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[開発最前線] 計測器の小型化と高機能化を実現したIPD方式 -- シチズン時計






開発最前線2

製品のわずかな凹凸やゆがみを検出する接触式変位センサ。

シチズンは独自のIPD方式によって、センサの大幅な小型軽量化と高機能化に成功した。

計測器の小型化と高機能化を実現したIPD方式

シチズン時計株式会社

IPD方式

 工業用計測器というのは、一般の人にはほとんどなじみのないものだろう。文字どおり、寸法を測るだけの道具であるが、今も昔もモノづくりには必要不可欠な道具である。むしろ、製品の小型精密化や高機能化が進むとともに、計測器に要求される精度や処理能力も格段に高まっている。

 昨年一二月に製品化されたシチズン時計の「デジメトロン」は、世界最小サイズの接触式変位センサだ(上写真)。測定方法自体は単純で、左下の可動のスピンドルの先端を測定物にあて、スピンドルの上下移動を検知して凹凸や傾きを計測する。最小分解能は〇・五ミクロン。用途はさまざまだが、たとえばIC基盤のはんだの高さを計ったり、複数の「デジメトロン」を並べたシステムを用いて、DVDやCDの平行度や、シャフトの振れを検証したりなど、微妙な計測が可能である。

 スピンドルの移動値は、内蔵したICでデジタル処理され、ケーブルで接続したカウンタやパソコンなどに数値で表示できる。以前は変位センサといえば、アナログの目盛りがついた機械式センサだったが、周辺機器の電子化に対応して、急速に電子式センサが増えている。

 世界最小・最軽量にして、〇・五ミクロンの高分解能と、毎秒一メートルの高速応答性。これを実現したのが、シチズンのマイクロデバイス技術と光学技術が生みだしたIPD(Index Photo Diode)方式である。

小型化と高機能化

 一般的な電子式変位センサの基本構成は、光源、ガラススケール、センサの三つ。ガラススケールはスピンドルの動きと連動しており、その移動量を光とセンサを用いて検知する。

 通常ガラススケールは、移動する「移動スケール」と、基準となる「固定スケール」の二枚が必要だ。二枚のスケールには、光を通す部分と遮る部分が交互に縞模様のパターンをなしており、移動スケールが動くことによって、そのパターンが変化する。つまり、スケールを透過する光の量が大きくなったり小さくなったり、変化する。それをセンサで検知し、移動量を計算するわけだ。

 「IPD方式では、まず固定スケールをセンサ面(フォトダイオード)に焼きつけました。そうすれば、ガラススケールは移動スケール一枚だけですみます。さらに、センサの中に信号処理回路をすべて組み込みました。一般の電子式変位センサは、センサで検知したアナログ信号を増幅する回路までしかもってないので、あとは外部のマイコンなどを使ってデジタル信号処理をする必要があります。IPD方式は、このセンサからデジタル信号処理をおこなうICまでを一体化し、内蔵したんですね。つまりデジメトロンに電源を加えれば、それだけで移動量を算出してくれるわけです(図1・2)」(MHT開発本部 オプト製品開発室 ナノプロジェクトリーダー 今井俊雄)

 小型化と高機能化、一挙両得である。

優れた高速応答性

 さらに、IPD方式のメリットとして、ブレのない精確な変位量を検出できることがある。

 図3がIPD方式の移動量検出の原理だ。ガラススケールは、遮光部と開口部が各四ミクロン、八ミクロンピッチのパターンを使っている。そしてセンサ上には、一ミクロンずつ位相がズレた八つの固定スケールを焼きつけている。

 この上で移動スケールが動くと、どうなるか。図3右上のように、一ミクロンずつ位相がズレた八つの同じ波形が検出される。これがスケールの移動を示すアナログ波形である。そしてこれを、振幅の真ん中を基準にしてデジタル変換すると、右下のような一ミクロンごとのデジタル信号ができる。つまり、一ミクロンの分解能をもつ。

 さらに、隣り合った波形を加算して、その中間の〇・五ミクロンの波形をつくり、これをA/D変換して、〇・五ミクロン分解能を得ている。これがシチズンの方式だ。

 従来は、スケールピッチの四分の一、位相のずれた固定スケールを二つ使い、検出された二つのアナログ波形の間を内挿して必要な分解能を得ている。つまり、波形処理を細かくおこなうことにより、分解能を出すという方法だ。

 しかしそうすると、元の波形が乱れた場合に、正確な移動量が得られないというデメリットがある。移動のスピードが上がるほど、波形がつぶれたり、崩れたりすることがあるからだ。

 「IC上に固定スケールを焼きつける方法をとれば、固定スケールをいくらでも細分化できるのです。そして、デジタル変換は一基準だけでおこなえば、元波形の乱れなどに影響を受けることなく、高速応答性に優れた移動量の測定ができるわけです」(今井)

 IPD方式は、一チップでサブミクロンが計測でき、なおかつデジタル信号処理が可能だ。この特徴を生かして、センサのさらなる小型化も可能である。将来的には、圧力センサなど異種センサへの展開、また可動物体の変位量の計測・制御ができるため、ロボット技術などへの応用も期待できるという。

P52キャプション

DIGIMETRON IPDーB505

全長63.8×幅12mm

P53キャプション

MHT開発本部・オプト製品開発室・

ナノプロジェクトリーダー・今井俊雄

P53キャプション

図1 IPDセンサの基本構成

P53キャプション

図2 IPDセンサチップの概要

P53キャプション

図3 IPD方式センサの位置検出原理

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