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[開発最前線] 商品の環境配慮度がわかる ― 情報機器企業の環境商品づくりの取り組み -- セイコーエプソン








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開発最前線

商品の環境配慮度がわかる

−−−情報機器企業の環境商品づくりの取り組み

セイコーエプソン株式会社

昨年から今年にかけて、「循環型社会形成推進基本法」と

それに基づく個別のリサイクル関連法とグリーン購入法が成立し、

製造業のリサイクル、環境保全への取り組みは、ますます不可欠のものとなっている。

続々と新製品が売り出される変化の激しい情報機器メーカーにおいて、

循環型社会を目指す試みは、どのような状況にあるだろうか。

セイコーエプソン株式会社の環境商品開発とリサイクルの取り組みを紹介する。

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さまざまな環境負荷削減の取り組み

 セイコーエプソンは一九八八年に「フロンレス宣言」を行い、世界に先駆けてフロンガスの使用ゼロに取り組むなど積極的な環境保全活動を行ってきた。そして九八年、この年を第二の環境元年と定め、「環境総合施策」を策定してさまざまな視点から環境負荷の低減を推進している。そのためグループ内には、環境委員会とその補佐的機能を果たす環境施策推進担当部門長会議を設けて全体の活動方向を示すとともに、重点施策については、組織を横断するメンバーで構成される専門委員会を組織して各課題・対策の専門的な検討を行ってきた。そうした中から、環境商品開発および生産工程でのさまざまな環境負荷の削減に成果が現れている。

 プリンタや液晶プロジェクターなどの製品が使用時に消費するエネルギーの削減もその一つだ。例えばプリンタの場合、印刷時の電力消費よりもデータ受信待機時や電源スイッチオフ状態の電力消費のほうが大きい。そこで制御回路、電源回路に新たな技術を開発するなどして待機時や電源オフ時の省電力化を進め、プリンタの使用状態の総消費電力量を九七年と比べて五三パーセント削減。また主要な製品で九七年比五〇パーセント以上の省エネ率向上を達成している(表1)。

社会の求める環境商品・情報を提供

 今年一月、これからの循環型社会を構築するための「循環型社会形成推進基本法」が施行され、続いて四月には、それに基づく「廃棄物処理法」「資源有効利用促進法」そして「グリーン購入法」が施行された。そのうち「グリーン購入法(正式名称「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」)」では、各省庁・国会・独立行政法人など国の機関に対して、環境に配慮した製品を選んで購入するグリーン購入が義務づけられている。

 そうした国の機関が率先して環境配慮型商品を購入するのをはじめ、消費者の環境配慮型商品への関心も高まりつつある。このような状況の中で、個々の商品が、どのように環境配慮を実現しているか、客観的な裏付けをもって製品の環境情報を積極的に公開していこうという試みが、セイコーエプソンの取り組んでいる「エプソンエコロジーラベル」制度だ。

 この制度は今年四月に本格導入されたもので、製品の環境配慮項目について基準をつくり、それに適合した商品の環境情報を公開して消費者のグリーン購入に役立てようというもの。その際の基準として、全社共通の基準と、商品の特性や社会的な要求を考慮して定めた事業部ごとの基準がある。例えば表2に示した情報画像事業本部の基準は、ドイツの環境ラベル「ブルーエンジェル」と日本のグリーン購入法の基準を反映したもので、世界に通用する環境ラベル基準をめざしている。今年七月に発売した「エプソンインターレーザーLP-9400」が第一号適合商品となった。目標では二〇〇三年度までに、全商品の五〇パーセントをエコロジーラベル適合商品としたい考えだ。

 同社では、このエコロジーラベルと、LCA(Life Cycle Assessment=一つの商品の製造から流通、使用、廃棄〈リサイクル〉まで、各ライフサイクルのステージで、どれくらい環境負荷が生まれるかを定量的に評価したもの)の導入により、社会が求める環境情報をより的確に提供できるとしている。

 開発された環境技術についてセイコーエプソンでは「環境保全技術は、特許として確立されることは必要だが、むしろ公共財として活用することが重要」と語り、また「マイナス情報についても、これまで同様開示していきたい。そのことによって社内の取り組みも、より真剣になり、消費者とのコミュニケーションも活発になる」と話している。

リユース、リサイクルを進める

 商品の企画・設計段階から環境配慮に努めるセイコーエプソンでは、製造・販売した商品を回収し、リユース、リサイクルを進めるためのシステムも構築している。これが、「エプソンリサイクルシステム」である。

 同社は九九年より法人を対象に、使用済みプリンタ、コンピュータ、スキャナ、液晶プロジェクターなどの回収・リサイクルを進めるシステムを構築し、長野県と関東地域で回収・リサイクルを試行、昨年十一月より全国的に回収・リサイクルを開始している。このシステムでは、全国を六地域に分け、それぞれ指定の収集・運搬業者に回収を、廃棄物中間処理業者にリサイクルを委託している(次頁図1)。

 同社はリサイクル率についても定義づけを行ってその向上に努めており(図2)、現在、資源有効利用促進法で規定されている平成一五年度目標値(デスクトップパソコン本体で五〇パーセント)をクリアしているという。(グラフ1・2)また、同社神林事業所内のエプソンエコロジーセンターを、リユース・リサイクル技術の研究拠点として技術確立を推進している。個人を対象とした回収についても、適切な回収・リサイクルシステムを検討しており、法律上の課題が解決し次第、実施できるよう準備を行っているという。

 また同社では以前から、プリンタの消耗品であるトナーカートリッジやインクカートリッジの回収・リサイクルも実施している。トナーカートリッジは摩耗や劣化を検査したうえで部品として再利用したり、原材料として再生。インクカートリッジは原材料に再生し、同社プリンタのペーパーサポートなど部品の一部にリサイクルしている。

