NATUREINTERFACE.COM
ネイチャーインタフェイス株式会社 info@natureinterface.co.jp TEL:03-5222-3583
ネイチャーインタフェイス > この号 No.06 の目次 > P38-42 [English]

WIN Information











information

2001 DECEMBER

Nonprofit Organization The Advanced Institute of Wearable Environmental Information Networks

NPO(特定非営利活動法人)ウェアラブル環境情報ネット推進機構

理事長:板生 清

事務局:旭 紀子 ニューズレター編集:佐々木健・河村久仁子

所在地:〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2 丸ノ内八重洲ビル527号室

電話:03-5803-9569 FAX:03-5803-9234

E-mail:admin@npowin.org

Homepage Address:http://www.npowin.org/

【第9回講演会報告】

11月21日に開催された第9回講演会では次のような講演が行われました。

1|ウェアラブル情報機器の現状と将来

   ザイブナー(株)代表取締役社長 エド ニューマン氏

 ザイブナー(Xybernaut Corporation)は1990年に米国で設立され、1996年10月に東京オフィスを開設した。ウェアラブルPCの開発はマイクロプロセッサの急速な進歩のおかげで会社設立当初の構想が次々に実現している。この分野は今後も発展が期待され、人が着けていることを意識しないようなウェアラブルPCにまで進歩すると考えている。

2|高速空間光伝送ネットワークシステム

(株)スカイ・ファイバー 代表取締役社長 中野 修吾氏

 地中に埋設する光ファイバーは設置工事費が高く、高速ネットワーク構築の障害となっている。スカイ・ファイバーでは建物と建物の間をレーザ光によりデータを伝送する技術を用いて、設置が容易で低コストなネットワークシステムを提供している。本システムはラストワンマイルを克服するものとして期待されている。

3|前川製作所における環境対応技術とアグリビジネスへのアプローチ   (株)前川製作所 技術研究所所長 川村 邦明氏

 前川製作所は産業用大型冷凍機で世界シェア30%を占めており、熱利用の技術から始まり環境対応技術、食品・農産物に関する自動化・ハイテク化技術まで幅広く手がけている。なかでも食品・農業分野では、食品加工の自動化や、独自の環境制御施設による品質の高いもやし栽培に成功している。

4|ITハウスの運営コストを下げる方途

      エバグリーンプラネット 代表取締役 内田 要太郎氏

 新開発のボイラー「ファイヤー・バード」は高温の蒸気によって可燃物を焼却するシステムで、炉内温度のコントロールやエアーの供給方法の改善により、燃焼過程での廃棄物が生成されないために高額な処理装置を必要とせず、廃タイヤを燃料として用いてボイラーを運転することにより低コストでエネルギー生産が可能であり、ITハウスのエネルギー源として大いに期待される。

5|新・アグリバイオビジネスの創造に向けて

日本総合研究所 研究事業本部ニュービジネスクラスター長 大澤信一氏

 戦後の農業のあり方は経済社会および消費者の「食」の構造変化によって変化してきた。昨今発展している外食産業もバブル以降は低価格を追求している。このような変化に対応するためには農作物の生産段階からの構造調整が必要であり、生産者と顧客の間にコンピュータネットワーク等を用いた効率的な生産管理が求められる。

【次回WINの会案内】

次回第10回WINの会案内:

日時:1月25日(金曜日)午後3時〜

場所:新丸コンファレンススクエア 

東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸ビル

tel:03-3287-5922/fax:03-3287-5925HP URL:http://www.scs.mec.co.jp

テーマ:「環境情報技術」

 環境への関心が高まりつつあり、環境全体を包括的にモニタリングし、そのデータを総合的に評価・運用するシステムの開発が求められている。

次回例会では、環境へのITの展開をテーマとして、包括的環境モニタリングシステムの構想、地理情報システム(GIS)、環境モニタリングセンサなどに関する技術講演を行う予定である。

