をいちはやく確立。

なかでも、クォーツをクォーツとして機能させるための基本パーツともいうべき

マイクロバッテリーの分野においては、

1970年の研究着手以来、独自の技術力を蓄積し、

その後の電子機器の多様化と高度化に合わせた多彩なアイテムを

ハイテク業界に供給しつづけてきた。

今回は、酸化銀電池をはじめリチウムイオン二次電池、リフロー対応キャパシタなど、

SIIの誇る多彩なマイクロバッテリー群についてレポートを試みた。

携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなど、ウェアラブル機器のエネルギー源としての

マイクロバッテリーの存在感をあらためて認識してもらいたい。

電池の種類と系統

冒頭から複雑なチャートをお見せして恐縮だが、電池(バッテリー)にはその用途や性能、形によってさまざまな種類がある。源流にさかのぼっていくに従い、その流れは大きく化学電池と物理電池に分けられる。電池本体のなかに酸化や還元など、物質を変化させようとする化学エネルギーを蓄えている化学電池(通常「電池」というとこれを意味する)と、太陽エネルギーや熱などを直接電気エネルギーに変える、つまり、物質が変化しない物理電池である。本誌前号で紹介した熱電変換素子もこの物理電池に入る。さらに細かく分ければ、生物電池などもあるのだが、ここでは最も一般的で身近な化学変化を利用する化学電池について詳細に系統をたどっていくことにしよう。

化学電池は、一次電池(マンガン乾電池や銀電池など)と二次電池とに大きく分けられる。一次電池とは一度放電して容量を失うと新しいものと取り換えなくてはならない電池のことである。これに対して二次電池は、充電と放電が繰り返しできる電池のことであり、一度容量を失っても外部から逆方向に充電(直流)することで、ふたたび容量を回復する電池(蓄電池)のことである。

そして、ウェアラブル・テクノロジーは、これらの電池の精密な使い分けによってより高度に、より人間に密着してきたのである。

 例としてあげるには適当かどうか迷うが、ある一定時間内でハイパワーを必要とするレース用ミニチュアカー用電池。あるいは、長時間じっくりと確実に、たとえば時計やコンピュータのメモリ用、心臓ペースメーカーの電源用などにも、それぞれの用途に合わせた多品種の電池が開発され、それらはあらゆる意味で確実に進化の道を歩んでいるのである

SII電池開発の歴史

 リードでも述べていることだがSIIの電池開発の歴史は、一九六九年に発表された「クォーツ腕時計」と深くかかわっている。いうまでもなくクォーツ腕時計の動力源として、信頼性の高い酸化銀電池の商品化(量産開始)である。いわば、その誕生からしてウェアラブル機器の動力源という宿命を背負ったものであった。

 その後、クォーツ式腕時計の一般化とともに「漏液防止技術の確立」「リチウム一次電池開発」、さらにはLSIの高密度化と並行するように「リチウム一次ペーパー電池開発」「リチウムイオン二次電池開発」そして「リフロー対応製品の開発」と、日進月歩の勢いで高度化する、各種ウェアラブルハイテク機器に欠かせないエネルギー源としてのマイクロバッテリーを次々に開発&商品化。この領域でも世界的メーカーとしての地盤を確実なものとしてきた。

以下に列記しているのはSIIのマイクロバッテリーの特長である。

(1)耐漏液性の優位性

時計、計測機器、精密機器は、電池からのわずかな液漏れが端子との接触を疎外して、機器の作動を不安定にする。SIIのマイクロバッテリーは独自のシーリング材料と加工技術によって、あらゆる環境に耐える、高度な耐漏液性を誇っている。

(2)大きな電池容量

限られたスペースの中で機器の作動時間を長くするためには、より大きな単位体積あたりの電気容量が要求される。SIIのマイクロバッテリーは、高純度の材料とバランスを重視した独自の設計技術により、大きな電気容量を実現している。特に、二次電池の負極に採用したシリコン酸化物は、実用化されているリチウムイオン二次電池のなかで、最大の容量を持つ負極活物質である。

(3)安定した作動電圧

電池の電圧は温度や放電の深さによって変化する。電圧の変化は機器類の諸特性に影響するので、作動電圧の一定なことが要求される。SIIのマイクロバッテリーは原料の成分や配合によって広い温度範囲と、放電の深さにおいて常に安定した作動電圧が得られる。

(4)高度な信頼性

電池は、あらゆる状況においても一定した性能を発揮することが要求されている。SIIのマイクロバッテリーは部品製造段階から厳しい品質管理体制のもとで一貫生産され、十分に品質保証された電池のみが市場にリリースされる。

株式会社エスアイアイ・マイクロパーツ

以上が優れた特長を持つSIIのマイクロバッテリーの概略である。このマイクロバッテリーの開発、設計、製造を一貫体制で推進しているのが宮城県仙台市に本社および製造拠点を置く「株式会社エスアイアイ・マイクロパーツ」である。

一九五三年、仙台精密材料研究所(一九五七年 株式会社に改組)として東北大学と産学協同の金属材料研究拠点として活動を開始した同社は、メカ時計の動力素材の分野で高度な内容を誇る技術者集団として評価を集めていた。

 その同社が、クォーツ時計の動力源としてのボタン電池(酸化銀電池)の開発&量産という新たな領域に踏み込んだのは「腕時計―動力」という共通項であったという。その後、この領域におけるリーディングカンパニーとして確実に技術とノウハウを蓄積して、前項に上げたようにマイクロバッテリーにおいて世界的なメーカーとしての地位を確立するに至っている。