 ところで、こうしたリユースやリサイクルを進めるためには、回収率の向上が不可欠である。同社では新聞、雑誌、ホームページ、同梱チラシなどを通じ、消費者へ協力を呼びかけるとともに、販売店の協力も仰ぎ、店頭の回収ポストを七六三(九九年度末)から一九五三(二〇〇一年一〇月四日現在)に増加させた。その結果、二〇〇〇年度の回収率は前年度と比較して、トナーカートリッジが三四・一パーセントから四一・八パーセントに、インクカートリッジは〇・二八パーセントから一・三二パーセントに向上している。

 同社のこうしたリサイクル活動は国内にとどまらない。ヨーロッパでは商品の回収・リサイクルを現地販売グループ会社が主体的に行っている。商品回収に関する国内法が制定されているオランダ、スイス、ノルウェーでは、すでに回収・リサイクルの対応を済ませており、ドイツでは法規制を先取りして自主的に回収・リサイクルを実施、カートリッジなどの消耗品についてもフランス、ドイツ、イタリアで回収を展開している。

 「販売した商品の回収・リサイクルは生産者としての責務。こうしたリサイクルシステムの拡大・充実が循環型社会構築の礎になれば」とセイコーエプソンは話している。

 消費者と一緒によりよい製品づくりを進めようとするセイコーエプソンの取り組みと、循環型社会構築の試みに今後も期待したいものだ。

表1 商品別省エネ指標と削減率

表2 エプソンエコロジーラベル

  情報画像事業本部 事業部基準概要

エプソンエコロジーラベル

のシンボルマーク

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エプソンの代表的な環境商品

インクジェットプリンタ PM-950C

一般の家電製品と同じように、プリンタもコンセントにつながっていると、電源OFFでもわずかながら電力を消費する。その状態が続くと、消費電力量としては大きなものとなる。エプソンは電源OFF時の徹底的な省電力化を進め、PM-950CはPM-770C(98年発売商品)の約4割の消費電力(電源OFF時)となっている。

両面上質普通紙(再生紙)

雑誌古紙を中心に古紙配合率100%を達成しながら、同時ににじみを抑えた高画質を実現したインクジェットプリンタ専用紙。インクの裏映りを低減することで、両面印刷も可能とした。同社よりこの用紙の発売(2000年)と同時期に発売されたインクジェットプリンタの新商品では、容易に両面印刷ができるプリンタドライバを搭載している。エコマーク認定商品、グリーンマーク取得商品。

POS用プリンタ TM-T90、TM-J1200

POS用プリンタは常時電源が入りデータを待機するが、一日の95%を占める待機時について、データ受信に即応できる省エネ待機モードを開発。両機種とも、待機時の消費電力量は、プリンタ本体で、従来の約1/2、電源部では約1/3、また使用時全体では約1/3にそれぞれ削減された。これは世界トップクラスの省エネで、ヨーロッパの「外部電源効率化に関する自主規制」にもいち早く対応している。

プロジェクター ELP-713

本体ケースの材質をリサイクル可能なマグネシウム合金とし、塗装にはOA機器としては業界に先駆けて粉体塗装を採用した。これは、揮発性有機溶剤を使用しない塗装方法で、光化学スモッグの原因となるVOC(揮発性有機化合物)を発生させない利点がある。またELP-7700系の機種では、アルミ合金をケースに採用してリサイクル性を高める取り組みが進められている。

カラーLCDモジュール MD-TFD Crystal Fineシリーズ

MD-TFD「Crystal Fine」シリーズは、外光利用時とバックライト使用時双方において高画質化を実現した半透過型液晶パネル。カラー動画の表示に最適なアクティブ駆動でありながら、STN方式と同等レベルの消費電力を実現。モジュール内に表示RAMや省圧回路、電源回路を内蔵し、さらに駆動方式を大幅に見直すことにより、動画表示時5mW(30フレーム/秒時、26万色表示)という画期的な低消費電力と高画質を両立している。

エコテックソーラー

セイコーエプソンでは、電池交換を必要としないことを環境配慮の重要なコンセプトの1つと捉えてウオッチの開発を進めてきた。その成果がセイコーから販売される「エコテックソーラー」「KINETIC」「スプリングドライブ」などの商品である。「エコテックソーラー」は、2000年度エコマークを取得している。

リユース、リサイクルの事例

セイコーエプソンは、プリンタの使用済みトナーやインクカートリッジの回収・リサイクルや、法人を対象に、プリンタ、コンピュータ、スキャナ、液晶プロジェクターの回収・リサイクルを展開しているが、そうしたリユース、リサイクルの一部を挙げてみた。

リサイクルの容易化

 1外装プラスチック部品にリサイクルしやすいHB材料(難燃効果の低い材料)を採用し、材料識別表示を付けた。

2ロゴプレートを剥すためのきっかけ穴を設け、外装部品の裏側からロゴプレートを突くことで、容易に取り外しを可能にした。

3貼付ラベルを剥がしにくいアート紙から、剥がしやすい合成紙に変え、剥がす作業時間を短縮。

4ロゴプレートの材質を外装部品と同じものにして、取り外し作業を省略。

部品のリユース(技術確立完了)

1制御基板

従来はすべて廃棄していたが、厳重な検査を行った後、修理品に再利用している。

2インク吸収材

これも従来はすべて廃棄していたが、そのまま、もしくは加工して再利用する方法を確立。

材料のリサイクル

1インクカートリッジのPP(ポリプロピレン)材

回収したインクカートリッジをペレット化して、プリンタの印刷時にペーパーを保持・移動させるペーパーサポート加工している。

2外装ハウジングのPS(ポリスチレン)材

回収したプリンタの外装ハウジングをペレット化して、プリンタ部品に加工している。

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