【WINの会の今後の予定】

●1月25日(金)15:00〜 

●3月25日(月)15:00〜

●5月24日(金)15:00〜

入会のご案内

〈会員の種類〉

■法人会員(年会費、一口100,000円、一口以上)

■個人会員(年会費、一口 5,000円、一口以上)

〈ご入会方法〉

指定の申込書にご記入の上、FAXまたは郵便でお申込みください。

指定の申込書は事務局まで、お電話あるいは当会ホームページよりお取り寄せください。

なお、入会申込書をご提出いただいた後に、指定の口座に年会費をお振込いただきますようお願い申し上げます。

請求書、領収書などは入会申込書受領後、随時発行いたしております。

振込先口座

本郷郵便局振替口座 

口座番号00120-7-558097ネイチャーインタフェイス・システムは、

センサ技術、情報通信技術を利用することで、

自然と人間、そして人工物の調和をはかることを目的にしている。

natureinterface FRONTIER

ネイチャーインタフェイス・フロンティア

マイクロ情報端末を実現するマイクロ自動発電

保坂寛[東京大学大学院新領域創成科学研究科教授]

1979年東京大学工学部精密機械工学科卒業。

81年東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻修士課程修了。同年日本電信電話公社入社。

磁気テープ、光ディスク、光ファイバ敷設トンネルロボット、マイクロスイッチ等の通信メカトロニクス機器の研究開発に従事。

90年工学博士(東京大学)、97年東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻助教授、99年より現職。

専門は、情報機器、メカトロニクス、機械振動学。共著書は「光マイクロメカトロニクス」(1999年、共立出版)

モバイルパソコン、情報家電、環境センサ、ヘルスケアモニタなど、情報機器の多様化、小型化が進んでいる。最近では、腕時計に内蔵されたPC、PHS、GPSナビゲーションシステムが実現している。また特殊な例では、 PHSをとりつけカラスの位置やそこでの滞在時間を探査する研究も進んでいる。このような小型化、多様化が進むと、最大の課題となるのが電源の確保である。高密度の蓄電池(2次電池)や小型燃料電池などが研究されているが、われわれが提案するのは、機械や人間や動物から無駄に放出されているエネルギを電気に変換するマイクロ自動発電である。この自動発電には、電池交換や充電の手間だけでなく、使用済み電池の処理もが不要になるなど、環境負荷削減につながるメリットもある。

腕時計の自動発電技術

自動発電には種々の方式があるが、その利用がもっとも進んでいるのは腕時計である。機械的な運動を用いるもの、太陽電池を用いるもの、温度差を用いるものがすでに商品化されている。腕時計の発電技術は、春日政雄氏による「腕時計にみるマイクロエネルギー技術の最前線」(マイクロメカトロニクス、四四巻、四号、二〇〇〇年)に詳説されている。筆者らの技術開発の紹介の前に、それを参照しつつ自動発電技術について説明してみよう。

 時計の歴史は長く、紀元前の日時計、水時計に始まり、紀元四世紀の砂時計、九世紀の燃料時計を経て一三世紀には機械式時計が登場した。これ以来、動力源として機械的エネルギを用いるものが主流となり、現在も利用されている。そして一八一二年、世界最初の腕時計が製作された。これは、ナポレオンの妹でナポリ王妃のカロリーヌ・ミュラのために作られたものであった。

 一九六〇年代に入って電子式の腕時計が登場すると、ぜんまいに替わる電気・機械エネルギ変換機構が相次いで開発された。現在の多くの腕時計は酸化銀電池もしくはリチウム電池を搭載している。

そして近年、電池交換からの解放ならびに環境への配慮から、自動発電方式が出現してきたのである。

機械的自動発電の原理

腕時計における自動発電の代表は、セイコーエプソンによって実用化されたAGS(Automatic Power Generation Systems)である。構造を図1に示す。腕を振ると生じる偏心重りの回転を歯車列で増速させることで、永久磁石が高速回転し、コイルに十分な誘導電圧が流れる。最初の製品の発表は一九八八年だ。現在のAGSは、直径30mm×厚さ数mmである。

