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取材用ハイビジョン光ディスクカメラの開発 -- 徳丸 春樹




NIreport

映像を多角的に編集・利用する時代へ

取材用ハイビジョン光ディスクカメラの開発

放送技術研究所徳丸春樹氏に聞く

家庭用の映像機器にも光ディスクを使用した

DVDが普及するようになったが、

テレビの取材などの現場では、まだ磁気テープを使った

VTRやビデオカメラが主流である。

現在こうした映像記録にも

光ディスクを用いようとする研究が進められている。

取材用ハイビジョン光ディスクカメラの開発にとり組む、

NHKの放送技術研究所記録・メカトロニクス主任研究員の徳丸春樹氏に聞いた。

東京世田谷にあるNHKの放送技術研究所は、日本でラジオ放送が始まって五年後の一九三〇年設立。テレビ放送の開始を経て今日まで日本の放送技術全般を支える研究を推進してきた。現在ここでは、放送のデジタル化による多角様化に対応するISDB(Integrated Services Digital Broadcasting 統合デジタル放送)を軸にさまざまな研究が行われている。ハイビジョン光ディスクカメラの研究開発もそうしたものの一つだ。

光ディスクの利点

従来VTRなど磁気テープが使われている映像記録を光ディスクにすることには、多くの利点があるという。

「ディスクは、高速アクセスが可能ですし、ハードディスクなどと違って携帯できますから、取材現場ですぐに編集して映像を送ることができます。それと事件現場などではカメラを回しっぱなしにするエンドレス記録も可能です。送信する際にも、個々のネットワークの伝送速度に合わせたディスクの回転数で素材を伝送することができます。

 また、今のテープは三年に一度程度クリーニングなどのメンテナンスが必要なうえ、再生する際にヘッドと接触するためダメージを受けやすいのですが、光ディスクは非接触で再生するのでディスクが傷つく心配がなく、劣化もほとんどありません」

記録のデジタル化は、こうした保存や再利用の問題とも深く関係している。

 放送の領域では、二〇〇〇年十二月から衛星放送のデジタル化が始まり、二〇〇三年から地上波のデジタル化が予定されている。デジタル化によっては映像、音声、テキストなどを内容の区別なくとり扱うパッケージで保存することが可能となるため、NHKではこうした素材を多角的に利用したISDBを構想しており、その素材づくりのためにも記録のデジタル化が必要となっている。こうしたなかでNHKは埼玉県と共同で、二〇〇三年埼玉県川口市に、過去の映像資料を中心としたアーカイブを建設する予定だ。

「今、各地方局や放送センターに保存されているNHKのアーカイブは、オンエアされたかたちの完全プログラムだけで一五〇万本を超えていて、さらに増え続けています[fig.01]。しかも六〇分の番組をつくるために必要な素材はその一〇〜二〇倍。お金がかかる取材費用を節約するためにも、それらを残しておいて二次利用することが望ましいのです。これが光ディスクなら、スペースやコストが少なくてすみ、検索・再利用が容易になります」

こうした資料は一般に公開されて、市民が過去の映像や素材を活用できるようになるという。

並列記録と青紫色レーザーの使用

では光ディスクカメラ実用化のためには、どのような技術的課題があるのだろうか。

「必要なのは・記録レート(速度)のアップと、記録容量の増大です。取材・ニュース用のハイビジョン撮影の記録には、市販されている書き換え可能なDVDの一〇倍近くの記録速度と五倍以上の記録容量が必要になります」[fig.02]

開発の第一段階として記録レートの高速化がとり組まれ、今年五月の技術公開では一チャンネルの記録速度・毎秒一一〇〇メガビット(100Mbps)を達成した成果が公開された。これは現在、世界トップレベルの水準である。ここではまた、情報を記録するペンにあたる光ヘッドを二系統用いて隣り合うトラックに同時にデータを書き込む二チャンネルの並列記録方式の展示が行われた。光源には青紫色レーザーが採用された。青紫色レーザーは、従来のDVDに搭載されている赤色レーザーの波長が六三五ナノメートルなのに比べて四〇五ナノメートルと短く、その分集光させた光の直径も、赤色〇・九ミクロン、青紫色〇・五ミクロンと小さいため、面積にすると二乗分の高密度な記録が可能となって大容量化と高速化を実現できる。

 この他、高密度・高速に対応した信号処理や、高速回転する光ディスクを高精度で追従させる制御技術の開発なども進んでいる。こうした技術をさらに改良して、二〇〇五年までには毎秒二〇〇メガビットの記録速度、CDサイズのディスク片面で二〇分以上の撮影時間(総記録容量三〇ギガバイト)の実現を目指している。

光ディスクの技術がもたらすもの

さて、このような光ディスクの開発は、ニュース映像という成果で私たちの目に触れるほかに、どのような影響があるのだろうか?

「パソコンや家庭用ストレージ(メモリ)などでしょう。二〇分の録画時間というのは第一ラウンドの目標で、これがスタジオ用になれば二時間の記録時間はほしい[fig.02]。その技術では非常に大きなすごい容量が可能になりますので、一般のパソコンのメモリの増大ができ、データの書き込み・呼び出し速度が飛躍的に速くできるでしょう。

 また、家庭用のビデオなどで長時間の録画や、追っかけ再生なども可能になるでしょうね。毎秒二〇メガビットの記録速度をもつ機械が毎秒一〇メガビットで録画すると、半分の余裕ができますから、すでに録画したところに飛んで再生をすることができるわけです」

放送技術研究所が開発した技術は、特許を登録して後オープンにされ社会還元されている。光ディスクにまつわるさまざまな技術的方式に関しても、メーカーその他との合意のもとに共通のフォーマットづくりを行い、放送用だけでなくパソコンや家庭用の機器にも使えるものにしていきたいと徳丸氏らは考えている。

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