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ウェアラブル最前線 ウエアラブル化する電子デバイス




ウェアラブル最前線

ウェアラブル化する電子デバイス

森昌文(本誌記者)

 曲がるディスプレイや、くにゃくにゃのプリント配線基板が開発されています。これらのデバイスを使ってウェアラブルなパソコンや携帯機器がより身につけやすく持ち運びやすくなり、自然と人との接点でテクノロジーが活用される場も広がります。

 人はいつでも周りの環境と何らかの形で接していますが、もし日々の生活のなかでIT機器を携帯できると、各種のセンサーによる環境モニターや、観察やその記録、データの参照、また何かを表現したりアクションを起こしたりするにも大いに助けになります。また世の中のみんなが機器を持ち歩くようになれば全体で面と時間が大きく広がった環境モニターが可能になり、これまでにない新しい知見も期待できます。

 けれど私たちの活動で環境と接することを直接の目的とする場は少ないので、機器といっしょに行動するには物理的にも邪魔にならず、気持ちのうえでも抵抗がないようにしなければなりません。腕時計の形態はこの点で実績がありますが、薄く広くして衣服と一体化することも考えられます。ファッションの一つのポイントになる可能性もあります。

 いつでも身につけている機器は軽く、かさばらないだけでなく、形状の面からも工夫が必要です。軟らかく変形できたり、折り畳めたりすると設計の自由度がふくらみます。また機器への人からの情報の入力、また人への出力も大きな技術課題です。そして機器のエネルギー源も、電池に頼るばかりでなく、人体の動きや太陽エネルギー、あるいは温度差の利用など持続的に生み出す工夫も必要でしょう。

 ところでウェアラブルな機器を世代を分けてとらえることができます。第一世代は、本号の特集にも事例がありますが、既存のデバイスを活用しつつ身につけやすい形態に仕上げた機器です。使用するにあたって少々負担になるかもしれませんが仕事のうえですぐにウェアラブル機器が必要だというところから利用が始まっています。第二世代はウェアラブルしやすくするために電子デバイスから開発するものです。持ち歩くのが楽になり、仕事の場でなくても使われ始めます。第三世代は機器が衣服やカバンなどに溶け込んでしまう段階です。こうなると多くの人に使われることが期待できます。機器はその形状が体の動きによって繰り返し変形することになるので、技術的な課題もたくさんあります。たとえば小さく、薄くした部品を分散配置したり、それらをフレキシブルでかつ信頼性高く接続する技術が大事になってくるでしょうし、有機トランジスタにして素子そのものも軟らかくなる必要があるかもしれません。

 すでに第一世代は商品化が進んでいますが、第二世代に向けての電子デバイスの開発が活発化しています。たとえば、表示系では曲がる液晶ディスプレイが開発されました(東芝:A)。高い画質を保ちながら曲げることが可能です。EL(Electro-Luminescent)ディスプレイでは有機質のフィルムタイプで薄型軽量にして衣服につけたものが昨秋の展示会で公開され注目を集めました(パイオニア)。

 配線基板ではサブミクロンの電子部品を埋め込んだ超薄型の多層シート形成技術が開発されています(松下電器:B)。数十ミクロンの厚さで、くにゃくにゃと曲げることができます。携帯電話などの小型化、軽量化、性能向上のために配線基板と電子部品の一体化が指向されていますが、それがさらにフレキシブルになったものです。

 入力デバイスでも首から下げたストラップそのものをスイッチにすることが示されました(アルプス電気:C)。

 また繰り返し電気的に書いたり消したりできる電子ペーパーの開発も盛んになっていますが、これもウェアラブル機器に役立つかもしれません。

 これらの技術を利用して、これから数年の間にいろいろな形態のウェアラブル機器が登場してくるでしょう。

P74キャプション

A 曲がるTFT液晶ディスプレイ(東芝)

世界初の「曲がる」液晶ディスプレイ。ノートパソコンにも使用可能な大画面8.4型SVGA(800×600画素)規格。低温ポリシリコンTFT液晶の採用により、高品位な画質を実現した。液晶を挟む2枚のガラス基板を極限まで薄くする一方、フレキシブル基板を張り合わせて強度を確保。これにより、厚さ・重さとも従来の1/4〜1/5に削減(厚さ0.4mm)。携帯電話やPDAなどモバイル機器の軽量化に役立つほか、電車や建物などの湾曲した壁面にも利用できる。2004年度以降に東芝松下ディスプレイテクノロジー(株)で製品化の予定。

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B 折り曲げ可能な電子基板シート

(松下電器産業)

樹脂製フィルムの上に厚さ1μm以下のコンデンサ、抵抗などの機能薄膜を直接形成したシートデバイス。厚さは従来のチップの約100分の1、自由に曲げられるので、限られた空間に組み込むことができ、電子機器の薄型・高機能化に役立つ。また、フィルムに素子を一体形成するため、はんだを用いず、環境にもやさしい。フィルムに配線機能を組み込んだシート基板はあったが、素子を組み込んだのは初めて。今年10月にもサンプル出荷を始める予定。

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C ストラップ形スイッチ(アルプス電気)

センサをスイッチとして首掛けストラップに埋め込んだもの。携帯オーディオなどに接続して、再生、一時停止、早送り/早戻し、音量調節などの操作をおこなう。たとえば、右側のストラップを上下になぞるとボリューム調節が、左側のストラップの下半分をなぞると次の曲へスキップ、上半分をなぞると前の曲へスキップする。今後、携帯電話機や携帯オーディオなどが指で操作できないほど小型化することを想定し、その解決策としての提案だ。

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