 この発電機の出力を簡単な計算で求めてみよう。書類をめくるときに手首を回すなど、日常生活では、手首は一瞬動いては止まるという動きを示すことが多い。そこで手首の動きを間欠的な反転運動と仮定すると、最大発電量は、錘が上から下まで落ちることによるポテンシャルエネルギの変化から、摩擦や回路の発熱を除いたものになる[図2]。

 錘の重さをm=5g、半回転での重心移動距離をh=15mm、効率を30%とすると、1回の手首反転で220オJ発電できることになる。もし10秒に1回反転するならば22オWになる。これは現在の腕時計の消費電力の1オWからみて十分な量である。種々の腕の動きに対する発電量を実測してみると10オ〜1mWとなり、ほぼ一致している。

太陽電池の活用

太陽電池を使う腕時計は、シチズンを中心に開発が進んでいる。初期の製品は、文字盤を受光面としていたが、この方法では文字盤がソーラーセルの色となり、デザインの制約がある。そこで最近、光透過率の高い太陽電池を組み込んだ風防ガラスを受光面とするものが出てきた。これは、幅6オmのアモルファスシリコンを94オm間隔で並べたもので、セル間に隙間があるために、肉眼では透明にみえる。さらに、標準電波を受信する時刻補正機能をあわせ、半永久的に動き続け、誤差もでない腕時計も発売されている。ソーラーセル方式の発電量は約10mWである。

温度差電池

二種類の物質の接合部に温度差をつけると電位差を生じる。一八二一年に発見された、この現象は、発見者の名前をとり、ゼーベック効果と呼ばれている。この原理を用い、体温と外気温の差により発電する腕時計が、セイコーインスツルメンツとシチズンで商品化されている。単一の素子では発電量が少ないため、太さ100オmオーダの柱状の素子を数百〜数千本、直列・並列につないで電圧と電流を稼いでいる。起電圧としては0.5V/K程度、電力としては10オW程度が得られている。

 以上述べた発電方式を比較すると、定常出力ではソーラーが優れる。しかし機械的発電は、腕を強く振れば必要なときに大きなエネルギーが得られ、瞬時に時計を起動できるため、商品としては一歩リードしている感がある。

発電量を1000倍に増やす方法

著者らは、以上の自動発電方式のうち、機械的発電方式を研究している。機械的自動発電は、衣服やかばんの中など使用場所の制約がなく、緊急時は強制的な運動により大出力の発電が可能で、さらに発電機を運動を感知するセンサとして使用できる。腕時計では、発電量から人の動きを検知し、腕から外すと針の動きを止めて消費電力を下げている。

 これら、他の方式にはない利点があるにもかかわらず、本方式は現在腕時計にしか用いられていない。この理由は、一般の情報機器では最低でも10mWの電力を必要とするのに対し、現在の発電機では10オW程度しか発電できないためである。この1000倍の差を克服するため、われわれのグループはつぎに示す4つのアプローチをとっている。

第一は、起電力をもたらす運動エネルギそのものを増大させる方法である。振動物体のもつ運動エネルギは、物体質量M、振動振幅Aの2乗、振動周波数ωの2乗に比例するから、M、A、ωを各10倍程度増大させれば、10万倍の向上が可能である。

 第二に、エネルギが力の距離による積分でも与えられことに着目し、外力を増大させることでエネルギを増やす方法である。AGSでは回転錘に働く重力を外力として用いているが、ここに人の体重を作用させれば、3桁以上の荷重増大が可能となる。

 第三に、エネルギはパワーの時間による積分でも与えられるので、充電時間を長くし、放電時間を短くすることによって、求められる大きな出力パワーを得る方法がある。このアプローチは、使用が間欠的な用途に大電力を実現できる。

