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[開発最前線] 電子辞書 ロングセラーの軌跡 -- セイコーインスツルメンツ















「電子辞書 ロングセラーの軌跡」

広辞苑からオックスフォード類語辞典まで7冊をまるごと収録

フルコンテンツ&フルキーボード電子辞書

9機種をラインナップ

セイコーインスツルメンツ株式会社(SII)

小さなケースの中に広辞苑、

リーダーズ英和辞典、Concise Oxford Thesaurusなど、

なんと7冊分、日本語、漢字、英語あわせて143万語(項目)もの言葉を収録した電子辞書。

SIIが約6000語を収録した1号機(電子英和辞典)を発表してから15年、その後着々と進化をとげ、

世界初のフルコンテンツタイプの英和辞典を発表してから数えても10年。

すでに電子辞書はビジネスの分野でも学術、学習の分野でもスタンダードな地位を獲得している。

今回の「SII ウェアラブル・テクノロジー」は、そんな電子辞書についての紹介である。

 関東では新宿西口や秋葉原、関西では日本橋筋の家電量販店街を歩いてみて、あることに気がついた人も多いと思う。昨年までは店舗のなかでもとくには目立たない事務機器コーナー、あるいは電子文具ともいうべきコーナーに小ぢんまりとディスプレイされていた「電子辞書」が、最先端のパソコンやデジタルカメラと肩を並べるように、店頭の特等席に威風堂々と鎮座しているという事実である。

 そんな電子辞書の市場を常にリードしつづけてきたのは、いうまでもなくSIIである。そのルーツは、一九八三年に発表して世界的な注目を集めたコンピュータ付腕時計(腕コン)であるといえよう。腕コンはCPUと表示部を腕時計に組み込み、小型のキーボードと非接触電磁誘導でインタフェイスする世界初ともいうべきウェアラブル・コンピュータで、やがてその機能をスケジュール管理、電話帳、メモなどに絞り込んだタイムマネジメントツールへと機能を特化させて、新たな製品(電子手帳)として市場にリリースされていく。さらに、そのタイムマネジメント機能の中のメモリー機能を研ぎ澄ませて、独自のコンセプト(小さく軽い、速く引ける、使いやすい)に基づいた数々のアイディアを搭載したものが、「電子辞書」なのである。

 一九八三年の腕コン、そして一九八六年のポケット電子手帳の後、一九八七年に電子辞書の記念すべき第一号機種である「DF-310」が登場する。「DF-310」は、約六〇〇〇語の単語を収録した英和電子辞書として、中・高生の学習、ビジネスの分野では日常の会話や文書によるごく基本的な意思伝達に手軽に役立てられるツールとして、高い話題性と評価を獲得した。しかし、ハイテク機器の宿命というべきか、この電子辞書が世に出てからしばらくすると使用するユーザーのニーズが、六〇〇〇語の収録、学習と日常の意思伝達に役立つツールというレベルに満足しなくなってしまうまでにはそれほどの時間を必要としなかった。

 以後は新機種が発表されるごとに「収録単語を倍倍ゲームのように増やしつつ多機能を搭載」、それに対してユーザーは「さらに高度な機能と収録量を要求する」というパターンがつづく。そして、「DF-310」が市場にリリースされてからわずか六年後の一九九二年には、世界初のフルコンテンツタイプの電子辞書「TR700」(研究社『新英和・新和英中辞典』の二冊の中身を丸ごと収録)が発表される。これ以来、学習や日常生活はもちろん、もっと複雑で専門的なビジネスや学術の領域でも本格的に使用できる電子辞書の時代が構築されることになる。

 そんなSIIのフルコンテンツ辞書が発売されて一〇周年。それを記念して新たに、SR9200、SR9200R、SR9500、SR9550、SR8100、SR950、SR850、SR250、SR350の九つの新機種がリリースされた。これら九機種の電子辞書に共通するテーマは、「さらにコンパクトに、さらに使いやすく」。

 SIIのウェアラブル・テクノロジーを製品として具体化したポピュラーユース・ハイテク製品としての電子辞書は、今後どのような進化の道を歩むのだろうか。

ロングセラーを維持するニーズの掌握

何度もいうようにSIIが開発・製造した電子辞書が市場にリリースされたのは一九八七年のことである。昨年(二〇〇〇年)のデータで恐縮だが、その累計販売台数は一五〇〇万台を突破している。ライフサイクルの極端に短い電子機器の領域で、これだけのロングセラーを続けている秘訣は、きわめて明確な製品コンセプトとともにユーザーの声を積極的に次世代製品に反映させた結果であるといえるだろう。

