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環境プランナー誌上講座 1000年持続可能社会に向けての環境プランニング -- 山本 良一





これまで本連載では、環境プランナーをめぐる社会の動きなどを中心にお伝えしてきまし

た。

今回からは、実際の「環境プランナー講座」の講義内容がどのようなものなのか、ダイジェストで紹介していきます。

第1回は、山本良一・東京大学教授による「環境学概論」です。

環境プランナー誌上講座

環境学概論

1000年持続可能社会に向けての環境プランニング

東京大学教授

国際・産学共同研究センター長

山本良一

guidance for Environmental Planner

構想の三つの柱

 地球の環境破壊が深刻化するにしたがって、それを自分たちで何とかしなければという意識が高まりつつあり、企業や会計関係者の間にも「環境プランニング」に関心をもつ方が増えてきています。では、そもそも「環境プランニング」とは何なのか、そしてどのような構想で活動がすすめられているのか、お話ししたいと思います。

 「環境プランニング」は、まだ一般的には耳慣れない言葉かもしれませんが、そこには、生活用品、サービスなど、暮らしに関するあらゆる要素がかかわってきます。目標としているのは、暴走する環境破壊を抑制し、一○○○年後も持続可能な社会環境をつくり上げること。またその実現を促進すること。「環境プランニング」にはそのための「すべて」が含まれると考えてよいと思います。

 一○○○年持続可能な社会をつくるために、今、「環境プランニング」構想は、三つの柱をメインとしてすすめられています。一つは危機意識の共有、二つめは目標の共有、そして三つめはそれを実現する手段における共創であり競争です。

 一つめの危機意識の共有、これは、地球の環境がどれくらい危機的なものか、多くの人に認識してもらうというものです。

 地球の一日の環境変化で表すとわかりやすいのですが、現在、地球上では生物種が一日に一○○〜二○○種ずつ消滅していっています。地球の生物種は、三五憶年かけて三○○○万種に増えたのですが、このままいくと一○○○年で、すべての生物種が絶滅することになる。これは人の寿命を一○○年にたとえると、今から一五分後には死亡するということなのです。三五億年かけて増えてきたのに、環境の悪化でここまで寿命を縮めてしまったわけです。

 また、世界の人口は二○○○年のデータでは、年間七八○○万人増加しています。 人口増加にともなう穀物の必要量は二一三○万トン、それをつくる耕作面積は七二○万ヘクタール、水量は二一三億トンです。これを水量だけでみると、毎年生まれる人を食べさせていくために、利根川規模の川を五本ずつ掘っていかなければいけないということになる。しかし現状は、温暖化による水不足や耕地面積の減少により、必要な資源は減る一方ですし、食糧危機の発生は避けられないものになっています。

 温暖化も加速しています。温暖化はゆっくりと長期にわたって進むので、大気中のCO2濃度を二一○○年に安定させても、数世紀はまだ継続するといわれています。それによって自然災害の件数も増え、このままいくと二○六五年には世界経済は破産するという予測が出ています。

 ようするに、「地球には限界がある」と私たちが認識することが重要なのです。地球の環境収容能力や自浄能力には限界がある、その認識を人々がもつことが環境プランニングのスタート。環境についての情報を多くの人に知らせるためには、ウェアラブル情報端末なども有効でしょうね。「南極の氷がこれだけ溶けた」と、どこからでもすぐ知ることができますから。さまざまな情報手段によって、危機意識を高めていくことがまず必要なのです。

先進国の脱物質化

 では、危機を回避するためにはどうすればよいか? それには、先進国が脱物質化するしか道はありません。具体的には資源エネルギーの消費量を下げること。その認識を世界で共有することが二つめの柱です。

 どれくらい消費エネルギーを削減すればよいのか。そのためにはファクターと呼ばれる資源効率や環境効率の向上度が問題となってきます。

 私は、二○五○年までに社会全体で、この二つの効率を八倍まで向上させなければいけないと考えています。資源消費を先進国は八分の一に減らし、途上国は二倍までにとどめることを目標にする。

 先進国で資源やエネルギー消費量を下げるといっても、私たちの暮らしが即不便になるということではありません。環境効率を向上させることによって、よりわずかな消費ですませることができるからです。目標とする持続可能な社会は、環境、経済、社会的公正が調和したもの。経済も、持続可能なものを考えていくことが大事なんですね。

 そこで問題になるのが、三番目の柱。「サステナブル・ソリューション」と呼んでいる、持続可能社会を実現するための手段です。

 この手段を、私は二つに分けて考えています。まずこの一○○年を乗りこえていくための”弱い持続性“をもった手段で、エコプロダクツなどがこれに当たります。それと、さらに先の一○○○年後、一万年後の社会でも成立し得る技術開発や問題解決に役立つ”強い持続性“をもった手段。弱い持続性を手がけると同時に、ずっと先を見越した取り組みをおこなっていく必要があるのです。

エコビジネスを活性化する

 二○五○年、世界の人口は九○億人になっています。エネルギー消費を抑えつつ、これだけの人に豊かなサービスを提供するには、エコデザインを徹底させることが必要です。環境負荷の低いエコプロダクツの開発やエコサービスを充実させることですね。

