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ネイチャーインタフェイス > この号 No.06 の目次 > P45-47 [English]

[開発最前線] PRINT Image Matching デジタルフォト文化を確立する技術 -- セイコーエプソン








PRINT Image Matching

デジタルフォト文化を確立する技術

セイコーエプソン株式会社

デジタルカメラ市場拡大の現実

 一九九七年頃から本格的に注目され、市場が毎年拡大しているデジタルカメラ。二〇〇〇年の国内市場は二九五万台、二〇〇一年は三九〇万台に膨れ上がると予測され、世界規模でも一二〇〇万台になると見込まれている。これほどまで急速に普及してきたデジタルカメラだが、フィルムカメラに置き換わってしまうかというと、そうではないようだ。

セイコーエプソン株式会社情報機器企画設計部課長・枝常伊佐央氏は次のように語る。

「携帯電話と従来の電話の関係のように、デジタルカメラはカメラの領域に新しく加わった市場と考えたほうがよいと思います。デジタルカメラとフィルムカメラとの決定的な違いは、最終目標が”プリント“ではない、ということです。今のデジタルカメラは撮影してすぐモニタで画像を確認し、楽しむことができます。しかも、撮った画像を実際にプリントしているのは、国内では*1約一〇パーセント、アメリカのデータでは*2五パーセントにすぎないといわれます。つまり、従来のフィルムカメラのように現像したプリントを見たり、保存したりという使い方をするのではなく、PC上で画像のデータとしてメールでやり取りしたり、デジタル保存をしたり、という新しい使い方のほうが圧倒的に多いということなのです」

デジタルフォトプリントの価値は、

簡単(安心)と楽しさの提供

 ではこうした現実のもとで、デジタルフォトプリントの価値はどうなっていくのだろうか。これに対し枝常氏は、「画像には文字や数字だけでは伝え難い空間を簡単に説明する力があると思いますし、約一万五〇〇〇年前に画かれたラスコーの壁画にもあるように、人々の憧れや欲望、生活の記録を後世に残したいという欲求や本能は、技術や方法が変わっても必ず存在すると思います。また、カメラの原型は十三世紀半ばの”カメラ・オブスクーラ(暗い部屋の意)“と言われ、より多くの人が絵を簡単に描けるようにするための道具として作られてきました。ですから人々が”記録したい“”簡単に画像を手にしたい“という本質的な欲求を持つ限り、デジタルフォトプリントの価値はあるはず」と話す。

 先に挙げた、デジタルカメラで撮影した画像のプリント比率が約一〇パーセントというのは、フィルムカメラで撮影、同時プリントされた後に再利用される写真(焼き増しして配られたり、雑誌に載ったり、引き伸ばされて額に収まる)の比率とほぼ同じという。それならば、デジタルカメラ市場の拡大に合わせ、デジタルフォトプリントの機会も広がっていくはずである。

 新しいデジタルフォトプリント市場を育てるためにプリンタメーカーとしてエプソンが追求しなくてはならない技術的なポイントは何か。枝常氏は五つのポイントを挙げる。

@今までのフィルム写真よりも「きれい」であること

A保存性がいままでのフィルム写真より優れていること

Bランニングコストがフィルム写真より優れていること

Cフィルム写真より簡単で安心感が与えられること

Dフィルム写真より楽しいこと

「@とAについて、当社はこれまでもカラーインクジェットの技術を高め、超写真高画質や顔料インクによる高耐光性を実現してきており、さらなる発展を追求し続けています。またBについては、フィルム代、現像代、同時プリント代などがかからないことから、フィルムプリントに比べてデジタルフォトプリントのランニングコストが安いのは明白なのですが、もっとこの点をお客様にアピールし理解していただくことが重要だと思います。一方、Cの”簡単・安心“とDの”楽しさ“、これを実現する技術をもっと開発していく必要があります」(枝常氏)

 簡単・安心、楽しさを実現する技術、それは一〇〇年以上前の米国Kodak社のカメラに学ぶところがある、と枝常氏は話す。「一八八八年に発売されたKodak No.1 cameraは、”You press the button, we do the rest.“あなたはボタンを押してください。その後は我々が面倒みます)というスローガンで世の中を席捲し大成功を収め、現在のKodakの基盤と信頼を築きました。このカメラはフィルム装填済みの状態で販売され、撮影後はカメラごとKodakの本社に郵送すると、フィルムの現像とプリント処理を専属のスタッフが行い、カメラに新しいフィルム装填し直し、プリントと一緒に依頼主に送り返されるという画期的なサービスでした。これは現代の写真DPEショップ以上によく考えられたシステムで、写真を簡単に撮影したいという市場のニーズと、高い技術がみごとに調和したものでした。