 一号機以来、すべての面での開発座標軸である「小さくて軽い」「素早く引ける」「使いやすい」に加えて、新たなニーズの発掘のなかで浮上してきた「定評のある辞書の中身をすべて搭載する」「英語、国語など専門分野の学習を効率的にサポートする機能を備える」など時代の要求するニーズを的確に捉える「マーケティング力」と、そこから浮上してきたニーズに則した製品をタイムリーにリリースできる研究・開発力があったからこそといえるだろう。このように、製造(研究・開発)と販売(マーケティング)の絶妙のバランスによって生まれたユニークな機能(今回新発売の製品カタログより)の代表的なものをいくつか紹介してみよう。

●フルキーボード搭載

パソコンを打つときのような自然なキー操作を実現し、早打ち対応キーインタフェイスにより、入力抜けも大幅に減少。カーソルキーの配列もPCタイプキー配列とし、キーとキーの間の隙間をなくすことで指に当たる面積を最大限に確保し、入力ミスを防ぐ配慮を施してある。

●リアルタイム検索機能

一文字入力するごとに見出し語の検索を行い、該当する見出し語を即座にリストアップ。目的の見出し語をすばやく引くことができる。

●プレビュー機能

リアルタイム検索した候補単語の中の反転表示した単語の訳を、自動的にプレビューウィンドウに表示。さらにその単語も瞬時に調べられる。スペルは共通だが意味が異なる単語なども一目で識別できる。また、例文や成句・単語などあらゆる場面で選択を容易にする。

●親指タイピング対応ボディ

コンピュータゲーム機や携帯電話などのキー操作に慣れ親しんだ世代に配慮し、ふたが本体の裏側へ三六〇度回り込む形式を採用。それによって、入力操作を親指で行うことが可能となっている。

これらの新機能の他に従来からの機能としては、

スペルチェック機能:誤った綴りを入力してもそれに近い綴りの英単語を候補として表示し、検索することができる。

ワイルドカード検索:特定の綴りを持つ単語を一覧検索。クロスワードや共通の語尾を持つ単語を検索する場合に便利。

ジャンプ機能:調べた単語の訳語や句例のなかにわからない単語がある場合、辞書から辞書へ素早くジャンプ(例えば広辞苑からリーダーズ英和)してその意味を調べることができる。

慣用句検索:入力した言葉を使った慣用句を広辞苑のなかから検索することができる。

文字サイズ切替:広辞苑なら16ドット/24ドット、他の辞書は12/16ドットを文字サイズキーを押すだけで切り替え可能。

その他、数々の機能を含めてSIIの取り組んできたことが、電子辞書の事実上の標準、デファクトスタンダードとして競合する他社製品にも数多く採用されている。時代とともに、そしてユーザーのニーズに対応しながら進化を遂げてきたSIIの電子辞書。そのロングセラーの軌跡は、一号機のリリース以来、もっと使いやすい電子辞書、ユーザーオリエンテッドな電子辞書を追求してきたSIIの歴史ということができるだろう。

発売から一五年という長い時間をヒット商品として店頭を飾るSIIの電子辞書。もちろん、競合する製品もそれぞれの個性を全面に打ち出して市場を賑している。

あらゆるメーカーの、あらゆるタイプの電子辞書に共通している要素といえば

● 携帯に便利

● 知りたい単語の意味が素早く引ける

● 類義語、例文、発音などの関連情報がすぐに見られる

ということになるだろう。こうしたどのメーカーでも追求するであろう要素のなかで、どの機能に重点を置くか、どんなユーザーにターゲットを絞り込んだ製品プロダクトを推進するかに、メーカーとしての、あるいは製品としてのオリジナリティが生まれてくる。

