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[NIヒューマンインタビュー] 日本ガイシ -- 大野 正直



NI Human Interview

NIヒューマン・インタヴュー

日本ガイシ

大野正直

取締役・ものづくりセンター長

おおの・まさなお

1946年生まれ。日本電子株式会社を経て、

1975年日本ガイシ株式会社へ入社。

社内の生産技術関連に従事し1999年から現職。

2000年から日本ガイシグループの

環境保護活動推進を担当。

趣味は園芸と読書。

水や空気をろ過する高性能セラミックス

――日本ガイシというのは、やはり社名が示すように碍子を中心に手がけていらっしゃるのですか?

大野――ええ、基本はやはり碍子で、かつては電力事業がほぼ一○○パーセント占めていましたが、現在は多角化しつつあり、セラミック事業、環境関連のエンジニアリング部門、エレクトロニクス事業部門、タイヤのホイールやエンジンの部品などの中間材を手がける素形材部門(旭テック_潟Oループ)が、それぞれ約二○パーセントずつ占めています。

 なかでも、力を入れているのがセラミックスですね。自動車の排ガス浄化用のセラミックスについては、全世界の生産量一億五○○万個のうち四二○○万個をわが社が生産しており、世界第二位の規模です。上下水道をろ過するセラミックスの膜フィルターも今後期待しています。現在、東京都のあきる野市の上水道にも使われていますが、ろ過率は一○○万分の一と非常に高性能です。ちなみに、通常の砂ろ過だと一万分の一程度なので、一○○倍も除菌性能が高まることになります。相模湖など東京周辺の水環境汚染は深刻ですから、今後、需要はますます増えると考えられるでしょうね。

――それは、どんな構造なのですか?

大野――三層構造になっていまして、構造体をつくる外側の部分と中間層と分離層からなっています。分離層というのが、気孔径が○・一ミクロンと非常に小さなものです。外側の基材の気孔径が一○ミクロン、中間層が一ミクロンで、三層を浸透する過程でろ過されるわけです。ろ過を繰り返すとだんだん目が詰まって圧力があがってきますが、そうしたら外圧をかけて有機物を取り除く。さらに、年に二回くらい酸とアルカリで掃除をしてやれば繰り返し使えます。だいたい、寿命は一二年くらいでしょうか。

 もう一つ、エレクトロニクス事業本部が手がけている電子部品も次世代を担う技術として注目されています。圧電セラミックスを応用したインクジェットプリンタの印字部品はより高精細化に対応していきます。またその応用展開として微量のDNAを精度よく並べ、遺伝子開発、および診断を効率的におこなえるDNAチップの提供など、今後の広がりが期待されています。

 将来的には、セラミックスの軽く、耐熱性があり、強い強度をもっているという物理性に加えて、触媒機能やイオン選別機能といった、新しい機能をいかに付加させていくかが課題といえます。

自然現象に学び無駄を減らす

――環境問題への取り組みも早くから実施されていたようですね。

大野――ええ。取り組みは早いのですが、ゼロエミッションやCO2の完全削減に関していうと、苦労しているのが正直なところですね。 

 わが社では、トリプルE、すなわちエレクトロニクス・エコロジー・エネルギーを柱に事業を進めてきたこともあり、活動自体は七○年代からスタートしております。グリーン購入もその一つで、たとえば、CO2を一トン下げられるなら、エコ商品をはじめ、事務用品、原材料、部品、製造設備に至るまで、少々高くてもその商品を買うという方向で進めています。風力発電の電気を買うといったこともしています。こうした努力の結果、昨年はCO2を三六○トンほど削減できましたが、目標の四○○トンにはおよびませんでした。毎年一パーセントずつ削減していく計画です。ただし、CO2の総排出量自体が増加傾向にありますので、これをいかに減らしていくかが大きな課題です。

 それから、毎年一万五○○○〜六○○○トンの廃棄物のうち、現在は一万トン強ほどリサイクルしておりますので、これを五年間で半分にしたいと考えています。そうすれば、九五パーセントがリサイクルできますので、ゼロエミッションに近づくことになります。

 併せて社員教育にも力を入れています。これまで廃プラスチックというと、いい加減に捨てたりしていろんなものが混ざっていたのですが、リサイクルヤードという分別しやすい環境をつくったことで、きちんと分別できるようになり、廃プラスチックも一○パーセント近く減りました。廃プラスチックの資源化率四○パーセントを二○○五年までに七○パーセント前後まで高めるのが目標です。

――CO2の排出というのは、セラミックスを焼いてつくるときに出るわけですね。

大野――はい。七〜八割がそうですね。そもそもセラミックスというのは、パンやケーキをつくるのと同じなんですね。小麦粉を膨らませるのにベーキングパウダーを入れて、それを練り合わせるのに牛乳や卵を入れるでしょう? そして成形して焼き上げる。セラミックスも、孔をあけるために発泡性のものを入れて、成形のために有機物のバインダーを入れる。これを乾燥させて、焼き上げて、発泡性のものを飛ばして孔をつくるわけです。そう考えると、じつは、成形のための物質というのは、個々の工程で機能を付加させておきながら、結局は捨ててしまう。じつに無駄なわけです。

 この部分を見直したいというのが、現在、私が所属する「ものづくりセンター」のテーマです。そのヒントを自然界に求めることも考えています。たとえば、寒天がどういうかたちで水を含んで硬化するのか、と考えたりする。面白いもので、寒天で成形すれば、一○必要なものが一か二ですむことになる。天然原料なので、燃やしても水とCO2しか出ない。じつに環境にやさしいわけです。それから、多孔体であるサンゴ礁がどのように骨格をつくっていくのかというのも大きなヒントになります。つまり、引き算から足し算のものづくりへの変換ということですね。

 同じようなことが、原料の蒸留でもいえます。たとえば、石油精製などは原料の分離に相当なエネルギーが使われている。しかも、蒸留というのは物質の沸点の温度差を利用しておこなうわけですが、温度差が非常に近いものは分離が難しいわけですね。そこで、わが社では、セラミックスの膜を使って、物質の分離をやろうとしています。うまくいけばガスなど気体の分離も可能になるかもしれません。

――ノリタケに始まる陶器、碍子、セラミックスという御社の流れの中で、一貫して、ものづくりへのこだわりという視点をもってこられたようですね。

大野――そうですね。私自身、電子部品を経て、現在のものづくりセンターの前身となる生産技術部の配属となり、ずっとものづくりに携わってまいりましたが、つねにプロセスを重視してやってきたといえます。そのプロセスのなかから、既成概念にとらわれずに、自由な発想で、新しい試みをしていきたい。先ほどのサンゴ礁の例のように、できるだけセラミックスらしくないつくり方をして、環境にやさしいものをつくれないだろうか、とか。さらに今後は、若い人にものづくりの喜びを伝えていきたいと考えています。

――ものづくりの喜びのなかから、新しい発想が生まれてくることを大いに期待しています。

P57キャプション

浄水用大型セラミック膜フィルタ

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