 このようにお客様が安心感を抱ける技術やサービスを提供することが、デジタルフォト市場を獲得するのに必要不可欠な商品のキーワードであることは間違いないでしょう」。

デジタルカメラの個性をプリンタに描く

――PRINT Image Matching

 簡単に、きれいなデジタルフォトを手に入れる。「それにはまず”きれい“とは何を指すのかが重要」だと枝常氏は言う。

「実は”きれい“の感じ方は一人ひとりによって異なります。なぜなら実物をカメラで撮影しプリントされた画像とは別の、実物を見た”撮影者が抱いたイメージ“が必ず存在するからです。カメラのプリントとそれを撮影した人のイメージの差異が少ないほど、その人にとっての”きれい“は達成されることになります。ですから”デジタルカメラで撮影した際の撮影者の意図をきちんとプリンタに伝えられる“、これがPRINT Image Matching技術のポイントです」

 実は、デジタルカメラとプリンタの色表現には違いがあるため、これまでデジタルカメラで撮影したとおりのイメージのプリントを手に入れるには、デジタルカメラで撮った画像をPC上で写真加工ソフトを使い、プリンタに最も合う出力を得られるような露出・コントラストなどの調整を行う必要があった。「しかし、デジタルカメラもメーカー各社によってそれぞれ特徴がありますので、それを調整するのは並大抵ではなかったのです」(枝常氏)。

 そこで、セイコーエプソンで二〇〇〇年夏頃から開発が始まった「PRINT Image Matching」技術では、デジタルカメラそれぞれが持っている個性を前提に、撮影者の意図(風景を鮮やかに、人物を軟調になど……)を注文書のように画像データにプリントコマンド(指示言語)という形で加えることによって、プリンタがその情報を忠実に再現できるようにした。

 具体的にはPRINT Image Matchingによってデジタルカメラで撮影された写真にどのような情報が加わるようになっているのだろうか?「これまで多くのデジタルカメラは撮った写真を”モニタ(CRT)“で一番きれいに見えるように設定されていました。実はプリンタはモニタより多くの情報を再現できるのに、今まではその情報が生かされなかった、そこで”プリンタ“できれいに出るように、より多くの彩度や色再現範囲の情報をプリントコマンド(指示言語)として加えるようにしたのです」(枝常氏)。

 これによって、撮影する人はただデジタルカメラのボタンを自分の思うように押し、プリンタで出力するだけで、例えば夕日の赤さや海のエメラルドグリーンなどの色が美しい、撮影者が目にしたイメージと同じデジタルフォトを簡単に手に入れられるようになったのである(P45〜46)。

これがはじまり

 この「PRINT Image Matching」は、エプソンのプリンタ、デジタルカメラとともに他社のデジタルカメラにも搭載されたことが大きな特徴である。この技術はデジタルカメラ、プリンタの双方が対応して初めて効果を表すため、世界中に普及させるにはエプソンだけでなく多くのデジタルカメラメーカーの賛同が必要なのだという。十一月一〇日現在、十三の主要デジタルメーカーがこの「PRINT Image Matching」技術への賛同を表明し、技術を搭載したデジタルカメラを次々に発表・発売している。エプソンでは、デジタルカメラメーカーとのパートナーシップによって、デジタルフォトプリントが当たり前のように楽しめる文化を推進したいと考えている。

「今回このような技術を開発してよかったことは、他社デジタルカメラメーカーの開発者の方々と話をする機会が増え、新しい潜在ニーズを探ることができることです。この結びつきがエプソンの将来の技術を支えていくと思います」と話される枝常氏、今後の課題は”簡単で安心“から、さらに”具体的な楽しみ方“”もっと楽しい機器“を提案していくことだと話している。

       *

 今回紹介したPRINT Image Matchingで、エプソンはデジタルフォトプリントという新しい文化を本格的に切り拓こうとしている。しかしその挑戦は緒についたばかり。今後は、デジタルならではの楽しさを可能にする、エプソン独自の発想力と技術、デジタルカメラメーカーとの協業の力、そして何よりも発想と技術を具現化する商品が、デジタルフォトプリントの文化を豊かにする鍵となるであろう。(PRINT Image Matching搭載デジタルカメラの最新情報は、インターネットホームページ

I Love EPSON

http://www.i-love-epson.co.jp/colorio/〉で確認できる)

デジタルカメラの普及によって、デジタル写真を楽しむ人々が増えている。

そのようななかセイコーエプソンは、デジタルカメラとプリンタを結び、

デジタルカメラの個性と撮影者のイメージした画像をより忠実にプリンタで再現できる新技術

「PRINT Image Matching」を開発した。

デジタルフォトの楽しさや簡単さを実現するこの技術によって、

デジタルフォトプリントという新しい文化が拓かれることが期待されている。

「PRINT Image Matching」とはどのような技術か、その今後の展開に迫る。

PRINT Image Matching対応EPSONプリンタ

PM-950C/PM-890C/PM-830C/PM-730C

PM-790PT/PM-3500C/PM-920C/PM-880C

PM-780CS/PM-720C

PRINT Image Matching賛同デジタルカメラメーカー

旭光学工業株式会社

オリンパス光学工業株式会社

カシオ計算機株式会社

京セラ株式会社

コニカ株式会社

三洋電機株式会社

ソニー株式会社

株式会社東芝

株式会社ニコン

日本ビクター株式会社

松下電器産業株式会社

ミノルタ株式会社

株式会社リコー

(50音順、敬称略、11月10日現在)

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