SIIの電子辞書シリーズに対するユーザー評価として顕著なのは、当初の単機能電子辞書の時代はともかく、フルコンテンツ電子辞書となってからは、初級者はいうまでもないが、中級以上、しかも密度の高い内容を要求する人達(ビジネス&学術的に高度な内容が要求される分野)により高い評価を受けているという点である。もちろんシリーズのなかのどの辞書も初級者から中級、そして上級者にも引きやすい、分かりやすいを意識したものであるが、幅の広いユーザーに満足を提供しているという点においては競合する他社製品を圧倒しているといえる。

ニーズの掌握&新機能の開発

そんな、SIIの電子辞書開発、とくに新シリーズ(二〇〇一〜二〇〇二年にかけて発売)に対する経緯について開発部門と販売部門の、お二人の担当者にお話をうかがってみた。

高度なスペルチェッカー機能を持つ

ウェア開発ストーリー

ウェアラブル・ビジネス W機器事業部

携帯機器部 設計一課

主任 田村 浩

辞書にすれば七冊分にも及ぶ大量のデータを小さなメモリーに収録する。使い勝手を追求するために、画面はできるかぎり大きく見やすくする。初級者のためには分かりやすさを追求する。中級以上のユーザーには高度な内容が要求される。ソフトとしてもハードとしても、電子辞書の開発は矛盾との戦いに終始するというのがセオリーとなっています。その意味で、SIIのウェアラブル技術部門の技術者としては非常にやりがいのある仕事をしてきたと自負しています。

 なかでもスペルチェッカーの開発は、日本人の誤記スペリング傾向とネイティブの英語を使う人たちの誤記スペリングの傾向(例えばRとLの発音やGHの発音など)を対比し、それらを一つずつチェックして日本市場向けの機器に搭載するなど、とにかく時間とエネルギーが必要とされました。今回発売された新しいシリーズにおいても、フルキーボード、リアルタイム検索機能、プレビュー機能、親指タイピングボディなど、新たな機能が搭載されていますが、これらの新機能(世界初も数々ある)のために多くのスタッフが長い時間をかけてR&Dを推進しました。もちろん、これからもユーザーが必要とする数多くの「世界初」を搭載して、電子辞書の可能性を追求していくつもりです。

電子辞書から広がる

数多くの可能性

SII販売 民生品事業部 商品部

電子辞書グループ

課長 武藤英文

小型の翻訳機や同時通訳機、電子辞書をさらに発展させると、やがては基本的コミュニケーションである会話(異なった言語同士の)を成立させるウェアラブル機器に行き着くのではないかと考えています。これは、今回の新シリーズの店頭におけるデモで、ユーザーとなるべき多くの人々から直接もたらされた「電子辞書」への期待の一部でもあります。製品としての電子辞書の流通をプロデュースする部門の人間としては、こうしたユーザーの声を一つ一つ拾い上げて、開発部門にフィードバックすることも大きな仕事となっています。そのためにも、開発・設計部門とのコミュニケーションを密にして、よりユーザーオリエンテッドな製品の開発を支援していくことも大きな仕事であると考えています。カルチャーからビジネスユース、初級者から中・上級者、とにかく百人の人がいれば百通りのニーズがあるのが電子辞書であるということを肝に銘じて、SIIの電子辞書の流通とニーズの開発に力を注いでいきます。

●電子辞書の最高峰 SR9200/SR9200R

広辞苑・リーダーズ・Oxfordなど最高峰のコンテンツを収録し、大画面でさらに使いやすさを追求した本格的キーボードを搭載。また、リアルタイム検索&プレビュー機能、漢字部品検索などの新機能を搭載。

●業界初のフルキーボード

●見やすい大型液晶表示画面(240×320ドット)で、標準16ドットで全角20文字×14行を表示。

●調べたい単語や訳語をスピーディに絞り込んで検索する新機能であるリアルタイム検索&プレビュー機能を搭載

●読めない漢字をパーツを手がかりに検索する漢字部品検索&ジャンプ機能を搭載

●広辞苑とリーダーズ第2版にオックスフォード英英&類語と日本語、英語ともに最高峰のコンテンツを収録。

収録辞書

岩波書店 広辞苑 第五版 約230000項目

岩波書店 逆引き広辞苑 第五版対応 約230000項目

研究社 リーダーズ英和辞典 第2版 約270000語

研究社 新和英中辞典 第4版 約70000語

The Concise Oxford Dictionary 約240000語

The Concise Oxford Thesaurus 約350000語

学習研究社 漢字源 6355字/熟語45000語

●先進のパフォーマンスモデル SR9500/SR9550

広辞苑、カタカナ語、人気のジーニアスなど、バランスのよいフルコンテンツを収録し、大画面にフルキーボードを搭載。複合語・派生語検索や例文検索、ワイルドカード検索など強力な検索機能、プレビュー機能も搭載。SR9500はJIS配列のフルキーボード、SR9550は分かりやすい50音配列キーボード(ラバーキーボード)を採用。