仙台市青葉区愛子地区の広大な敷地には、ISO14001の認証を取得した極めて高い清浄度、さらには湿度一%以下という超除湿ルームなどを備えた生産ラインと研究・開発部門を持ち、酸化銀電池をはじめ、MS(マンガン・シリコン)リチウムイオン二次電池、TS(チタン・シリコン)リチウムイオン二次電池、世界で初めて量産を開始したリフロー対応キャパシタなどが次々と生産されている。

「ここでは、常に二四カ月先のハイテク市場のニーズを見越した研究・開発体制と生産のためのプログラムが整備されています。これは『ニーズへの的確な対応』というメーカーとしての義務意識であることは否定しません。しかし、それと同時に、より強く意識しているのはニーズを創造することです。したがって、私たちの考えている『二四カ月先のニーズへの対応』とは、状況への対応と状況のブレークスルーという二つの意識の表れということなのです」

と、熱く熱くお話くださったのはエスアイアイ・マイクロパーツの滝口社長である。

環境との共存とリサイクル

冒頭でも紹介したとおり、電池にはその用途や性能、形状によって数多くの種類がある。これらの生産過程及び使用後の廃棄には環境に充分配慮する必要がある。

 メーカーは自然にやさしい材料の選択、生産過程の無公害化など、多くの義務を負っていることはいうまでもない。同時に消費する側も、電池の処理には注意が必要だ。

 電池は資源として貴重な物質や、一部製品には有害な化学物質が使われている。できるだけ回収しリサイクルすることが望ましいが、廃棄物として処分されるものも少なくない。

 メーカーの団体である電池工業会(http://www.baj.or.jp)では電池の処理やリサイクルについてPRを続けている。使い終わった電池は、是非ルールに沿った処理をお願いしたい。

 使い終わったボタン電池や小型二次電池などは、時計店、家電店、カメラ店などに置かれている電池回収箱に入れるようにしよう。

左|仙台市青葉区の緑豊かな環境の中、高度な自動化と抜群のクリーン度を誇る生産現場には人影もまばらだ。

右|湿度1%以下の世界的にもハイレベルな数値をクリアしている超除湿ルームで生産されるSIIマイクロバッテリー。

リフロー対応

XCキャパシタ

化学的に極めて安定した高比表面積活性炭を電極とし、独自の封止技術及び製造技術により実現した高容量、低インピーダンスかつ高耐電圧、長期信頼性に優れたキャパシタ。さらに、耐熱設計により、実装自動化ニーズに応えるリフローハンダ付け対応のキャパシタを実現。

OA、AV、情報、通信等の各種電子機器のメモリーや時計機能のバックアップ電源(ページャ、携帯電話、カメラ、ウェアラブルパソコン等)。太陽電池との組み合わせによるハイブリット電源(時計、電卓、リモコン等)。電池電圧低下時の補助電源。

MS

リチウムイオン

二次電池

SIIが独自に開発した高容量シリコン酸化物を負極、リチウム・マンガン複合酸化物を正極に採用し、類似の二次電池と比較して20倍以上の大容量を持ち、サイクル寿命、過放電特性に優れた、3Vタイプのリチウムイオン二次電池。

移動体通信、OA、AV、各種ウェアラブル機器等の各種電子機器のメモリーおよび時計機能のバックアップ(ページャ、携帯電話、PHS、コードレス電話、FAX、メモリーカード、パソコン、デジタルカメラ、ハンディターミナル、PDAなど)。

太陽電池との組み合わせによるハイブリット電源。

TS

リチウムイオン

二次電池

正極にチタン酸化物、負極にはSIIが開発したリチウム・シリコン酸化物を使用することで、大容量、広い充電電圧、長いサイクル寿命、優れた長期信頼性を実現した1.5Vタイプの小型二次電池。

携帯電話、PHS、ページャ等のメモリーや時計機能のバックアップ用。

太陽電池との組み合わせによるハイブリット電源(時計、電卓、道路鋲などの電源)。小型・薄型ウェアラブル機器の主電源。

酸化銀電池

正極に酸化銀、負極に亜鉛、電解液に苛性ソーダや苛性カリ水溶液が用いられている。

大きい電気容量と安定した電圧特性を持つため、高精度が要求されるクォーツウオッチを中心に広く用いられている。

クォーツウオッチ、クォーツクロック、電卓、補聴器、電子体温計、カメラ、電子ゲーム、小型ラジオ、各種リモコン。

写真内の電池はほぼ原寸大です

TSリチウムイオン二次電池

MSリチウムイオン

二次電池

XCキャパシタ

左|滝口泰輔氏|(株)SIIマイクロパーツ代表取締役社長

  腕時計自動組立システムの開発で東京都知事賞を受けた根っからの機械屋。

  現在もボタン型電池の高速生産ライン(毎秒3個)に係わり、「因縁とは‥」と笑いながら毎日工場を歩くのが趣味。

中|赤坂昌雄氏|同・設計技術室部長

  生産技術、製造技術を担当。「作りやすいタフな電池を目指し、開発と製造、そしてお客様の架け橋として頑張っています」。

  会社内の製造工程を案内してくれました。

右|渡邊俊二|同・開発室副主査

  マイクロバッテリーの開発を担当。「1.5V、2.5V、そしてリフロー電池と、お客様のさまざまな要望にお応えしてきました。

  次は新しい系の電池に取り組みたい」というチャレンジ精神の持ち主。

report

natureinterface

NATUREINTERFACE.COM
ネイチャーインタフェイス株式会社 info@natureinterface.co.jp TEL:03-5222-3583
-- 当サイトの参照は無料ですが内容はフリーテキストではありません。無断コピー無断転載は違法行為となりますのでご注意ください
-- 無断コピー無断転載するのではなく当サイトをご参照いただくことは歓迎です。リンクなどで当サイトをご紹介いただけると幸いです
HTML by i16 2018/06/24