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[NIヒューマンインタビュー] 山武 -- 佐藤 良晴



(P64-65)

NI Human Interview

NIヒューマン・インタヴュー

株式会社山武

佐藤良晴氏

(株式会社山武・代表取締役社長)

聞き手・板生清(本誌監修)

「心地よさを人に 地球に」

板生――御社は昨年で九五周年を迎えられたそうですね。

佐藤――ええ、もうすぐ一○○年になるということで歴史の重みを非常に感じます。創設者は山口武彦という人で、だからうちの社名は山武というんですね。最初は洋釘の製造や欧米工作機械類の輸入販売から始めて、やがてオートメーション化に伴う温度や圧力、流量などの制御技術を手がけるようになりました。当時、製鉄や石油精製の現場は非常に危険でしたから、その環境を改善し、人々を「労働の苦役から解放する」ことが一つの大きなミッションだったようです。その後、ビルシステムや産業システム、制御機器事業など、幅広く事業を展開してまいりましたが、私どもが使命としてきたのが省エネルギー・省資源への貢献でした。一九七八年から企業メッセージとして掲げてきた「セーブメーション」という言葉は、「オートメーション」と「セイビング」を合わせた造語です。さらに一九九六年にはビジョンスローガンとして「心地よさを人に 地球に」を制定し、この年藤沢工場、湘南工場が環境管理の国際規格であるISO14001の認証を取得するなど、「省」への貢献に努めてまいりました。昨年九五周年を迎え、「快きサービス」「心地よさを人に」をテーマに「人」にかかわる部分で、高齢者の心の悩みや健康への不安をとり除くための試みも始めたところです。

板生――エネルギー・コントロール技術から介護や緊急通報の分野にまで、本当に幅広くとり組んでおられますね。

佐藤――今後は、私どもが保有するセンシング技術やリモート技術を従来の建物や施設へのとり組みだけでなく、「人」に対して活用していきたいと思っています。その代表的なものが、一九八七年に設立された「安全センター」です。緊急時における迅速な対応、健康管理のサポート、メンタルヘルスケアといったサービスを提供しており、現在、会員数は三万人を超えるまでになりました。腕時計タイプの体調モニターによる異常自動通報システムや徘徊老人位置探索システムなど、新しい技術を随時導入しています。

板生――これからは、肉体的な健康と同時に心の健康への対応も必要になってきますね。

佐藤――ええ。そうしたわけで、安全センターでは、健康相談だけでなく人間関係やストレスによる悩みまで幅広くお答えする電話相談窓口を設置し、多くの方にご利用いただいております。

環境ソリューションへの挑戦

板生――御社は早くから環境事業にとり組んでこられましたが、具体的にはどのようなことをされているのですか?

佐藤――環境管理対策で最初から手がけているのがモニタリングです。たとえば工場だったら、どこの現場が、あるいはどんな時間帯が一番エネルギーを多く消費するかといったモニタリング調査をし、その結果をデータ化して改善策や対策を導き出していきます。こんな時間帯にエネルギーの使用が多いのはおかしいとか、水の使用量が多すぎれば、どこか漏れているんじゃないかと指摘もします。そこでポイントとなるのが、やはり測定の技術なんですね。

板生――まさに診断ですね。医者に診断してもらって、薬を処方してもらうのと同じでしょう。

佐藤――ええ。最終的にはお客様の企業の発展に結びつくソリューションを提案していかなければなりませんからね。たとえば、空調一つをとっても、体感温度というのは人によって結構違うものです。そうしたなかで、いかに省エネルギー・省資源を目指しつつ、快適かつ最適を実現していくか、というのが問題です。

板生――空調の例でいえば、何も大きな部屋全体を冷やす必要はなくて、空調機自体は一つであっても、吹き出し口がいっぱいあればエネルギー消費はもっと抑えられると思います。人がいる部分を感知してそこからだけパーッと空気を出せばいい。そのためには、その人がどこにいるかを情報発信するためのウェアラブル・コンピュータが必要になってきますね。

佐藤――そうですね。私どもでは住宅用のセントラル空調システムを提供する「ホームコンフォート事業」も行っています。住宅の快適性において一番重要なのは冷暖房ですが、問題は快適性を高めるためにどんどん電気を消費して、部屋を冷やしたり暖めたりしていることにあります。おっしゃるように、本来、クリーンな空気を循環させれば空調機は一つでいいんですね。そこでわれわれは、全部屋の空気を一箇所に集めて濾過し、冷やしたり暖めたりした空気を循環させるセントラルダクト空調システムを提案しています。濾過しても除去できない炭酸ガスについては、CO2センサで検出して、最低限の外気をとり入れる。その分だけ熱交換器を通して温度調整をしてやるんです。そうすれば、ランニングコストは随分低く抑えられます。現在、このシステムを採り入れた高気密・高断熱のモデルハウスを藤沢と神戸に設置してご提案しております。

 ただ、一般の住宅ではまだまだ個別空調がほとんどですから、これから家を建てる方々の環境に対する価値観をどう変えていくかが課題ですね。

板生――地球環境問題といっても具体的に実感することは少ないでしょうから、環境自体にお金を払うという意識はまだあまり根づいていませんね。

佐藤――そうなんです。京都議定書以来、国の指導方針に基づいて、私どもでは二○○○―三○○○もの工場を回ってエネルギーの総合監視についてご提案させていただいているのですが、具体的な予算の段階になると、即効性がないものに対しては皆さん躊躇してしまう。

板生――やはり、ある程度のガイドラインや国の指導が必要でしょうね。ソーラーパネルや生ゴミ処理機の購入に対する補助はありますが、日本ではまだまだ環境に対する行政のとり組みは十分ではありません。

佐藤――環境問題といっても、事業としてある程度バランスをとっていかなければなりませんからね。その辺が私どもの最大の課題といえるのではないでしょうか。

板生――御社では、その他にも「球面半導体無線温度センサ」といったマイクロマシンの研究開発にもとり組んでおられますが、これなども、環境問題を解決するうえで大いに期待すべき技術ではないでしょうか。

佐藤――仁丹粒よりも小さいセンサですね。内外の大学や外部機関とパートナーを組んだり、公的プロジェクトに参画しながら、これらの技術をぜひ環境測定等に活用していきたいですね。

板生――可能性は広がりますね。本日はお忙しいところ、誠にありがとうございました。

(P64写真キャプション)

佐藤良晴(さとう よしはる)

1938年福井県生まれ。

慶應義塾大学経済学部卒業後、

1960年に山武ハネウエル(現山武)入社。

81年に機器事業本部機器制御事業部製造部長、

84年取締役、91年常務、

96年副社長、98年6月社長に就任。

同年7月山武に社名を変更。

趣味はゴルフ、ガーデニング。

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