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ウェアラブル最前線 PHSが生み出す新しい通信サービスの可能性


P74_775

ウェアラブル最前線

PHSが生み出す新たな通信サービスの可能性

DDIポケットの無線IP接続サービス

つなぎ放題の定額サービス

 PHS最大手のDDIポケット株式会社が昨年六月に開始したつなぎ放題の定額データ通信サービス「エアーエッジ」は、一年で五〇万人以上の加入者を獲得、依然好調を続けている。

 人気の理由はいうまでもなく、つなぎ放題の定額制サービスにある。固定通信ではADSLなどで定額サービスが増えてきたが、全国レベルで移動通信の定額サービスをおこなっている事業者はPHSのDDIポケットだけ。同社が定額サービスに踏み切れたのは、PHSの基幹網(バックボーン)を低コストのデータ専用のIP方式、つまりインターネット方式にし、データの送受信方式にパケット方式を採用したからだ(図1)。

 パケット通信はデータを一定サイズの「パケット(小包み)」に小分けにして送受信する方式で、回線交換方式のように一回線を完全に占有するわけではなく、一つの回線を複数の端末で分け合い、空いている回線を使うという方式になっている。したがって、回線自体はつなぎっぱなしにしていても問題ないわけだ。

 PHSは電波の出力が小さいため、電波の届く範囲が狭く、それだけ基地局が数多く必要だ(DDIポケットは全国で一六万局。携帯電話の場合は数千局程度)。携帯電話に比べて「エリアが狭い」といわれたのはそのためだが、しかし一つの基地局がカバーすべき範囲が狭いということは、逆に限られた周波数を有効に使えるという利点になる。それだけ通信速度が速く、大容量のデータを扱うことができる。

 「同じサービスを携帯電話でやろうとしたら、値段は一桁跳ね上がるでしょう」と、同社経営企画本部・市場開発室の荒木健吉氏は言う。携帯電話では、第三世代携帯電話が高速データ通信へ参入を図っているが、やはりコストの高い回線交換方式を使うため、定額制サービスの実施は難しそうだ。

 

MVNOによる移動体通信の開放

 エアーエッジの台頭により、再び脚光を浴びることになったPHS市場に昨年、もう一つの変化が起きていた。それはMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体サービス事業者)のガイドラインが公布されたことである。

 これは「自分自身ではネットワークインフラをもっていない通信事業者」のこと。従来、通信サービスを提供できるのは、通信インフラをもっている事業者に限られていたが、それ以外の事業者でも、その回線を借り受けて事業に参入することが可能になった。つまり移動体通信網の開放だ。すでにヨーロッパでは数多くのMVNOが存在している。

 MVNO方式のメリットは、少ない費用で新たに通信事業に参入できること。一方、回線設備を保有する事業者にとっては、余裕のある回線を有効利用して使用料を徴収できるというメリットがある。

 この方式による回線の卸売りにいち早く名乗りをあげたのがDDIポケットだ。これに対し、MVNOとして日本通信、京セラコミュニケーションシステム、三菱電機情報ネットワークがすでに参入、富士通、NTTコムなどが参入を検討している。グループ内にPHS事業をもつNTTドコモがあるにもかかわらず、NTTコムまでも参入を検討しているのは、DDIポケットだけが定額サービスをおこなっているからだ。

 MVNOは、一般の通信サービスではなく、企業内通信など独自のサービスを付加して差別化を図ることが多い。その場合、顧客にとってはコストが安く、費用を固定できる定額サービスが不可欠なのである。

サービス事業者主導の通信サービスへ

 「たとえば今インターネットを始めようとすると、端末を小売店で買い、通信会社に加入し、サービスプロバイダに加入するというふうに、別々の手続きが必要です。これは利用者にとっても不便だし、サービスとしても効率が悪い。通信サービスをより多様に、より充実したものにしていくために、これからはサービス事業者が通信サービスを含めた形で主導していくことも必要なはずです。むしろサービス事業者が、端末と通信サービスを独自のサービスにパッケージして売るという形ですね(図2)。私たち通信事業者は黒子になることがあってもよいのではないでしょうか。MVNOの出現はそのきっかけになるはずです」(荒木氏)

 今のところ最も需要が見込めるのは、企業内通信網の構築だ。営業マンが移動中にパソコンから社内ネットにアクセスできれば、新しい情報を即座に取り寄せることができ、商談もスムーズに進む。また、移動途中に日報を送信できるから、残業も少なくなり、経費削減にもなる。

 PHSには位置情報をとれるという利点がある。これを利用すれば、トラックの運行管理などにも威力を発揮しそうだ。トラックの位置と積み荷の状況をつねに把握しておけば、空荷を出さないように効率よい運行管理ができる。

 そして、ウェアラブル情報機器の普及にも少なからず力になりそうだ。たとえば、心電図を計測し、それをPHS無線IP接続によって病院に送信するというウェアラブル医療機器がすでに開発されている。

 私たちにとって重要なのは、いうまでもなく通信そのものではなく、通信で何ができるのか、である。PHSをベースとして、魅力あるサービスが登場することを望みたい。

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