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2005年に愛知県で開催される21世紀最初の国際博覧会「愛・地球博」。メインテーマの「自然の叡智」を受け、サブテーマの「宇宙、生命と情報」「人生の“わざ”と智恵」「循環型社会」を取り入れて、各出展計画の具体化がスタートしつつある。ホスト国である日本の政府出展事業はどういうものになるのだろうか。
EXPO2005 AICHI〜愛知万博通信
特別企画
自然に対する感性の目ざめをうながす政府出展事業
取材・文=編集部
日本政府出展事業の基本コンセプトは、「人間社会と自然の新たな関係を創造する」というもの。このコンセプトをもとに、自然と環境に関わる知恵や技術、価値観を問い、二一世紀の産業と文化の創造を示唆するということだ。「ネイチャーインタフェイス」と非常に近いこの考え方は、総合監督の渡辺貞夫氏(ジャズサックス奏者)のもと、出展事業全体を通して体現されるという。 事業は、大きく三つに分かれる。メインパビリオンの「日本政府館(仮)」は、日本の戦後の経験をもとに自然と環境をめぐる問題を見つめる場となり、来年スタートするウェブサイト「サイバーパビリオン(仮)」は、会期中だけでなくその前後も含めた継続的な情報発信の場、および次世代ITの実験の場となる。そしてメイン会場から離れた海上地区に設けられる「里山日本館(仮)」は、日本の自然や文化の原点を五感で体験する場として、季節感や音をテーマに展開される。
環境危機を体感し、未来への可能性を示す「日本政府館」
体感型のエンタテイメント性を意識した「日本政府館」では、大型映像システムやグラフィック、立体的に体感できるサウンドシステムが用意され、来場者を異空間へ誘い込む。しかしそこで予定されている演出は、楽しい夢の空間などではなく、地球の環境危機の深刻さを見せるものだ。森林破壊や砂漠化、河川の汚染、そして環境ホルモン。来場者はいきなり重い課題を投げかけられることになる。 次のゾーンでは、日本のリアルな「いま」や、日本の風土をつくりあげてきた自然現象などを探ると同時に、失われてしまったもの、残していきたいもの、再生されてきたものなどを見せながら、戦後の日本の経験を解き明かしていく。ここには自然環境や町並み、道具などだけでなく、言葉、映画、小説なども含まれ、何を残していきたいか、何を再生させたいかなどについては一般からの公募を予定しているそうだ。 そして、未来へ向けての希望のゾーンへと展開。テクノロジーや人間の生命力、想像力の可能性を示すここでは、とくに資源・エネルギー問題を重視するようだ。循環型社会として都市を再生させるための技術的な取り組みと、その可能性が具体的に示される。同時に、人間の身体運動が生み出すエネルギーについても、ウェアラブル機器などを実際に身につけることによって遊びながら体験することが検討されている。 サウンドや映像技術によるエンタテイメント性を重視しつつ、環境問題、エネルギー問題がいかに切羽詰まっている状態にあるかを実感してもらい、これからの一人一人の生活にフィードバックさせていく。それが、このパビリオンの役割となる。 五感でとらえる日本文化「里山日本館」
「日本政府館」から三キロほど”奥“の自然の中に建てられる「里山日本館」。大切なもの、聖なるものは”奥“に据えるという日本古来の感覚を生かし、日本文化の根底にある自然の叡智に触れる場として設定される。 キーワードは、「四季」「音」「身体」。季節のうつろいを五感すべてを使ってとらえ、衣食住や文化に応用してきた日本人の感性を通して、「自然の叡智」を探ろうというもので、風の音や、鳥や虫の鳴き声に対する日本人の独特の感性がクローズアップされる。また、自然へ分け入ることで感覚をリフレッシュし、五感を新たに覚醒させることを目指し、水琴窟やししおどしといった日本の音風景を体感する仕掛けが随所に設けられる予定だという。 身体の面では、伝統芸能や武術に見られる「所作」のほか、大工、左官、漁師などの仕事によって形づくられてきた無駄のない動きなど、日本人のもっている「身体技術」を見せてゆくことになる。 いずれにせよ、これらの”文化の原点“が決して過去のものではなく、日本人の感性の現在でもあるのだと示すものであってほしいし、さらには未来をつくるものとして提示されてほしい。
インターネット上の「サイバーパビリオン」
日本政府出展事業の広報メディアとして位置付けられるウェブ版のパビリオンは、同時に、次世代IT技術の先駆的な実証実験をおこなうフィールドともなる予定だ。ブロードバンド・ネットワーク環境を前提としたコンテンツおよびシステム開発がおこなわれるほか、マルチメディア・ストリーミング、高精細ウェブ3Dモデリング、広域分散データベース、要求型実時間シミュレーションシステムなどの技術の研究開発をおこない、それを公開していきたいと構想されている。 コンテンツとなる事業を見てゆこう。 「キッズアイプロジェクト」は、世界中の子どもたちに、環境問題に興味をもってもらうための学習の機会を提供。子どもたちを中心とした異文化交流の場ともなる。また「環境センシング・ネットワーク事業」では、世界中の環境、資源、エネルギーなどに関するセンシング・ポイントから集約したデータを自由に活用できるよう、さまざまな研究所と連携をはかり、分析結果を公開する。そしてそこから、将来どうなるかという予測を実感できるようにしたいという。 二四時間、世界中のどこからでも参加可能な、そして万博会期後も継続するパビリオンとしての展開が期待される。
「循環型社会」のための模索
また、万博のテーマを出展事業全体で体現するため、建物の材料の選択からゴミ問題、会期終了後の材料の再利用などについて、できる限り環境に配慮した選択をしてゆくという。自然素材や生分解性の素材を建築材料として用いることを検討していることはもちろん、終了後にはどう廃棄し、どう再利用していくかという計画についてもすべて公開する予定だ。 自然環境と人間の関係がよりよいものとなるために、人間はどうすればよいか、技術はそのためになにができるのか。二一世紀最初の万博は、たんなるエンタテイメントとしてだけでなく、地球を持続させるために、そのことを考えさせる場であろうとしているようだ。
P40キャプション 記者発表で方針を語る総合監督の渡辺貞夫氏
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