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ウエアラブル機器とファッション -- 広瀬 弥生



P28

ウェアラブル機器とファッション

東京大学先端科学技術研究センター

ディレクティングマネジャー

廣瀬 弥生

特集 ウェアラブル・ファッション最新事情

ひろせ・やよい

東京大学先端科学技術研究センター 先端テクノロジービジネスセンター ディレクティングマネジャー。日米の大学院にて公共政策、産業政策を研究後、大手情報通信会社系シンクタンクにて、米国のIT産業戦略・構造分析を実施。その後NTTグループの研究所にて、行政IT政策、ITによる地域活性化戦略、情報通信系事業部戦略に関するコンサルティングに従事。2002年4月より現職にて、東京大学先端研を中心とした産学連携事業の企画・運営・管理を実施。一橋大学経済学修士。米国マサチューセッツ工科大学都市計画修士(産業政策専攻)。

 近年ウェアラブル機器の普及が著しい。これまで必要な場合以外はスイッチを切り、重い塊を持ち運ばなければならなかったモバイルコンピュータの時代から、つねにスイッチオンの状態で別の作業をしながらでも自然に活用することができるウェアラブル機器時代の到来により、コンピュータを取り巻く生活・行動形態は大きく変わる可能性が出てきた。最近では、工場内のオペレーションや医療診断等、業務やビジネスで活用されるだけでなく、MP3プレーヤーや携帯電話を内蔵した衣服が登場したり、PDAスーツが売り場に現れるなど、おもにウェアラブル機器をセンスのよい衣服と合体させるといったさまざまなケースでの活用が考え出され、製品化されている。

 こうした環境の中で「ファッション性のあるウェアラブル」という言葉をよく聞く。米国の大学と衣料メーカーが共同研究してミュージックジャケットがつくられたり、ウェアラブル・ファッションショーが開催されたり、ファッションに関する多くの取り組みが見られる。しかしそこでの取り組みはまだ多くの消費者を対象としない、プロが好む独創的な世界での関心事となっている。一方で、ウェアラブル機器メーカーから見れば、ファッション・ビジネスとは、製造コストを大幅に上回る値段で売り出しても、センスやスタイルなど物体として見えないコンセプトを追求することによってビジネスが成り立つ得体の知れないもの、というのが本音なのではないだろうか?「ファッション性のあるウェアラブルとは何か」という問に対しては、各機器メーカーや衣料メーカー、デザイナーごとにまったくバラバラの答えが返ってくる。

 事業として考えたとき、ウェアラブル機器は「ファッション性」というものをどう捉えていくべきなのか? この場合のファッション性とは、「ウェアラブル機器によって実現されるセンスのある生活・行動スタイル」なのではないかと思われる。求められるファッション性は、ウェアラブル機器のマーケットへの浸透段階によって異なる(下図)。第1段階は、工場内のある工程担当が1日中使い続けるなど、特定の目的をもった人が長い時間使うためのツールとしての段階である。そこではどちらかというと、ビジネスマンがツールを使いこなすことで仕事の効率が上がるという目的で活用する。したがってウェアラブル機器により実現される利便性、機器にあった素材の追求や洗濯のしやすさ、動きやすい衣服といった「効率的な生活・作業スタイル」の追求が事業として成り立つ鍵となる。

 次に、ビジネス用途への市場がある程度行き渡ると、介護・福祉業界等お年寄りや障害者の方々を中心としたユーザー向けのマーケットが拡大し始める。ここでは電磁波などの健康面への配慮や視聴覚機能を支援するツールとしての使い勝手など、ユーザーの立場に立って「安全・安心な生活スタイル」をいかに追求できるかが重要だ。

 ウェアラブル機器が特定目的における活用以上にさらに普及すると、生活の中で自然に使われる、「多くの人々がいつももっていて当然の機器」となるフェーズに移る。そこでは一般消費者が、これまでになかったような差別化された生活スタイルをいかに実現できるかが事業の鍵を握ることになる。

 IT機器業界と衣料・ファッション業界――ウェアラブルはこれまであまり接点のなかった業界同士がお互いに融合していく時代に差しかかっている。

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