●見やすい液晶大画面

●リアルタイム検索&プレビュー機能を搭載

●漢字部品検索&ジャンプ機能を搭載

●調べたい例文を構成する単語を「&」で区切って入力すると、候補となる例文を複数の辞書から検索し、適切な例文を素早く見つける 例文検索機能を搭載

収録辞書(SR9500 SR9550共通)

岩波書店 広辞苑 第五版 約230000項目

岩波書店 逆引き広辞苑 第五版対応 230000項目

大修館書店 ジーニアス英和辞典 約92000語

大修館書店 ジーニアス和英辞典 約80000語

学習研究社 漢字源 6355字/熟語45000語

学習研究社 パーソナルカタカナ語辞典 約28000語

ロジェ2.:The New Thesaurus 約30000語

●英語力に磨きをかける英語専門モデル SR8100

フルキーボードと大画面を搭載。また英語学習に便利な、2冊の辞書の比較や参照が容易なデュアルディスプレイ機能、受験や学習、構文のチェック、ライティングに幅広く活用できるグローバル・キーワード検索機能を搭載。

●フルキーボード搭載

●大型液晶大画面搭載

●プレビュー機能搭載

●デュアルディスプレイ機能搭載

●グローバル・キーワード検索機能搭載

●英語学習に最適な辞書群を収録

収録辞書

研究社 新英和中辞典 約90000語

研究社 新和英中辞典 約70000語

ロングマン 現代英英辞典 約80000語

ロングマン ロジェ類語辞典 約250000語

●常時携帯のモバイルモデル SR950

辞書6冊をフル収録したスリム&スマートタイプの電子辞書。上位クラスに匹敵する充実のコンテンツを収録した上でコンパクトな携帯性を追求。

●コンパクトサイズ(W×H×D=111×72×14.8mm)に大きな液晶画面(120×240ドットのハイコントラストFSTN白黒液晶画面)を搭載し、標準16ドットで全角15文字×7行を表示。

●リアルタイム検索機能

●漢字部品検索&ジャンプ機能を搭載

●ジャンプ機能

●日本語、英語ともに充実のコンテンツを搭載

収録辞書

岩波書店 広辞苑 第五版 230000項目

岩波書店 逆引き広辞苑 第五版対応 230000項目

研究社 新英和中辞典 約90000語

研究社 新和英中辞典 約70000語

学習研究社 漢字源 6355字/熟語45000語

学習研究社 パーソナルカタカナ語辞典 約28000語

●広辞苑とジーニアス英和・和英を収録したスタンダードモデル SR850

普及価格を実現したスタンダードモデル。機能は上位機種と同様のリアルタイム検索、ジャンプ機能などはきちっと抑えた高校生やビジネスパーソンの実用的スタンダードモデル。

●コンパクトサイズでも見やすい液晶画面を搭載。

●リアルタイム検索機能を搭載

収録辞書

岩波書店 広辞苑 第五版 約230000項目

大修館書店 ジーニアス英和辞典 約92000語

大修館書店 ジーニアス和英辞典 約80000語

●もっとも手軽なフルコンテンツモデル SR250/350

新開発の親指タイピング対応ボディを採用し、人差し指操作以外に親指による操作を可能にした。このクラスでは初のフルコンテンツ収録。

●親指タイピング対応ボディを採用

●三省堂ジェム国語辞典、ジェム漢字辞典(抜粋番)を収録 SR250

●三省堂ジェム英和・和英辞典、ジェム漢字辞典を収録 SR350

収録辞典(SR250)

三省堂 ジェム国語辞典 約43000語

三省堂 ジェム漢字辞典 約4300字を抜粋

収録辞典(SR350)

三省堂 ジェム英和・和英辞典 英和:約33000語/和英:約31000語

三省堂 ジェム漢字辞典 3550字を抜粋

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