 たとえば、スウェーデンの家電メーカー、エレクトロラックス社の省エネ型家電製品を一年間ロンドンの全家庭で使うとすると、二二億ユーロのお金が節約できると試算しています。そうした製品を市場の中に普及させていかないといけない。

 しかし、普及度はまだまだ低い。たとえばある家電メーカーの場合、全売上高に占める環境ソリューションの売上高はわずか一パーセントです。危機意識が低いことと、国の政策がまだ十分でないことが反映しています。

 持続する社会を実現するためには、政策というツールもまた重要なんです。日本では二○○○年五月にグリーン購入法が成立し、国が先頭に立ってエコデザインされた製品、サービスを優先的に購入することが義務づけられました。環境負荷の高い製品は、政府の予算では購入できないことになったのです。具体的には、今、一五○品目についてグリーン購入が実施され、民間でも二六○○団体がグリーン購入ネットワークに参加しています。

 それともう一つ、重要視されているのが、持続可能なサービスシステムをビジネスモデルとして売っていくこと。モノを売るのではなく、エコサービスを売るということです。

 たとえば、日比谷花壇のレンタルグリーンなどのレンタルサービス、シチズン時計の腕時計の生涯修理サービス、エーエム・ピーエムの不要家電の引き取りサービスなど、修理、部品の再利用、レンタル、回収、リサイクルなどのサービスを新たなビジネスモデルとして提供する。

 持続可能な社会を実現するためには、エコビジネスモデルを改新して、それが市場で人気を呼び、目標とする社会へ市場のメカニズムで動いていくのが一番望ましいんです。

 今、企業の売り上げにエコ製品の占める割合が低いのは、私たち市民の意識の低さもありますが、企業の方もそれで儲かるという確信がないからなんですね。

 だから、まず、売り上げ高に占める比率を、一パーセントから五○パーセントに伸ばすことが必要です。環境関連のビジネスで五○パーセントの売り上げが上がれば、企業の経営者は考え方を変えるでしょう。製品開発にも全力を注ぐようになり、ノンフロン冷蔵庫や洗剤を使わない洗濯機のようなエコ製品がたくさん出てきます。

 結局、カギを握るのは消費者なんですね。消費者が望めば企業は動きますから。その相乗効果がうまく働くとよい方向に進んでいくのです。

 そのためにも、最初の話に戻りますが、地球環境が危機的状況にあることを世界中の人々が共通に認識することが重要なのです。幅広く環境知識を身につけた環境プランナーの役割は、今後ますます大きいものになってゆくでしょう。

環境プランナー基礎コース

次回開催予定:

2002年10月1日〜11月2日

問い合わせ先:ネイチャーインタフェイス株式会社

〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2

丸ノ内八重洲ビル527

TEL:03-5252-7382

FAX:03-5252-7386

e-mail:info@natureinterface.co.jp

※詳細はP45を参照ください

「環境プランナー基礎コース」修了1期生に聞く

まだ社会的に認知度が高いとはいえない「環境プランナー」という資格。

昨年「環境プランナー基礎コース」を修了し、資格を取得した方は、

どのような感想を抱いているのだろうか。

会計人として環境プランニングに

関心をもつようになったという税理士の竹内春美さんに聞いた。

 「日常生活のなかでの食べ物やごみのことなどは以前から気になっていましたが、とくにここ10年くらい前から年々気候が暖かくなっているのを、私自身の身体で実感しており、これに関してはある種の不気味さを感じていました」

 そのような自身の実感から環境問題に関心をもつようになった竹内さん。環境問題は他人事ではすまされない。しかし具体的には何にどう取り組んでよいのかわからない。そのようなもどかしさを感じていたときに知ったのが、環境プランナー養成講座だった。

「地球規模で問題になっていることや、あらゆる業界が環境問題に関わっていることなど、受講して初めて知ったことがたくさんあり、自分がいかに環境について知らなかったかを痛感しました。漠然とした不安は、受講後には“環境問題は決して先送りできることではない”という危機感に変わっています」

 講座自体については、短期間で環境問題に関してかなりの知識を得ることができた半面、環境問題があまりに広範囲かつ多岐にわたるため、少し勉強したぐらいではとても理解しきれるものではないとも感じているそうだ。

 税理士という立場からは、環境プランニングをどう捉えているだろうか。

「環境プランナーの認知度が高まれば、ISO14001と同じように、企業からの相談も受

けるようになるでしょう。実際に、環境への取り組みによる企業の格付けをおこなう金融機関も出てきているので、その判断役としての業務を『環境プランナー』である税理士に任せるようになる動きもあるとのこと。そのような形で少しでも環境問題に携わることができれば素晴らしいですね」

 環境に配慮することは、経済効果もプラスと出ること。環境プランナーとしてそのようなアドバイスができれば、認知度が高まり、必要度も増してくるのではないかと考えられる。

guidance for Environmental Planner

P82キャプション

サステナブル・カンパニー

環境世紀に勝ち残る

ビジネスモデルと

エコサービス事例71

山本良一・著/

ダイヤモンド社・刊/2400円

地球環境を好転させるには、そして企業が環境の世紀に生き残るためにはエコデザインが必須、という著者の持論を、具体的な事例を多数引きつつ展開。企業人必読の1冊。

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