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P34
モノづくり不思議教室 株式会社デンソー
ナノの世界の段々畑 シリコンカーバイド上に形成されたナノ構造体
電気自動車などの大電流を要する機械に用いられる、エネルギー損失の小さい半導体材料として、シリコンカーバイド(炭化珪素)が注目されている。シリコンカーバイドは、文字どおりシリコン(珪素)とカーボン(炭素)とで構成されている半導体である。シリコンカーバイドのウエハには、表面がシリコンで終端しているものとカーボンで終端しているものの二種類あり、それぞれ異なった性質を示すことが知られている。たとえば、本誌七号で紹介した「カーボンナノチューブの成長」はカーボンで終端している面で起こる現象であり、シリコンで終端している面では起こらない。 今回は、表面がシリコンで終端しているシリコンカーバイドを真空中で加熱した場合に、どういうことが起こるか紹介しよう。写真は、一四五〇度まで加熱した後の表面を、走査型トンネル顕微鏡で観察したものである。丸い粒が周期的に並んでいる領域と、それらの領域を分けている線状の構造体がある。境界線のある段々畑の航空写真のように見える。 シリコンカーバイドを真空中で加熱すると、温度が高くなるに従いシリコンが蒸発する。そのため、写真に示した状態では、最表面の元素はすべてカーボンになっている(1)。丸い粒は、表面に残ったカーボン原子が再配列することによって周期的に並んだものである。線状の構造体は、カーボン原子が集まって「グラファイト」という結晶構造となったものである。この利用法も研究が進められている。 近年、ナノテクノロジーに関する研究が盛んである。ナノの世界の作物はどんな味がするのだろうか? 収穫時期はすぐそこまで来ている。
1) Y. Hisada, K. Hayashi, K. Kato, T. Aoyama, S. Mukainakano and A. Ichimiya: Jpn. J. Appl. Phys. 40 (2001) 2211.
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