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NI Forum


(P086-087)

NI

forum

URL―http://www.natureinterface.co.jp/forum/index.html

「NIフォーラム」は、技術者や学生、主婦など、

職や年齢に関係なく、広範囲の視点から

「ネイチャーインタフェイス」を語り合うために

発足した、Web上のサイトです。

スタッフの多くは、東京大学新領域創成科学研究科の学生たち。「自然環境、生態学」「生活スタイル、

情報家電」「テクノロジー」「本、映画、音楽」

「NIという概念について」の五つを柱として、

活発な意見交換をおこなっています。

今回は、「NIフォーラム」の活動状況をお伝えしてきたこれまでとは趣を変え、NPO法人WINの母体である東京大学工学部の学生たちが、本誌六号を読んで何を感じ、どう考えたかをご紹介します。

未来をひらく超小型コンピュータ

工学部システム創成学科 白山大地

 コンピュータの歴史はダウンサイジング(小型化)の歴史である。現在はすでに、モバイル時代に突入している。近い未来には体につけて歩けるウェアラブル(装着型)コンピュータが日常的に使われるようになるだろう。

 米国では、飛行機整備用のウェアラブルコンピュータが開発ずみだそうだ。特別な眼鏡をかけるとマニュアルが眼前に浮かんで見え、腰につけたリモコンでページをめくる。整備士は機体から目を離さずにマニュアルを参照できるわけである。そのうち、あらゆる物や人体、環境に埋め込める極小のインプランタブル(埋め込み型)コンピュータが普及し始めるだろう。

 そうなると、たとえばスーパーなどで、値段を記録したチップを商品に埋め込んでおけば、店内のゲートを通るだけでカゴの中の商品の合計額を計算し、顧客のカードを読みとって銀行から代金を引き落とすことが可能になる。レジの行列はなくなるかもしれない。

 また、微小チップを飲み込んで消化管を撮影し、そのデータをベルトに付けた装置で受信して病院に送るといった、新しい健康診断も可能になるだろう。

 現在のコンピュータは付き合いにくい相手かもしれない。コンピュータが求めるとおりに操作しないと動いてくれない。これからのコンピュータは、もっと控えめ。人間に操作を求めず、人間の意図をくんで自ら動いてくれるようになる。体内や洋服、腕時計、行く先々で触るもの、建物の壁や床、道路などに埋め込まれた見えないコンピュータが、通信ネットワークでさりげなく話をして、人間にとって快適な環境を整えてくれる。そんな時代が到来するのではないだろうか。

 そのときには、生活環境の中に無数に存在する小さなコンピュータをネットワーク化し、全体としてさまざまな機能を実現していくためのインタフェイス技術も重要になる。超小型コンピュータの研究は、スーパーコンピュータに比べ軽く見られがちだが、未来のコンピュータの方向は、むしろこちらの方向だと思われる。

「ユビキタス・コンピューティングの世界」について

工学部システム創成学科 望月有人

 ユビキタスとは、本誌六号の記事によれば、「遍在する、広くあまねく存在する」という意味である。そしてユビキタス・コンピューティングとは、人間が積極的にコンピュータにはたらきかけて求める結果を得るのではなく、コンピュータが人間に気づかせずに処理をおこない、人間が何かをおこなおうとするときに、自然にそのサポートをするような環境を構築することだといえる。したがって、必然的に「everywhere」と「invisible」が重要になってくる。

 これを実現させるためには、センサとして活躍するウェアラブルコンピュータが必要となる。現時点で、もっともセンサになりそうなものは、携帯電話を拡張したものだと思う。カメラが付いていたり、GPSを備える携帯電話もすでに商品化されているし、その普及率を考えても携帯電話を拡張していく方向が妥当だろう。

 ではその場合、どういうサービスが考えられるだろうか。まず、映画館や劇場、そして電車に入ったときのモード変更だろう。映画館や劇場に入るたびに携帯電話のモードをいちいちチェックするのは面倒だし、電車に乗るたびに「電源をお切りください」だの、劇場や映画館に入るたびに「携帯電話などの音の出るものは鳴らないようにしてください」だのと聞かされるのには、ほとほと飽きている。これは、すぐにでも実用化してほしい。

 ところで、記事中に、ユビキタス・コンピューティングが実用化された世界の例として、犬と会話する場面があるが、これは必要ないのではないか。むしろ言葉が通じない状況で、いかに犬の気持ちや欲していることを探るところにも、犬と生活する魅力があると思う。ましてや言葉というものは容易に誤解を生み出し得るので、たとえコンピュータが日本語と犬語を完璧に訳せたとしても、犬と言葉によって意志の疎通ができるかというと眉唾ものである。そもそも人間同士でさえ、完全な意志の疎通ができていないというのに。

「ユビキタス・コンピューティングの世界」について

工学部システム創成学科 清水達哉

 先日の朝日新聞の科学面に、ユビキタス・コンピューティングの利用例が載っていた。年配者が入浴する際に体調を観察したり、室温を自動調節する装置を天井やドアなどに取り付けたりするなどという内容だったが、ウェアラブルコンピュータやネットワークの研究が進み、すでに現実の世界の話になりつつあることがうかがえた。

 こうした技術が使われるべきは、医療、とくに介護の世界だと思う。介護の場合、介護者が被介護者につきっきりになるわけにはいかず、有事の際にまわりに人がいないことも多い。介護者は自分が外出する時なども心配が絶えないだろうし、介護はしていなくても、一人暮しをしている年配者の家族には不安が多いはずだ(実際、私の母は、毎日一回長崎にいる祖母に電話している)。

 こうしたシステムを使えば、誰がどこでどういう状況にあるのかを、いつでも必要に応じて見ることができるし、緊急時には介護者や家族に知らせるとともに、病院などにも知らせ、被介護者の健康を守ることも可能になると思う。また、乳幼児に適用すれば、育児の負担を軽減することも可能になるかもしれない。

 このようなシステムを構築するとき、コンピュータが外からは見えないことが大切である。センシングおよび位置情報の発信にはプライバシーの問題も関わってくるし、「自分はコンピュータに監視されている」という意識をもたれると、倫理的な問題にも発展してくるからだ。したがって、導入初期には、まったくコンピュータの存在を感じさせず、情報やサービスも必要なときにしか使わないなど、「保険」のような使い方が適切だと思う。その後、「身のまわりのコンピュータが自分を見守ってくれている」という認識が広がれば、本格的な導入につながるだろう。

 そのときには、セキュリティの問題も重要になってくる。ユビキタス・コンピューティングが発達すれば、ネットワークに個人の存在状況が流れることになるから、侵入などによって悪用・無断閲覧されれば、犯罪に使われる可能性もあるからだ。携帯電話など、新しい技術に対する法規制は後手にまわってしまうことが多いので、ユビキタス・コンピューティングの導入も、社会の変化を予想し、対策を練ってからでないと難しいだろう。

(086写真キャプション)

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