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[開発最前線] カーボンナノファイバー複合材料実用化に向けた世界最小レベルの歯車の開発とその駆動 -- セイコーインスツルメンツ



(P058-059)

セイコーインスツルメンツ株式会社のマイクロパーツ設計・製造技術が、

新素材であるナノカーボンと出合い、世界に発信する技術を確立した。

その技術開発は大学と企業の産学連携ユニットによって実現。

わが国独自の技術開発の新しいムーブメントを取材した。

カーボンナノファイバー複合材料実用化に向けた

世界最小レベルの歯車の開発とその駆動

セイコーインスツルメンツ株式会社

取材/編集部

大学と企業連合による産学連携ユニット

 セイコーインスツルメンツ株式会社が世界に誇る時計製造を通じて培ったマイクロパーツ設計・製造技術が、カーボンナノファイバー複合材料実用化に向けた産学連携ユニットに生かされ、世界最小レベルの歯車の開発とその歯車の駆動を実現した。

 その産学連携ユニットとは、次のようなものだ。素材は信州大学・遠藤守信教授と昭和電工株式会社(東京港区、大橋光夫社長)が共同開発し、現在市販しているカーボンナノファイバー『VGCF(直径100―200nm)』。それを、信州大学のナノテク研究者が支援し、昭和電工(株)のナノカーボン制御・生産技術、北川工業株式会社(名古屋市中区、北川弘ニ社長)のオリジナル材料での製品化を軸としたコンパウンド技術、そして先に述べたセイコーインスツルメンツのマイクロパーツ設計・製造技術といった各社のコアコンピタンスが融合された。

 今回、開発された歯車は、プラスチック歯車をナノファイバー/プラスチック複合材で形成し、その技術を確立したものだ。現行の生産技術レベルでは、世界最小レベルの、ナノコンポジットナイロン樹脂製を完成させたと同時に、実際にその歯車を駆動させることに成功した点で、高い評価を得ている。各社のもつ技術的な強みを最大限引き出し、今後もナノカーボンコンポジットの実用化に向け、さらなる展開を考えているという。今回の世界最小レベルの歯車の開発はその第一弾になる。

日本発のナノファイバー応用技術開発 

 炭素繊維、つまりカーボンファイバーといった複合素材の歴史は、一九六〇年代から急速に開発が進んだ宇宙開発から始まるが、その後、一九六五年ごろ民生用、たとえば釣り竿やゴルフ用品に利用されるようになった。

 その後、その応用技術がさまざま開発され、世界の七〇パーセントの炭素繊維が日本でつくられるようになったが、カーボンファイバーの応用技術の特許は、ほとんどがアメリカを中心とした外国に取得されている。

 今回の産学連携ユニットは、世界に冠たるカーボン系のナノマテリアルを融合させ、日本発のナノファイバー、ナノチューブの応用技術を開発しようとしたもので、技術立国と呼ばれていた日本の復権を狙う一つの試みであるといえるだろう。

 市場として想定しているのは、一九九五年くらいに飽和状態になった航空宇宙分野やスポーツ分野ではなく、今後期待のもてる一般工業用途。その意味で、技術開発時から、応用技術開発と同時に資本デバイスとして戦略的な方向性をもっていることは、大学の研究の支援を受けた企業連合による産学連携の未来型の形態でもある。

ナノコンポジットの事業展開

 今回、開発されたナノ複合材歯車は、歯車直径=〇・二ミリメートル、モジュール=〇・〇二五ミリメートル、歯数=六枚、軸径=〇・〇九ミリメートルの極小歯車であり、歯車と同じ樹脂(ナノコンポジットナイロン樹脂)で成形した中間車を介して、ウオッチ用の秒針歯車を動かすユニットを構成し駆動させている。

 ナノコンポジットの特長は、ナノファイバーの混練によって微小部品の射出成型が容易になり、かつ優れた転写性を有し、精緻な形状が容易に成形できるという点である。

 また、つくられた歯車は、機械的にも強化されており、耐磨耗性、摺動性、帯電防止、熱的機能にも非常に優れていて、従来の技術をブレークスルーする可能性が充分に見こめる技術であるという。これはナノカーボンによる成果である。

 今後は、この技術をベースにセイコーインスツルメンツ(株)、北川工業(株)、昭和電工(株)の各企業のコアコンピタンスの連携をさらに深化させ、超精密部品から大型機械への応用に至る広範な分野で、具体的な事業展開を図っていく。

 実際の事業展開として想定しているのは、PCをはじめとするOA機器を含む精密機械、医療機器、自動車部品分野である。個々のユーザーはもとより、とくに機構部品を有する地域産業との協力開発を、積極的かつ重点的に推進していく。

 このような産学連携ユニットの成果が、産業技術の高度化、高機能化を進めながら、資本デバイス技術としての日本のナノテクの発展に大きく貢献していくことを期待したい。

(059写真キャプション)

素材としてのカーボンナノファイバー

世界最小レベルの歯車。髪の毛との比較

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