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(P45) モノづくり不思議教室 株式会社デンソー
ナノの世界のピラミッド 走査型トンネル顕微鏡によって形成されたナノ構造体
走査型トンネル顕微鏡という、材料表面の原子配列を観察することができる顕微鏡がある。先端がナノメートルオーダーの曲率をもつ探針を材料表面に近づけ、探針と材料との間に流れるトンネル電流を利用して、材料表面に原子がどのように並んでいるかを観察できるものである。 しかもこの顕微鏡は、表面を観察するだけでなく、材料表面の原子を思いのままに並べることもできるので、「ナノテクノロジー」の分野で活躍が期待されている装置の一つである。 写真は、この顕微鏡を利用してシリコン基板上に形成した構造体を、この顕微鏡自身で観察した像である(1)。この構造体は一辺が数十ナノメートル程度の三角錐や四角錐の形をしており、まさに「ナノの世界のピラミッド」といえる。 超高真空中でシリコン基板を五〇〇度程度で加熱すると、基板表面にシリコン原子が拡散する。この時、探針を原子の直径以下の距離まで基板に近づけると、拡散しているシリコン原子が探針の下に集まってくる。この状態で、探針と基板表面との間の電流と電圧を制御してやることにより、ピラミッドを形成することができる。 実世界のピラミッドは何千年もの間その姿を残しているが、残念ながらナノの世界のピラミッドは形成されてからすぐに崩壊してしまう。でも安心。ナノの世界でもちゃんと崩壊を防ぐ方法が考え出されている。シリコン基板上のピラミッド以外の部分をシリコンの酸化膜にしておけば、ピラミッドは崩壊しないのである(2)。 (協力:名古屋大学 一宮彪彦教授)
1) A. Ichimiya, K. Hayashi, E. D. Williams, T. L. Einstein, M. Uwaha and K. Watanabe: Phys. Rev. Lett. 84 (2000) 3662. 2) M. Shibata, Y. Nitta, K. Fujita and M. Ichikawa: Phys. Rev. B61 (2000) 7499.
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