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ウエアラブルの可能性を広げる、新しい日本語入力デバイス「tagtype」





P33

特集 ウェアラブル・ファッション最新事情

ウェアラブルの可能性を広げる、

新しい日本語入力デバイス「tagtype」

取材・文=田井中麻都佳

 自身の経験からいってもそうだが、ウェアラブル・コンピュータの普及で一番ネックとなっているのは、じつは入力の問題ではないかと思う。たとえば、携帯電話。電話で話をすることも、ウェブのコンテンツを見るのも、メールを読むのもまったく苦にはならない。本当に便利だなぁと思う。唯一、心底イライラするのが日本語の入力だ。長文を打つのはおろか、十数文字ですら時間がかかる。親指だけで高速入力している高校生を横目に、羨ましく思う毎日である。一方、ノートパソコン。こちらは、移動先などで本格的に文章を書きたいときに持ち歩いているが、これがまた曲者だ。電車の中で膝に置いてキーボードを打とうとすると両脇の人の邪魔になるし、安定も悪くミスタッチが多くなる。新幹線の小さなテーブルに置いても、どうもしっくりこない。そもそもバッテリーは2時間程度しかもたないし、結局、あきらめて閉じてしまうのが常である。

 では、PDAはどうか。スタイラスだけでの入力にはやはり限界がある。長文を打つには不向きだろう。あるいは、音声入力はどうなのか。私自身は試したことがないけれど、まだまだ実用的でないという意見は多い。第一、公共の場でメールの内容を読み上げるなんて、想像するだけで恥ずかしい気がする。使ってみたい、そんな意欲がわかないのが正直なところだ。

 さて、そうした入力デバイスの不満を解消してくれそうなのが「tagtype」である。これは10個のボタンからなる、五十音表をベースにした日本語入力のためのデバイス。両手で握るためのグリップがついていて、親指だけで入力するというものだ。イメージとしては、ゲーム機のコントローラーに近い。

 入力方式はいたって簡単だ。5個ずつ2列に配置された10個のボタンを使って、五十音の行と段を交互に入力するだけ。たとえば、「け」と打ちたいとき。まず、1回目の入力では@のように右側の上から2番目の「か」行のキーを選択し、2回目の入力ではAで示すように左右どちらでも、上から四番目の「け」を選んで打つ。段の選択の場合は左右同時に使えるというのがミソで、両手の親指をうまく使えば、かなり高速で日本語を入力できる。そのほかに濁音や記号に対応するキーがあり、変換キーを使えばもちろん漢字にも変換できる。モードを切り替えることで、アルファベットの入力も可能だ。習熟すれば毎分60〜70文字を打つことができ、普通のキーボードと比べてもそれほど遜色ない速さで入力できるというスグレものだ。

 そもそもこの「tagtype」、1999年当時、東京大学工学部の学生だった田川欣哉氏が、卒論の中で、肢体障害者のコンピュータ支援のツールとして発表したデバイスが下敷きになっている。ポリオの後遺症で重度の肢体障害を抱える劇作家えとう乱星氏の協力で開発されたもので、えとう氏が出した要求――動きはできるだけ小さく、右手が疲れたら左手でもカバーできるようなもので、どんな姿勢でも打てて、操作と変換が簡単なもの――をすべて満たした入力デバイスとして誕生した。その後、デザインを洗練させ、より使いやすい形に改良を加えたのが、リーディング・エッジ・デザイン代表のプロダクトデザイナー・山中俊治氏である。

 「田川君が研究している当初から相談に乗ったりしていましたが、これは単なるバリアフリーのためのツールとしてだけでなく、デジタルデバイド、すなわち情報化が生むさまざまな格差を解消するツールになり得るのではないかと思うようになりました。実際に、現在このtagtypeをベネッセコーポレーションが採用し、小学生のための日本語入力デバイスとして活用されています」と山中氏は言う。

 プロトタイプは障害者用に開発されたものなので比較的大きいが、将来的には小型にして携帯電話に取り付けたり、さまざまなウェアラブル機器に装着したりすることも可能だろう。キーボードの習得が難しいお年寄りも、これなら簡単に使うことができるのではないだろうか。

 現在、リーディング・エッジ・デザインでは、ネット上でユーザーを募り、一定量に達したら製造に踏み切る計画だという。また、開発協力者やカスタマイズして使いたい人のための組み立てキットの開発も進めている。今後の展開が楽しみだ。

Tagtypeのプロトタイプ

(photography by Yukio Shimizu)

問い合わせ先:tagtype@LLEEDD.com

http://www.LLEEDD.com/

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