 最後に、振動体に働く力は入力の状態によって変化し、そこから最大のエネルギをとり出す構成も入力状態によって変化する。ここに着目し、センサが感知した入力の変化に応じて発電機の構成が適切に変化して、つねに最適な発電条件を保つ方法が考えられる。これが、第四のアプローチである。

 以下では、第一のアプローチである振動型発電機と、第二のアプローチである歩行型発電機の試作例について詳しく示そう。そして、第三と第四のアプローチについては最後に、今後の展望の中に位置づけてみたい。

振動型発電機――機械の揺れが電気をつくる

振動型発電機は、建設機械等大型人工物の振動を利用する[図3、4]。永久磁石を板ばねで支え、コイルはベースに固定してある。薄い構造でなるべく磁束を大きくするため、永久磁石の配置はハードディスクのアーム駆動機構を真似ている。これは、ヘッドをサブミクロンの精度で位置決めするもので、薄型のアクチュエータとしては最もリファインされたものだ。試作機全体の大きさは、116mm×100mm×41mmである。

 とり付けた建設機械などの振動によってベースが揺すられると、永久磁石が左右に揺れる。するとコイルを貫く磁束が変化し、誘導電圧が発生する。腕時計型との基本的な違いは、振動体の質量を5gから500gに増大させ、周波数を手首の運動の0.1Hzから機械振動にあわせて20Hzに増大させている点だ。目論見としては、100倍×200の2乗倍で400万倍を狙っている。周波数20Hz、振幅5mmで加振したところ、1Wの出力が得られた。腕時計の10万倍である。計算値よりも低い理由は、板ばねの都合で振幅が数mmと小さかったことと、ばね支持部の摩擦損失だとわかっている。

 振動型の発電機では、入力エネルギが永久磁石への力ではなく、ケースへの振動変位によって与えられる。永久磁石はみずからの慣性力によって駆動することになる。このため、手回し発電機や発電所の発電機のように直接力を加えるものに比べ、実効的な入力エネルギはいちじるしく小さい。例えば、重さ5gのAGSの錘を、振幅10cm、周波数5Hzとかなり速く振っても、慣性力は50gにしかならない。もし指で直接錘を押すことができれば、kgオーダの力を加えることができるのだが。

 慣性力を大きくする最も簡単な方法は、最初に述べた錘を重くすることと周波数を上げることであるが、その他にも効率に影響する因子がある。発電機の効率を理論的に調べ、最適化について考察してみる。

 最も簡単化すると、発電機は図5の1自由度振動系になる。外部からの変位(Asinvtとしよう)を与えると、中の錘が相対振動する。その振幅をAo、位相差をφとする。電磁誘導部をダンパーCでモデル化すると、ダンパーで消費されるパワーを発生電力みなすことができる。設計の制約条件として、加振振幅と周波数の両者(つまり建設機械の揺れ方に相当する)は決まっており、発電機のサイズすなわち長さと断面積も決まっているとする。この条件下で、M、C、Kを最適化することで、Cによるエネルギ消費が最大となる問題を解けばよい[参照資料a]。

 Cに最適値が存在する理由を直感的に説明してみよう。Cが小さいとケースと錘が衝突してエネルギが失われ、Cが大きいとケースと錘が一体となって動き、相対運動の変位が小さくなる。したがって、Cは大きすぎても小さすぎてもいけない。以上の理論で計算してみると、今回の装置はCが大きすぎた。Cはコイルの巻き数の2乗に比例するので、コイルを巻きすぎたのである。巻き数を最適化すれば、1桁上の電力が得られることも判明している。

 以上のべたように、試作機には改良の余地はあるが、ある程度の出力は出るので、それを用いて、簡単な装置を作成した。トンネル掘削機の振動モニタである。光ファイバの敷設には、直径数十cmの掘削機が使われる。その先端に発電機をつけ、カッタの振動で発電し、さらにその音を無線伝送し、周囲の土質をモニタするものである。通信にはFM送信機を使いその電力は20mWである。このユニットにより、非接触無保守のトンネルモニタが実現される。実際のトンネル掘削機の振動を使ったところ、4秒間振動すると10秒間一定電圧が発生し、FM送信機が動作した。

