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NI Club


(P88-89)

NI

Club

生活者の視点から考える“ネイチャーインタフェイス”とは……?

読者から届けられた声の数々をご紹介します。

環境汚染をプロジェクト×(ペケ)の筆頭に!

山田久美子

 切迫しているゴミ問題〜環境汚染について、考え、行動する人になってほしいとの願いから、子どもたちのためのテキスト付き環境教育ビデオ『4Rでゴミダイエット』をNGOで制作したことは、前号でお伝えした。この中で私たちが重点を置いている点は、4つのRの他に、焼却等によるダイオキシン類の発生と、次世代まで巻き込むその深刻な毒性、環境ホルモンとしての怖さである。「ダイオキシンで死んだ人はいない」と豪語する妙なジャーナリストや学者もいたが、誰も死なないで生きて次世代にそのリスクを濃縮して渡すからこそ、問題なのである。

 個々の原因はさまざまながら、環境汚染は押しなべて環境保全の失敗例である。つまり出来のよくない環境政策の壮大なペケの結果といえる。しかも被害者である国民・市民には何の落ち度もなく、ただその国・その地の住人であったということだけが、不運といえば不運である。

 先日、文部科学省が二つの矛盾する決定を発表した。一つは高校教育課程の教科書と指導要領から、『ダイオキシン汚染』『フロン問題』『環境ホルモン』などの内容を削除するという決定。理由は「高校生には難解」「不必要」と、検定意見がついたとのこと。「え?! 問題の真っ只中じゃないですかあ!」と思わず、テレビに向かって叫んでしまった。そんなにすぐ忘れていいの? これらの記述を消したいのは本当は誰なのだろう。もう一つは、文科省のお声がかりで、企業の失敗例に学ぶトラブルや事故を数百例集めたデータベース、いわく『プロジェクト×(ペケ)』のインターネットデビューである。

 失敗に学ぶ。環境政策の失敗に学ばずして、この国は大切な次世代の国民をどう教育しようとしているのだろう。私たちのつくった環境教育ビデオを、じつは文部科学省にも持ちこんで評価していただいている。「どうせわからないから……」ではなく伝えようとする真摯な姿勢が、私たち大人に必要なのではないだろうか。

ガンと闘う友よ

――友人キャロル・ローへのインタビュー

マリー・マグワイア

 当たり前! そう、キャロルは家族や友達や音楽というとても大切なものに囲まれて、当たり前の日々を過ごしていた。、セントルイス(ミズーリ州)で音楽に親しむ家庭に育って以来、彼女はチェロを奏でてきた。妻や母になってからも、彼女の生活にはいつもチェロがあった。

 海洋生物学で修士号を得た後、キャロルはニュージャージー州に移り研究者として働いた。一時は研究を優先するためにチェロを止めていたが、やがて音楽のある生活を求めて地元のオーケストラに参加した。

 その最初のリハーサルの時、彼女は、やはりチェロ奏者であるひとりの男性に出会った。後に彼女の夫となる男性で、コンピュータの音声認識の研究をしていた。やがて、二人の娘をもうけ、一家はサンタ・バーバラ(カリフォルニア州)に移り幸せな生活を始めた。キャロルは一年を通してガーデニングを楽しんだり、友人たちとアンサンブルを創設してチェロを受け持ち、数々のコンサートを開いてきた。何もかもが本当に順調で当たり前のことだった。

 だが、昨年のある日、恐竜が玄関のドアーをそっと開けて忍び込んできて、キャロルのこれまでの当たり前の生活を奪い去った。恐竜はキャロルのアンサンブルへの楽しい外出の機会を奪い、代わりに病院で血液検査を受けるという果てしない旅を与えた。多忙な日々をこなすエネルギーを奪って耐えがたい疲労をあたえた。人生の拠り所たる楽しみや安堵を奪い、望みもせぬ苦痛と恐怖を与えた。恐竜はまた彼女の右の乳房を奪って、代わりに彼女にカツラをくれてやって言った。「前向きにな!」と。

 前向きに過ごすこと、これがキャロルのいまの課題である。毎日の生活のなかに喜びを見いだして前向きに生きること。キャロルは、「こんなはずじゃなかったのに」などと過去を振り返ることは時間の無駄だと考える。そして、うれしくなることを考える。答えの見つからぬ先々のことを考えるのは最悪。生きようとする意欲が殺がれるだけだ。「ほんとうに私は生きたい!」と、キャロルは恐竜に懇願した。

 ああ、私に魔法の杖があったなら、彼女を当たり前の生活にもどしてやりたい。

 私は、六回目の化学療法を終えたキャロルを二日後に訪ねた。午後のくつろぎのひととき、彼女は本を手許に居間のカウチに横になっていた。だが、彼女には泣いたあとがあった。傍には、ふたたびの良き弾き手を待っているチェロがあった。いつの日にか、このチェロは彼女の心のおもいを奏でることだろう。

 彼女としばらく話した後、帰り際に私は尋ねた。「なにか言いたいことはない」と。「五年後にまたインタビューしてね」と彼女は目に涙して言った。「もちろんよ」と答えて私も涙ぐんだ。その時にはきっと恐竜は消え去っていて、キャロルに再び当たり前の日々が戻ってきていることだろう。

             (原文は英語、和訳:大峯 郁衣)

翻訳者後記

 「明日、乳がんで手術するの。何かメッセージがほしいわ」と、昨夏、カリフォルニアの友人キャロルから電子メールを受け取った時は、正直、驚いた。と同時に、時差も相手のTPOにも関係なく、そっと、しかも、リアルタイムに私の思いを伝えることができたその時ほど、電子メールという手段をすばらしいと思ったことはなかった。

 以来、前進一途の科学技術に疑問を抱きながらも、環境への負荷の少ない文明の利器であるのなら、私も、今後とも善意のうちにあやかりたいなと思っている……。

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