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[連載] 世界の生き物 人類,生存をかけた他生物との共存の試み -- 秋濱 友也





















(P64-66)

連載

世界の生き物

秋濱友也(アグリバイオ研究所)

人類、生存をかけた他生物との共生の試み@

あきはま・ともや

1929年、埼玉県生まれ。元明治大学教授。アグリバイオ研究所代表取締役。

遺伝育種学的立場から有用植物を中心に遺伝資源探索・保存・評価・利用に関する研究を続けてきた。

研究テーマはバイオテクノロジーを応用した、組織培養、超低温保存、細胞融合、遺伝子組み換え等である。

海外探索旅行20数回、青年海外協力隊選考委員、日本学術会議遺伝資源委員等の経歴より、世界の農業、有用植物、動物等多数の画像のストックがある。

 遺伝資源探索のために世界を旅すると、生物種の頂点に立つ人類は一人勝ちして地球を破壊し続けていることに気づく。しかし幸いにも、人類が必要とする貴重な遺伝子は発展途上国の未開の地方に多いため、そのようなところでは人間が他生物と共存共栄をはかる光景がしばしば見られる。

 たとえば、自然生態系を壊さぬ配慮がうかがえる例として、ジャングルの中から食糧を調達する、身近な家畜とともに生き、家畜を食べたり農作業に使うなどがある。また、食糧確保のため、品種改良や持続的農業を考えた輪作(毎年栽培する作物を変える)などもおこなわれている。

 今回は、先進国に居をおく筆者がで目にした、ユニークで勉強させられた光景を紹介しよう。

(P64写真キャプション)

インドではケナフの栽培が盛んである。皮をはぐ前に池や沼につけて、少し腐らせてから利用する。ケナフの繊維は上等で荷造り用の布などに使用されるが、ほとんどが日本へ輸出されている。

同じく1983年、南タイの王室農業試験場では、ヤシのわい性遺伝子を利用した品種の栽培試験がおこなわれていた。ヤシがチビッコになると作業が楽になり、収穫量も高くなる。

1983年頃にタイを訪れたら、ヤシの実の収穫をサルが手伝っていた。農夫が下から合図を送ると、くるくるとヤシの実をねじって、下へ落としてよこす。自然にやさしい農業技術といえる。

1960年頃のタイ国では、ヤシの天然ジュースを収穫する際に、軽業のような光景が見られた。十数メートルの高さまで、竹の枝をくくりつけたハシゴを使って登っていた。

(P65写真キャプション9

ごく最近のことだが、ジャングルの開墾中にミカンの新種が発見され、「シトラス ハリミ」と命名された。現地の人々は神木としてまつり、供物を供えていた。この枝をいただくのに、オーナーと交渉し、半日以上かかった。

タイとマレーシアの国境地帯はかつてケシの

栽培が盛んであったが、麻薬撲滅政策から、

ジャングルを開いて茶の栽培が進められていた。

マレーシアの首都クアラルンプールから南タイの方向に調査旅行を進めた。有名な避暑地、カメロンハイランドである。途中ジャングルを越えるが、そこで出会った少数民族は自然の中で食糧を調達していた。

カンキツ遺伝資源探索に携行する7つ道具がこれ。

カメラ、糖度計(写真中央)、高度計、剪定ばさみ、

消毒薬などである。

インドでは牛は神様の使いである。町の中をゆうゆうと歩いてござる。牛が糞をすると子どもたちが先を争って拾い、手でセンベイ状にする。これは天日に干され、冬の燃料となる。人々の知恵には無駄がなく、限りなく自然環境にやさしいものだった。

ネパールのカトマンズから飛行機で東へ1時間、そこには天まで水田が続く風景が広がる。その間に、まったく姿の同じオレンジの集団ができている。ミカンの種子には珠心笂(しゅしんはい)というものがあり、それによって母親と同じ木が生える不思議な現象が見られる。自然を利用して遺伝資源の保存が可能な例であろう。

タイ国のチュルランコン大学で

保存されているカンキツ。イーチャンゲンシスといって、

ユズ、スダチ、カボスの先祖といわれている。

イーチャンとは、東タイでミカンのこと。

起源は中国である。

スリランカの首都コロンボから南の海岸を行くと、なんともほほえましい魚釣りの風景が見られる。このような漁獲法では、魚資源の枯渇は考えられない。

(P66写真キャプション)

ボリビアの首都ラパスは富士山より高い位置にあり、飛行機から降りたあと、高山病で倒れることもある。町ではインディオが1日中座って、背負ってきた少量の果物や野菜を根気よく物々交換している。

インドネシアのバリ島で出合ったブンタン。少女の顔の大きさと比べてみてほしい。筆者がこれまでに見たカンキツの中で、最大のものである。

日本の海外青年協力隊員が、村の人々を集めて、コカ栽培の代わりにミカンやコーヒーの栽培を指導したり、ミカンの缶詰やジュースのつくり方を教えたりしていた。このアンデスの奥地に、現在、日本の援助で小さな加工場ができている。

山の裏側にまわると、これは大変、栽培禁止にもかかわらず麻薬のコカの畑があちらこちらに出現する。ボリビア政府も頭の痛い問題のようだ。

ペルーのリマ空港から南へ飛行機で1時間ちょっとで、アレキパの町へ着く。ここは大砂漠改造計画の現場として知られている。EUの援助で、アンデス山脈をトンネルでくりぬき、チチカカ湖から水を引いてきた。水が来ると、翌年にはすぐにグリーンベルトが展開された。

アンデス越えは1000mの谷底を見ながら、ガタガタとバスで揺られていく。ところどころ、ガードレールではなく十字架が並んでいる。車が落ちたら引き上げることはできないそうだ。

インドネシア、ジャワ島の東端、スラバヤに近いマドラ島に出かけた。この島はミカンの大産地として知られているが、昔は塩田が開けていたそうだ。海岸ではマングローブの植林が進められており、海が満潮になると緑が消え、干潮になると緑の並木が出現する。

砂漠に出現した畑地では、野菜でも果物でも、とにかくオバケのように生育する。まったく新しい土地だから、害虫や病気にかからないのである。これはアマランサス(ヒユ科)の穂なのだが、1m近くにもなり大収穫が見込まれる。このアマランサスの種子を粉にして焼いて食べるとダイエット食品になる。

Tomoya Akihama アグリバイオ研究所

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e-mail : akihamat@d9.dion.ne.jp

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