歩行型発電機――厚底サンダルで携帯電話を充電

つぎに第二のアプローチによって、外力を増大させる歩行型発電機を説明する[図6、7]。厚底サンダルの中に、グリップ式の発電機(60mm×140mm×35mm)を携帯電話とともに内蔵している。発電機は数千円で市販されている。MITでも類似のものをつくっているが、われわれのものはサンダルに内蔵され、さらに携帯電話も一緒に入れている。厚底サンダルが最盛期であった二年前につくったものだ。当時は、携帯電話は年々小さくなり、一方サンダルは厚くなり、後者が前者を抜いた時期であった。

 体重を掛けるとレバーが動き、ギヤとモータが回って発電する。腕時計用に比べ、荷重が回転錘の5gから人の体重の約50kgに増大している。理屈では、これで携帯電話が充電きるはずだ。屋内で使用したところ、発電量は、1歩当たり1J、すなわち約1Wであった。携帯電話に充電したところ、一〇分間歩くと二時間の待ち受けが出来た。連続通話では約10分である。踏み込みに少し力がいるため、装着感としては、やや疲労感があった。耐久性は室内利用では問題なかった。携帯電話のとり出しに要する時間は10秒であった。靴をぬがずに出しいれでき、万一充電中に電話がなっても問題ない。以上、一応は実用になりそうなことがわかった。

 この発電機に対して、出力を理論的に見積もってみる。力学モデルは図8に示した1自由度系である。ギヤとモータがダンパーCとなり、人間の体重Mが重力でレバーストロークhだけ下がる間にCでエネルギが消費され、それが発電量となる。

 発電量は、Mがもつ位置エネルギと、Mが着地するときの運動エネルギとの差になる。発電機を最適化することを考えると、Cが小さいと着地速度Vが大きくなり、Eは小さくなる。またCが大きいと落下が遅くなり、実質的にhが小さくなり、やはりEは小さくなる。このため、Cには最適値が存在する。結論的には、一歩当たりの靴への加重時間TでMがhだけ落下するのが最適となる[参照資料b]。

 計算では、今回の試作機では、Cが小さすぎることが結論される。もともと手で握るためのもので、足で踏むには巻き数(あるいはギヤによる増速比)が小さすぎた。最適化すれば、1桁効率を上げられる。

今後の展望――マイクロ自動発電の近未来

ここまで述べたとおり、振動型、歩行利用型ともに、発電量はあるM、C、Kにおいて最大化され、また最適値は、入力の振幅や周波数に依存した。ところが、自動発電は環境中に自然に存在するエネルギを用いるため、入力は一定でない。このため、入力の大きさや周波数が設計値からずれると、効率がいちじるしく低下する。

 そこで第四のアプローチがでてくる。発電機をセンサとして利用し、発電出力から入力を推定する。また、コイルや外部コンデンサを容量可変なものとしておく。入力信号に応じてインダクタンスなどを変化させれば、等価的にKやCを変えることができ、いかなる環境においても最大効率で発電できるはずである。このための制御回路を筆者らは現在研究中である。また第三の方法として述べた、間欠駆動のための充電方式は、振動型、歩行利用型と併用できる点でも有効である。

 以上の発電機の応用としては、トンネル掘削機のほか、PHSによる物流用パレット追跡システムも有望である。パレットとは、フォークリフトでの荷物運搬と保管に使用される木製台であり、紛失量が多く業界全体の問題となっている。これを解決するため、PHSによる移動追跡システムが研究されている。要求寿命数ヶ月に対し、現在はPHSの電池寿命一〇日強のため、大容量バッテリを外付けしている。振動発電機を取り付ければ、電池交換が不要となる。間欠駆動なので充電方式が適する。さらに位置探査は移動時のみ行えばよいから、発電機を振動センサとして用い、発電量が一定値以上のときのみ通信を行えば、倉庫で眠っている間は電力を消費しなくて済む。

 振動型の小型化が進めばポケットやかばんに内蔵し、歩行時の振動による発電も可能になるだろう。人の動きは低周波で入力エネルギが小さいので、発電と同時に機器を駆動することはむずかしい。充電器としての利用が有望である。充電を急ぐ人には、歩行利用型が便利だ。野生動物の移動経路探査も有望である。発電機は鳥に着けるには重すぎるから、エゾジカなどの中型陸上動物が対象となろう。これらの位置探査も間欠的で十分だから、蓄電池と組み合わせて大出力を得ることができる。

図1|腕時計用自動発電機(AGS)の構造

腕を振ると偏心重りが回転し、

それを歯車列で増速し、

永久磁石を高速回転させ、

コイルに誘導電圧を得る。

図2|AGSの力学モデル

手首の動きを間欠的な反転運動と

仮定すると、AGSの発電量は、

錘が上から下まで落ちることによる

ポテンシャルエネルギの変化から、

摩擦や回路の発熱を

除いたものになる 。

図3|振動型発電機

永久磁石は鉄製ヨークの下面に埋め込まれ、

板ばねで支えられている。

コイルはベースに固定されている。

図4|振動型発電機の模式図

薄い構造でなるべく磁束を大きくするため、

永久磁石の配置はハードディスクの

アーム駆動機構を真似ている。

ベースをゆすると永久磁石が左右に揺れる。

するとコイルを貫く磁束が変化し、

誘導電圧が発生する。

ダンパーによるエネルギー消費最大の条件を求める

1周期当たりのエネルギEは式(1)になる。

E=(πω2A)MAosinφ(1)

ここで、括弧内は一定値であり、残りを最大化すればよい。まずsinφを最大値の1にするためには、φ=90°とすればよい。これは共振状態で成り立つ。これより、系の固有振動数すなわちMとKの比が決まる。つぎに、相対振幅Aoを最大にする必要がある。これには、Mが隙間を一杯に動けばよく、これよりCの値が決まる。最後に、Mも大きいほどよいが、あまり大きいと可動幅が狭くなりAoが小さくなってしまう。そのため、M×稼動幅を最大化することが必要で、これよりMが決まる。以上の三つの条件で三つのパラメータが決まる。

図5|振動型発電機の力学モデル

外部からAsinωtの変位を与えると、

中の錘がAosin(ωt-φ)で相対振動する。

電磁誘導部はダンパーCでモデル化され、

その消費パワーが発生電力となる。

歩行型自動発電機の発生エネルギー

1歩当たりの発生エネルギEは式(2)となる。

E=Mgh- MV2 Mgh 1- (2)

さらに通常の歩行条件では

括弧内の第2項が無視できて、

ほぼポテンシャルエネルギが

発電量となる。

図6|歩行型発電機

厚底サンダルの中に、

市販のグリップ式発電機を

携帯電話とともに内蔵している。

図7|歩行型発電機の模式図

体重を掛けるとレバーが動き、

ギヤとモータが回って発電する。

腕時計用に比べ、

荷重が回転錘の約10gから

人の体重の約50kgに増大している。

図8|歩行型発電機の力学モデル

ギヤとモータはダンパーCとなり、

人間の体重Mが重力で

レバーストロークhだけ下がる間にCで

エネルギが消費され、それが発電量となる。

発電量は、Mがもつポテンシャルエネルギと、

Mが着地するときの

運動エネルギの差になる。

NATUREINTERFACE.COM
ネイチャーインタフェイス株式会社 info@natureinterface.co.jp TEL:03-5222-3583
-- 当サイトの参照は無料ですが内容はフリーテキストではありません。無断コピー無断転載は違法行為となりますのでご注意ください
-- 無断コピー無断転載するのではなく当サイトをご参照いただくことは歓迎です。リンクなどで当サイトをご紹介いただけると幸いです
HTML by i16 2018/10/18